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後輩と後輩彼氏を風呂に入れてみた
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シャワーの音で目を覚ます。どうやらまた意識を失っていたようだ。失神の寸前まで強い快楽に溺れていたことは覚えているが、今もそうである通り目が開かないから思い出せる景色はない。
失神していた時間は短かったのか、腸壁はまだヒクヒクと震えている感じがする。後孔からドロドロと精液が溢れていく感じもする。喉の内側が少し痛い。
俺を支えてくれているのはセンパイだろうか? 彼以外にこんな筋骨隆々の大男は知らない、きっとセンパイだ、このまま甘えていよう。
「……そんなに俺が気に入らないか」
ミチも傍に居るのかな、話し声が聞こえる。俺が起きたことには二人とも気付いていないようだ。
「あ、ぁあっ、当たり前だろっ!? お前が月乃宮君にしたことは忘れないっ! つ、つつ、月乃宮くん殴ったんだ! しかも応急処置も救急車呼ぶのも全部如月君に押し付けて! じじ、自分は逃げてぇっ!」
「…………反省してる」
「月乃宮くん頭蓋骨にヒビ入ったんだぞ!? そ、そ、そんな強く殴るなんてっ……つい、で出来るようなことじゃない! 月乃宮くん離せよ! 返せ! どうせ、またっ……!」
俺を抱き締めるセンパイの力が強くなる。
「………………許してくれたんだ。ノゾムは……殴ってしまっても、首を絞めても……死のうとしても、俺を……許して、愛してくれる……だから渡さない、もう裏切らない」
「な、な……なんで、なんでなんだろうね……僕とか、何も悪いことしてないのに……悪いことして反省しましたってお前みたいな奴の方がいい子扱いされるんだよね!」
そろそろ止めた方がよさそうだ。声を出そうとしたが、喉が痛んで咳き込んでしまう。結果的に二人の会話は止まった。
「つ、つつ、月乃宮君? 起きたんだねっ、おいで!」
咳き込んだからか抱き締める腕を緩めたセンパイからミチが強引に俺を奪う。暗闇の中、快楽の余韻で上手く動けない身体を引っ張られ、自分より小さなミチに寄りかかる。
「よしよし……ゆっくり息してね。目は開かないんだっけ、起きてるよね?」
「おき、た……ミチ、ごめん……重いだろ」
小さな手に背を叩かれ、息が整う。しかし喉の奥は粘っこいまま、上手く声が出てくれない。
「ぜ、全然大丈夫っ! 僕が身体洗ってあげるから、僕が……ぁう……ぅ、う、動けない……」
石鹸でも取ろうとしているのだろうが、俺が寄りかかったままではミチは身動きが取れないようだ。
「……お前には無理だ」
「あ、だだっ、だめ! 返せ!」
ひょいっと俺を抱き上げるのは当然、センパイだ。ミチは俺の腕を掴んで引っ張っている。
「ミチ、大丈夫……センパイ、優しいから」
「騙されてるんだよ月乃宮くんっ! そいつは、君を!」
「心配してくれてるんだな、ありがとう……でもな、ミチ、俺の信じてる人をそんなに警戒しないでくれよ」
腕を掴んだミチの手が緩む。今度は俺がミチの手を取り、腕を辿り、肩を掴んで引き寄せ、頭を撫でた。
「…………俺がノゾムを支えておく、お前がノゾムを洗ってやれ」
「いや、あの……センパイ、俺目がちょっと開かないだけなんで、ボトル渡してくれたりしたら、それで……」
「わ、わわ、分かった!」
二人とも俺の話を聞いてくれない。まぁ、断ったらまたミチが不機嫌になるかもしれないし、任せよう。
「んっ……ぁ、ちょっ……ミチ、なんで胸ばっか……」
「ピ、ピアスの穴あるから、重点的にって」
「……さっき俺が言った。こいつの方が指が細くて器用そうだからな、ピアスホールは任せる」
「ぜ、ぜぜっ、全部任せてくれてもいいよっ」
