いわくつきの首塚を壊したら霊姦体質になりまして、周囲の男共の性奴隷に堕ちました

ムーン

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元彼になりたくないから脅してみた

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着信音が鳴り響く。レンの指が止まり、反っていた背中がベッドに落ちる。呼吸を整えてレンがどいてくれるのを待つ、スマホを見つめるレンの表情が一瞬歪み、舌打ちが聞こえた。

『……もーちっ、電話なんか後でいいだろ? 俺との時間のが大切だよな』

俺に向き直ったレンはいつも通りにこやかだ。レンが表情を歪めたのはきっと見間違い、舌打ちは聞き違いだろう。

「う、うん……いやっ、待って、お兄さんかもしれない。幽霊のことなら大事なことだ、ちょっとどいてくれ」

『…………そうだな。取ってきてやるよ』

レンはにこやかなまま俺のスマホを持ってきてくれた。礼を言って画面を見ると「ミチ」と表示されていた。

『誰だった? ミチか……電話出んの?』

「…………ダメ?」

『好きにすれば』

ぼふんっとベッドに落ち、レンはそっぽを向いてしまった。彼氏といるのに別れたばかりの元彼と通話なんて、そりゃ不機嫌にもなるよな。

「もしもし、ミチ……? どうしたんだ?」

『……今、君の家の前にいるんだ』

メリーさんみたい。一番に頭に浮かんだのはそれだったが、暗い声におふざけで返すわけにもいかず、ミチの次の言葉を待った。

『三十秒以内に来て』

「ミチ……どうしてなのか先に言ってくれ。俺達は……別れたんだ。お前は納得できないかもしれない、でもっ」

『……いーち、にーぃ、さーん』

「ミチ……行かないからな、用を言え」

『しーぃ、ごーぉ、ろーく』

ミチは俺を無視して数を数えている。三十秒経った後に何をする気なのだろう。

『もーちー、まだー?』

行くべきだろうか。レンを置いてミチの元へ行くのは裏切り行為だ。だが、俺の意思でないにせよ突き飛ばしてしまったからミチには謝らなければいけない。

『じゅーさん、じゅーし』

もう半分過ぎた、早く決めなければ。焦れば焦るほど考えがまとまらなくなる。

『もーちっ! どっち選ぶのかさっさと決めろよ!』

「……っ!? ち、違うんだ、レン……」

『俺、言ったよな? お前は俺だけのもの、お前は俺の言うことだけ聞く。他の奴らに関わるな。無視しろ、見るな、考えるな、お前には俺だけだ』

「そう……だけど、でも……」

レンがむくりと起き上がり、俺の顔を掴む。

『でも、何? もち……言えよ、何が言いたいんだ? 俺にどんな反論をする気なんだよ。お前にとって正しいのは俺だ、俺だけが正しい、俺以外は全て間違いだ。そうだろ、もち』

蛇が這うようにレンの優しい声が体の奥へと入り込む。手から力が抜けてスマホが床に落ちる。

「……うん。俺には、レンだけ」

幼い頃からずっとそうだ。俺にとって正しいのはレンだけだ。そもそもレンの言うことを聞かずに悪い連中に付き合って首塚を壊してから俺は苦痛に苛まれたのだから、レンが正しいのは証明済みだ。

