いわくつきの首塚を壊したら霊姦体質になりまして、周囲の男共の性奴隷に堕ちました

ムーン

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従弟の後輩の家で休憩してみた

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車が停まったのは俺の家の前らしい。ミチはレンに服を借りたようで、着替えてから家に帰るそうだ。

「では、矢見様、お待ちしております」

「さ、さささ、様付けなんてそんなっ……すぐ着替えてきます! 月乃宮くん、またね、また会ってね、電話出てね」

「あ、あぁ、うん、ほっといてマジでごめんな……ばいばい」

運転手に様付けで呼ばれた衝撃と緊張からかミチは慌ただしくレンの家に駆け込んでしまった。俺は自宅か? それともセンパイの家? 従兄に聞かなければ。

「お兄さん、あれ……お兄さん? どこですか?」

「秘書様? 秘書様、どうなされました? 酔いましたか?」

まだ車に乗っていたようだ、ドアを開ける音がした。覚束ない足音がこちらに向かってくる。

「…………次から運転別の奴に変われ。月乃宮様、あなたのご自宅にお邪魔させていただきますね、色々と話しておきたいことがありますので」

「あ、はい……」

従兄に手を引かれて自宅に入る。何日ぶりだったかな、母はまだ帰ってきていないようだ。そういえば今何時だろう。

「あの……車酔いですか? 大丈夫ですか?」

「……酔い、というか……ぁー、車苦手で……最近社長に会えてないんで、ストレスが余計……なんか、もう……車やだ……」

「な、なんか色々大変そうですね……ぁ、俺の部屋多分ここです。今何も見えないんでお構い出来ないんですけど、勝手にお茶とか飲んでくださいね」

「…………うん」

かなり参っているようだ。センパイが自殺未遂を起こしたのも効いているのだろう、その原因の俺の目の前だ、平常でいられるわけがない。

「あ、あのっ、お話って?」

「………………話? 話……あぁ、まず目。如月様の仕業でしたね。彼にあまり詳しくはありませんが、一人になっておいた方が金縛りを解く可能性が高いと思います」

レンが俺の目を開かなくしてしまったのは嫉妬が理由だ。確かに、一人の方がいいかもしれない。

「レン……今夜も来てくれるかな」

「社長は行かない方がいいって言ってるみたいですけど、如月様は助言を無視してるみたいですね。嫉妬心でどれだけ霊体が醜くなろうとも、月乃宮様に会いたい一心で」

「…………レンは可愛いままですよ」

角や爪や犬歯が少し伸びただけだ。舌が蛇っぽくなっただけだ。俺の大好きな茶色い瞳も、可愛い顔も、むちっとした太腿も、全部全部そのままだ。

「……あの、俺に取り憑いてる……この、手首は?」

「社長の帰国日程が定まらないので何とも。それと、そういう話は彼らの聞こえる場所でしない方がいい」

肩や二の腕を大柄な男の手に掴まれている気がする。従兄がそこを軽く叩くと痛みは消えた。

「あ、ありがとうございます……あの、それじゃあ他の話って?」

「……根野ねの かないの処分が決まりました。処分……って言い方も変ですけどね」

「根野センの? 根野セン……どうなるんですか?」

俺を監禁したり殺しかけたりと危ない大人だったが、どこか悲しそうな人だった。彼の凶行を止めきれなかったのは未だに悔やんでいる。

「不起訴にしたのは言いましたよね? まぁ、それはともかく……やらかしたことはやらかしたんで、あなたの学校にはいられなくなったわけです。あんな異常教師がいたって報道されないんだから感謝して欲しいですね」