俺が想像するような意図はないのだろう。ミチの指はピアスホールのある位置に留まっている。泡を穴に押し込むように乳首をつまみ、くにくにと曲げたりして穴の内壁同士を擦り合わせるのを狙っている。
「んっ……ん、んんっ……!」
純粋な善意でしてくれているのだからと喘ぎ声を抑えると、何故か余計に身体が敏感になる。
「んんっ、ん、ぅ……んっ……!」
ぐずるような声が出てしまうのを嫌って顔を振っても意味はない。
「……感じてるのか? ノゾム。ちょうどいい、下も掻き出してしまうか。ミチ、こっちは俺がやるが構わないな? 指の長さは俺の方がある」
「ぅ……ま、ま、任せるよ……丁寧にねっ!」
「……心得てる」
臍の下で手を組み、ぐっと押さえる。そうされると腸内に残っていたらしい精液が後孔からぼとぼとと吐き出されていく。
「ん、んぅぅっ……ぁ、あぁあっ……! はぁっ、はぁ……ひぅっ!」
下腹から手が離れ、みぞおち辺りに腕を巻いて俺を支え、後孔に指を入れる。同時にミチの手が臍を丁寧に洗い始め、下腹の快感が高まっていく。
「んっ、んぅうっ……ぁああっ! せん、ぱいっ……指、んぁっ! あぁあっ!? ゃ、ミチっ、おへそ今らめぇっ! ひぁあぁあっ……! りょぉ、ほっ、ほじくんのぉっ、らめっ、らめぇっ、むりぃっ、イっちゃうっ……!」
泡まみれの細い指が臍の中を洗い、くぽくぽと音を立てる。二本の太い指が後孔を拡げ、腸壁を引っ掻くようにして精液を掻き出し、ぐちゅぐちゅと音を立てる。
下腹の性感帯を二つもほじくり回され、抑えようとしているのに絶頂が近付いてくる。
「イくっ、んにゃっ、ぁあっ……イくっ、イく、イくぅぅっ! ぅあっ!? あぁああっ! やぁっ、止めてっ、しぇんぱっ、指止めてぇっ! またイっちゃ……あぁああーっ!」
二人の目的は俺の身体を綺麗にすること、俺が絶頂したかどうかなんて関係なく手を動かす。いや、二人は楽しんではいる。何度も抱かれて敏感になった穴をほじくり回されて絶頂し、出せる精液も尽きた性器を情けなく揺らしている俺を見て、きっと楽しく風呂の時間を過ごしているのだ。
脱衣所、俺は椅子に座らされ、バスタオルを羽織らされていた。
「つ、つつ、月乃宮くんっ、ごめんね……ちょっとし過ぎたかな」
「いや、大丈夫……悪いな、上手く立てなくて……」
先に着替えを済ませた二人は絶頂のし過ぎで足腰が立たなくなった俺の世話を焼いてくれる。
「……着せたか? ドライヤーかけるぞ」
「ぁ、うん」
ミチが俺の頭をタオルで拭き、センパイが温風を浴びせる。奇妙な共同作業を行いながらミチは俺の鼻先に唇を触れさせた。
「ミチ……?」
「えへへー……なぁに?」
「いや……」
仕草まで可愛らしい子だ。彼を泣かせるようなことはしたくない。そう改めて思い、脱衣所を後にした。
病室に戻ると従兄が待っていたようで、センパイの声のトーンが半音上がった。目が見えていなくても機嫌などは分かるものだな。
「そうそう、月乃宮様ちょっと連れて帰りたいんだが、いいな?」
「……理由は?」
センパイの声のトーンがかなり下がった。俺の腕に抱きついているミチの腕の力が強くなった。
「目が開かない件、ちゃんと調べたくてな」
嘘だ、従兄にはレンの仕業だと伝えたはずだ。何かセンパイには言えない別の用事があるのだろう。
「…………分かった。ノゾム、こまめに連絡してくれ」
「多分明日また来ますよ?」
「……明日までお前を我慢しろと? そんな酷いことを言わないでくれ」
「酷いって……分かりましたよ、メッセ送ります」
センパイはそっとミチを引き剥がして俺を抱き締め、動物ように頬に頬を擦り付けた。病院の香りの薄い石鹸の匂いがする。
「…………愛してる」
「俺も、愛してます」
「……すぐに戻ってきてくれ。放って置かれたら、俺は……」
「はい、すぐに戻ります。だから元気に待っててくださいね」