「…………ミチ、ごめんな。俺行けないや」

通話を切る前に一応謝っておこうとスマホを拾って耳に当てる。

『来てくれないんだね、月乃宮くん。じゃ、もういいよ』

諦めてくれたかと安堵した瞬間、カチカチッと聞き覚えのある音が聞こえた。

「ミチ……? ごめんレンっ! 行ってくる!」

『もちっ!? 待て、せめて服着ろ!』

レンが扉の前に仁王立ち、全裸の俺を止める。

「……っ、これでいいだろ!」

俺は下着を拾って履き、扉を無理矢理開けて部屋を出た。レンは俺より力が弱いからそう難しいことではなかった。

『いいわけないだろバカもちぃーっ!』

レンの声を背に裸足で外へ出て、自宅へ走る。玄関の前にミチは立っていた、その手には予想通りカッターナイフが握られている。

「死んでやる、死んでやるっ……後悔させてやる、一生取り憑いてやるっ……」

カッターナイフの刃を首に当て、ガタガタと震えている。まだ切ってはいないようだ。

「ミチっ!」

「……っ!? つ、つつっ、月乃宮くんっ!? く、来るなぁっ! き、ききっ、来たら刺してやるっ! 君を殺して僕も死ぬっ!」

しまった、そっと近付いて刃物を奪うべきだった。
ミチは震える手でカッターナイフを握り、その刃を俺に向けている。ジリジリと近付く彼に合わせ、俺は少しずつ後退する。

「…………ミチ」

「黙れっ! 刺すって言ってるだろ!」

「……っ、ミチ……ごめん」

「うるさいっ! 動くな! 来るなぁっ!」

俺は覚悟を決め、後退するのをやめた。するとミチは止まってしまう。俺の方から近付くと今度はミチが後ずさる。

「くっ、くくっ、来るなっ! 来るなよぉっ! ほんとに刺すからなぁっ!」

俺の家の扉を背にしたミチはボロボロと涙を零している。

「ぅ、うぅぅっ、ぅぅぅ……さ、刺す、ぞっ! 本気だっ! 君をっ、殺す! 僕の彼氏に戻らないんだったら殺してやる!」

ミチをここまで追い詰めていたことに俺は気付かなかった。きっと口だけだと、ミチはなんだかんだ大丈夫な子だと、そう思っていた。

「…………ごめんな、ミチ」

俺はミチの手を握り、引き寄せた。

「…………え?」

玄関扉の前のタイルに鮮やかな赤色が斑点を作る。

『もちーっ! ちゃんと服を……もちっ!?』

振り向くと俺の制服を持って浮いているレンが居た。

「き、ききっ、如月くんっ!? え……な、何っ、透けて、何っ、ゆゆっ、幽霊……!?」

『ミチ……お前…………お前っ、お前ぇっ! 殺すっ! 殺してやるっ!』

俺の服を捨て、俺をすり抜け、レンがミチの頭を鷲掴みにする。

『よくもっ、よくも俺のノゾムにっ……!』

「痛っ! い、痛いっ! 痛いぃっ! やめて、やめてよぉっ!」

「レ、レンっ! やめろっ!」

玄関扉にミチの後頭部が強く打ち付けられる。レンを取り押さえようとしてもすり抜けてしまい、俺は咄嗟にミチの頭と扉の間に手を挟ませた。

「レン! 俺大丈夫だから! ほら、見ろよ、肌ちょっと切れただけだ! カッターナイフなんかそうそう刺さらねぇよ、あんま痛くもないから!」

幅二センチ程度、深さ数ミリの切り傷。それを見せると怒り狂っていたレンの手が止まる。

「それに、ミチがやったんじゃないんだ。俺がミチの手掴んでやらせたんだ。本気なのか知るために……ミチ、俺を殺すつもりなんかないんだろ? 死ぬ気もないよな、脅そうとしただけなんだろ?」

ミチは泣きじゃくっていて返事をしない。

「…………ごめんな。そんなことするくらい追い詰めちまったんだよな。ごめん……ごめんな」

座り込んだミチを屈んで抱き締める。

『……ノゾムー、そっち選ぶの?』

気の抜けた声に顔を上げる。レンは地面から数十センチ浮かんで俺達を見下げていた。その背後ではまだ点くはずのない電灯が明滅していた。

『俺のになるって約束したくせに』

「レン、違う、待ってくれ」

『何が違うんだよこの裏切り者っ!』

明滅していた電灯がとてつもなく明るく輝き、電球が破裂して消えた。バリーンッ! という音が閑静な住宅街に響き渡る。

『なぁ、何が違う……っ!? 痛いっ……ぅあっ、頭、痛っ……何、何これっ、頭割れるっ……』

直後、レンが地面に落ちて頭を抱えて蹲る。

「レン……? レン、大丈夫か?」

腕を掴んで顔を上げさせる。レンは頭から手を離し、血に汚れた顔で俺を見つめた。

『分かんない……めちゃくちゃ頭痛かった。でも、なんか治まった……なんだったんだろ』

レンの額に二つ、奇妙な突起がある。皮膚を突き破って生えたらしいそれも血に汚れていたが骨のように白いのが本体らしい。

「血ぃ出てる!」

俺は慌ててレンの額から垂れた血を指で拭った。しかし、俺の手に移った瞬間に見えなくなってしまった。血も霊体ということか? レンから離れたから消えたのだろうか。

『血……? うわぁ!? やっべ結構出てる! お前より多いぜもち!』

レンの手には血が移っても消えない。

「流血マウントやめろ! 頭はマジでやばいって……」

「あ、あのっ! 血より……そ、そそ、その、はは、生えてるのの方を気にした方がいいと思う……」

『生えてるの?』

「あぁ、なんか……角? っぽいの。あっ、さ、触るな触るな、痛いかも……ミチ、鏡持って……ないか。よし、一旦家に戻ろう。ミチも来い」

「えっ僕も行くの? う、うん……わわわ、分かった」

制服を持ち、俺はミチとレンと共に下着一枚でレンの家へ戻った。途中、割れた街灯の破片を踏んでしまい、脇腹よりも重い怪我を負ってしまった。
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