「根野セン、家に居るんですか?」

「引っ越すみたいですね。ちょっとした田舎の方へ。俺が顔出したせいで正当な罰を受けられなかったんで、まぁ……ツテをちょっと、紹介させてもらいました」

従兄のコネにはいつも驚かされ、助けられている。

「ありがとうございます、俺が言うのも変な話ですけど」

「いえ……それで、引っ越しは明後日の予定だそうです」

「明後日……」

「……会うなら車出しますよ」

根野、俺の元担任。俺を強姦し、脅し、何度も抱き、監禁し──いい思い出のない相手だ。ぶたれたことも、鞭を振るわれたこともある。行為だけを考えれば会いたくないはずの相手だ。
でも、薬指の違和感を覚えている。何も混入していない美味しい手料理を覚えている。俺を見つめては嬉しそうに頬を緩めるのを覚えている。

「会い、たい……です。会いたい。会えます……か?」

「明日でいいです?」

「は、はいっ! 会えるんですね」

「ええ、あなたが死ぬと怪異がバラけてしまって大変なので、根野のマンションを囲う結界を作りますから、勝手に行かないでくださいね」

根野が俺を殺す想定をしてあるのか。まぁ、彼の行動だけを鑑みれば当然のことだが。

「……本当、変わった人ですよね。なんで会いたいんですか? まぁ、あなたを殴った國行にも懐いてるみたいですし……そういう人だって思ってますけどね」

「根野センも、センパイも、俺に酷いことする時すごく辛そうな顔するんです。根野センは大人だし、センパイも強がってるから、きっと……甘えられなくて、甘え方分からなくて、溜め込んで、ああなるんです。だから……ちょっと痛い思いしてでも、慰めてあげないと」

きっと従兄はいつも通りの虚ろな三白眼と無表情で俺の話を聞いているのだろう。見えていても見えていなくても彼の心情の分からなさは同じだ。

「殴ったり首絞めたりした後、一番混乱して傷付いてるのは本人なんです。その時に責めちゃったらもう、その傷が治らない……だから俺は抱き締めてあげなきゃって、そう思います」

「…………変わった人ですね」

理解を放棄されてしまったかな、別にいいけど。

「お兄さん、いい人ですよね。俺のこと心配してくれたんでしょ。大丈夫ですよ、センパイも根野センも、きっともう俺に酷いことしませんから」

「なんで俺があなたの心配をするんですか」

「……違うんですか?」

「俺は……殴られることに価値を見出してしまった人を知ってるので、似たようなことなら止めたかっただけです。ま、よく聞いたら似てないし、あなたは何言ってもその考えを変えそうにないし、あなたは金髪だし、どうでもいいです」

金髪だしってどういう意味だろう。

「…………つまり心配してくれてたんですよね? ありがとうございます」

深いため息をつかれてしまった。俺の解釈は自分勝手なものだっただろうか。

「もういいです。根野の話しましたし、帰りますね」

「あ、はい……話ってこれだけなんですか?」

「ええ……ちょっとあなたを國行から離しておきたかったのと、俺が個人的に車から降りたかっただけなんで」

「……なんでセンパイから離したかったんですか?」

自殺未遂をさせるような奴だから、しかないだろうに……俺は何を聞いているんだ。

「あんまり何日もあなたと引っ付いてると、國行が霊障を受けかねないんですよね。取り憑かれてなくても取り憑かれた人間が傍に居るだけで、疲れやすくなったりネガティブになったりするんで……特に今は離れていて欲しいんです」

「そ……そう、だったんですか……分かりました。気を付けます」

「あなたが居なかったら居なかったで怪異関係なく落ち込むんで、ほどよく会ってやってくださいね」

難しいことを言う、従兄が会うタイミングと時間を決めてくれればいいのに。

「じゃ、今度こそさよなら」

「あ、はい……さようなら」

自分の家ならどこに何があるのか分かる。従兄を見送って鍵をかけた後、手探りで自分の靴を部屋に運んだ。ついでにスナック菓子とペットボトル飲料をいくつかずつ部屋に運んだ。

「……こんなもんかな」

根野が事件を起こした日から会っていないのだ、ややこしいことになるに決まっている。だからどうか、母が俺の帰宅に気付きませんように。
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