今生の別れかと言いたくなるくらいに強く長く抱き締められ、見送られた。従兄に連れられ乗せられたのはきっといつもの高級車だ、ミチも隣に座っている。
「真ん中の席ってシートベルト腰にしかなくて不安になりません?」
「俺はそうでもないですよ」
三人がけの後部座席、俺が真ん中、ミチが左隣で従兄が右隣だ。ミチは俺の腕を抱き締めて肩に頭を乗せている。
車が発進してしばらく、ミチが遠慮がちに話し始めた。
「月乃宮くん……か、かか、形州……本当に、信じて大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ。病院じゃなかなかタバコ吸えないからイライラしてるのに、ミチに怒鳴ったりしなかったろ? 前までだったら絶対キレてた、センパイはいい人になったんだよ」
「そ、そそ、そうなの? 前は、確かに、脅されたけど……今日は、割と……」
抱きつかれていない方の手でミチの頬を撫でる。
「それよりさ、ミチ、センパイに対して全然引いてなかった、すごいじゃん。カッコよかったぞ」
「カ、カカ、カッ……!? ほ、ほんとっ? そんな……ぁ、えと、えっと、怖かったけど君を守らなきゃって!」
「ありがとうな。カッコいい彼氏持てて俺は幸せ者だよ」
「えへへへへ……ぼ、ぼ僕もっ、可愛い彼氏持てて幸せ!」
センパイに関してあまり注意し過ぎてもミチは複雑な気持ちになるだろう。適度に褒めてやらないとな。
「わっ……! な、なな、何っ? なんでっ、急ブレーキ……」
猫が飛び出してきたと運転手が申し訳なさそうに説明する。しかし、俺にはそれよりもミチが俺の胸の前に手を突き出してくれたことに驚いている。
「ミチ……! お前、本当に……意外と男らしいところあるなぁ、好き、好きだぞそういうとこ!」
「えっ? わ、何、何? よ、よく分かんないけど、ありがとっ」
「ねぇお兄さん見ました? 俺は見えはしなかったんですけど、ミチ、俺のこと守る気満々なんですよ! 可愛くてカッコよくてもう本当可愛い!」
「な、なに、何言ってるのぉ、変なこと言わないでよぉ」
照れるミチも可愛らしい。呆れているのか従兄からの返事はないが、俺は構わずミチとたっぷりイチャついた。
失神していた時間は短かったのか、腸壁はまだヒクヒクと震えている感じがする。後孔からドロドロと精液が溢れていく感じもする。喉の内側が少し痛い。
俺を支えてくれているのはセンパイだろうか? 彼以外にこんな筋骨隆々の大男は知らない、きっとセンパイだ、このまま甘えていよう。
「……そんなに俺が気に入らないか」
ミチも傍に居るのかな、話し声が聞こえる。俺が起きたことには二人とも気付いていないようだ。
「あ、ぁあっ、当たり前だろっ!? お前が月乃宮君にしたことは忘れないっ! つ、つつ、月乃宮くん殴ったんだ! しかも応急処置も救急車呼ぶのも全部如月君に押し付けて! じじ、自分は逃げてぇっ!」
「…………反省してる」
「月乃宮くん頭蓋骨にヒビ入ったんだぞ!? そ、そ、そんな強く殴るなんてっ……つい、で出来るようなことじゃない! 月乃宮くん離せよ! 返せ! どうせ、またっ……!」
俺を抱き締めるセンパイの力が強くなる。
「………………許してくれたんだ。ノゾムは……殴ってしまっても、首を絞めても……死のうとしても、俺を……許して、愛してくれる……だから渡さない、もう裏切らない」
「な、な……なんで、なんでなんだろうね……僕とか、何も悪いことしてないのに……悪いことして反省しましたってお前みたいな奴の方がいい子扱いされるんだよね!」
そろそろ止めた方がよさそうだ。声を出そうとしたが、喉が痛んで咳き込んでしまう。結果的に二人の会話は止まった。
「つ、つつ、月乃宮君? 起きたんだねっ、おいで!」
咳き込んだからか抱き締める腕を緩めたセンパイからミチが強引に俺を奪う。暗闇の中、快楽の余韻で上手く動けない身体を引っ張られ、自分より小さなミチに寄りかかる。
「よしよし……ゆっくり息してね。目は開かないんだっけ、起きてるよね?」
「おき、た……ミチ、ごめん……重いだろ」
小さな手に背を叩かれ、息が整う。しかし喉の奥は粘っこいまま、上手く声が出てくれない。
「ぜ、全然大丈夫っ! 僕が身体洗ってあげるから、僕が……ぁう……ぅ、う、動けない……」
石鹸でも取ろうとしているのだろうが、俺が寄りかかったままではミチは身動きが取れないようだ。
「……お前には無理だ」
「あ、だだっ、だめ! 返せ!」
ひょいっと俺を抱き上げるのは当然、センパイだ。ミチは俺の腕を掴んで引っ張っている。
「ミチ、大丈夫……センパイ、優しいから」
「騙されてるんだよ月乃宮くんっ! そいつは、君を!」
「心配してくれてるんだな、ありがとう……でもな、ミチ、俺の信じてる人をそんなに警戒しないでくれよ」
腕を掴んだミチの手が緩む。今度は俺がミチの手を取り、腕を辿り、肩を掴んで引き寄せ、頭を撫でた。
「…………俺がノゾムを支えておく、お前がノゾムを洗ってやれ」
「いや、あの……センパイ、俺目がちょっと開かないだけなんで、ボトル渡してくれたりしたら、それで……」
「わ、わわ、分かった!」
二人とも俺の話を聞いてくれない。まぁ、断ったらまたミチが不機嫌になるかもしれないし、任せよう。
「んっ……ぁ、ちょっ……ミチ、なんで胸ばっか……」
「ピ、ピアスの穴あるから、重点的にって」
「……さっき俺が言った。こいつの方が指が細くて器用そうだからな、ピアスホールは任せる」
「ぜ、ぜぜっ、全部任せてくれてもいいよっ」
俺が想像するような意図はないのだろう。ミチの指はピアスホールのある位置に留まっている。泡を穴に押し込むように乳首をつまみ、くにくにと曲げたりして穴の内壁同士を擦り合わせるのを狙っている。
「んっ……ん、んんっ……!」
純粋な善意でしてくれているのだからと喘ぎ声を抑えると、何故か余計に身体が敏感になる。
「んんっ、ん、ぅ……んっ……!」
ぐずるような声が出てしまうのを嫌って顔を振っても意味はない。
「……感じてるのか? ノゾム。ちょうどいい、下も掻き出してしまうか。ミチ、こっちは俺がやるが構わないな? 指の長さは俺の方がある」
「ぅ……ま、ま、任せるよ……丁寧にねっ!」
「……心得てる」
臍の下で手を組み、ぐっと押さえる。そうされると腸内に残っていたらしい精液が後孔からぼとぼとと吐き出されていく。
「ん、んぅぅっ……ぁ、あぁあっ……! はぁっ、はぁ……ひぅっ!」
下腹から手が離れ、みぞおち辺りに腕を巻いて俺を支え、後孔に指を入れる。同時にミチの手が臍を丁寧に洗い始め、下腹の快感が高まっていく。
「んっ、んぅうっ……ぁああっ! せん、ぱいっ……指、んぁっ! あぁあっ!? ゃ、ミチっ、おへそ今らめぇっ! ひぁあぁあっ……! りょぉ、ほっ、ほじくんのぉっ、らめっ、らめぇっ、むりぃっ、イっちゃうっ……!」
泡まみれの細い指が臍の中を洗い、くぽくぽと音を立てる。二本の太い指が後孔を拡げ、腸壁を引っ掻くようにして精液を掻き出し、ぐちゅぐちゅと音を立てる。
下腹の性感帯を二つもほじくり回され、抑えようとしているのに絶頂が近付いてくる。
「イくっ、んにゃっ、ぁあっ……イくっ、イく、イくぅぅっ! ぅあっ!? あぁああっ! やぁっ、止めてっ、しぇんぱっ、指止めてぇっ! またイっちゃ……あぁああーっ!」
二人の目的は俺の身体を綺麗にすること、俺が絶頂したかどうかなんて関係なく手を動かす。いや、二人は楽しんではいる。何度も抱かれて敏感になった穴をほじくり回されて絶頂し、出せる精液も尽きた性器を情けなく揺らしている俺を見て、きっと楽しく風呂の時間を過ごしているのだ。
脱衣所、俺は椅子に座らされ、バスタオルを羽織らされていた。
「つ、つつ、月乃宮くんっ、ごめんね……ちょっとし過ぎたかな」
「いや、大丈夫……悪いな、上手く立てなくて……」
先に着替えを済ませた二人は絶頂のし過ぎで足腰が立たなくなった俺の世話を焼いてくれる。
「……着せたか? ドライヤーかけるぞ」
「ぁ、うん」
ミチが俺の頭をタオルで拭き、センパイが温風を浴びせる。奇妙な共同作業を行いながらミチは俺の鼻先に唇を触れさせた。
「ミチ……?」
「えへへー……なぁに?」
「いや……」
仕草まで可愛らしい子だ。彼を泣かせるようなことはしたくない。そう改めて思い、脱衣所を後にした。
病室に戻ると従兄が待っていたようで、センパイの声のトーンが半音上がった。目が見えていなくても機嫌などは分かるものだな。
「そうそう、月乃宮様ちょっと連れて帰りたいんだが、いいな?」
「……理由は?」
センパイの声のトーンがかなり下がった。俺の腕に抱きついているミチの腕の力が強くなった。
「目が開かない件、ちゃんと調べたくてな」
嘘だ、従兄にはレンの仕業だと伝えたはずだ。何かセンパイには言えない別の用事があるのだろう。
「…………分かった。ノゾム、こまめに連絡してくれ」
「多分明日また来ますよ?」
「……明日までお前を我慢しろと? そんな酷いことを言わないでくれ」
「酷いって……分かりましたよ、メッセ送ります」
センパイはそっとミチを引き剥がして俺を抱き締め、動物ように頬に頬を擦り付けた。病院の香りの薄い石鹸の匂いがする。
「…………愛してる」
「俺も、愛してます」
「……すぐに戻ってきてくれ。放って置かれたら、俺は……」
「はい、すぐに戻ります。だから元気に待っててくださいね」
今生の別れかと言いたくなるくらいに強く長く抱き締められ、見送られた。従兄に連れられ乗せられたのはきっといつもの高級車だ、ミチも隣に座っている。
「真ん中の席ってシートベルト腰にしかなくて不安になりません?」
「俺はそうでもないですよ」
三人がけの後部座席、俺が真ん中、ミチが左隣で従兄が右隣だ。ミチは俺の腕を抱き締めて肩に頭を乗せている。
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「月乃宮くん……か、かか、形州……本当に、信じて大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ。病院じゃなかなかタバコ吸えないからイライラしてるのに、ミチに怒鳴ったりしなかったろ? 前までだったら絶対キレてた、センパイはいい人になったんだよ」
「そ、そそ、そうなの? 前は、確かに、脅されたけど……今日は、割と……」
抱きつかれていない方の手でミチの頬を撫でる。
「それよりさ、ミチ、センパイに対して全然引いてなかった、すごいじゃん。カッコよかったぞ」
「カ、カカ、カッ……!? ほ、ほんとっ? そんな……ぁ、えと、えっと、怖かったけど君を守らなきゃって!」
「ありがとうな。カッコいい彼氏持てて俺は幸せ者だよ」
「えへへへへ……ぼ、ぼ僕もっ、可愛い彼氏持てて幸せ!」
センパイに関してあまり注意し過ぎてもミチは複雑な気持ちになるだろう。適度に褒めてやらないとな。
「わっ……! な、なな、何っ? なんでっ、急ブレーキ……」
猫が飛び出してきたと運転手が申し訳なさそうに説明する。しかし、俺にはそれよりもミチが俺の胸の前に手を突き出してくれたことに驚いている。
「ミチ……! お前、本当に……意外と男らしいところあるなぁ、好き、好きだぞそういうとこ!」
「えっ? わ、何、何? よ、よく分かんないけど、ありがとっ」
「ねぇお兄さん見ました? 俺は見えはしなかったんですけど、ミチ、俺のこと守る気満々なんですよ! 可愛くてカッコよくてもう本当可愛い!」
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