いわくつきの首塚を壊したら霊姦体質になりまして、周囲の男共の性奴隷に堕ちました

ムーン

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後輩に応援メッセージ撮らせてみた

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センパイが持ってきてくれた毛布を被り、ソファに寝転がる。ソファの真横、床では従兄が横になっている。

「あの、お兄さん……センパイに殴られたんですか?」

「えぇ……まぁ、抵抗しても可哀想なんで、殴られてやりましたよ」

「なんで俺にフラれるとか言ったんですか?」

従兄は深いため息をつき、虚ろな三白眼で俺を見上げる。何の感情もない瞳が俺に妄想の余地を与え、センパイの悲しそうな目を思い出させる。

「いや、如月様とガチの取り合いになる前に引かせようと思って……」

争いを避けさせたいのか? それとも……やはりレンを警戒しているのか。

「あ、そうそう。國行、俺が避けると思って殴ったみたいで、食らってやったらめちゃくちゃびっくりした上にへこんでたんですよね。自分でやっといて……って思いません?」

それはヘラヘラ笑いながら言うことなのだろうか。センパイは自分の暴力的なところを今とても嫌がっていて、直そうとしている。それは茶化さないでやって欲しい。

『意味があったかはともかく、協力ありがとうございました』

「どーも」

従兄は寝返りを打って背を向けてしまった、やはりレンとは相性が悪いようだ。

『もち、寝るのか?』

「うん……レンはどうするんだ?」

『お前が寝たらそこのテレビ扉にして一回体に帰るよ。学校終わったら電話してくれ、そっち行くから』

「テレビ……うん、分かった」

テレビから這い出てくる有名な怨霊を思い出したが、レンは幽霊の実在を知ってホラーが苦手になったようなので言わなかった。

『よしよし、ねんねこねんねこ、いい子は寝る時間だぞ』

明るいダイニング、落ちる心配もあるソファの上、寝れるかどうか心配だったがレンに胸をぽんぽんと叩かれるとすぐに眠くなった。子供の頃からこうやって寝かしつけてもらっていたから条件反射になっているのだろう。

『眠くなってきたか? ふふ……いい子だな、もちは。いい子いい子、可愛いな』

眠いけれどレンの可愛い顔を見ないのはもったいなくて目を閉じられない。

『お前は俺の子だ、俺の、俺だけの可愛い子』

「まま……」

『うん、ママだぞ? ママずっとお前の傍に居るからな、見えなくてもずーっと……ずっと、ずっと、見てるからな。ママのこと裏切っちゃやだぞ。ママだけのもちでいてくれよ』

「うん、まま……おやすみ、だいすき」

綺麗な茶色い瞳を丸くし、それから満面の笑みを浮かべ、俺の額にキスをした。濃厚な幸福感の中で俺は眠りに落ちていった。



おそらく早朝、男の話し声で目を覚ました。色っぽい低い声だ、従兄が電話をしているようだ。俺には関係ない話だろうし、学校にはまだ早いだろう、もうしばらく寝ていよう。

「このクソガキさえ来なきゃ國行は……いや、そりゃ、恋愛なんて本人達の問題ですけど、でも! 國行……いや、如月様の想いの強さなんて知りませんよ」

寝ようとしていたが、二人も知っている名前を出されては聞き耳を立ててしまう。電話相手の声は流石に聞こえない。

「っていうか彼強くし過ぎじゃないですか? 生霊を操れるのは希少な才能ですし、欲しい人材なのは分かりますけど……でも、あんなに強くしたら暴走が怖いですよ。國行に何するか……」

やはり従兄はまだレンを警戒しているようだ。

「はい、あなたからも脅しといてください……ありがとうございます、すいません手を煩わせて。はい、はい……約立たずのバカ犬で申し訳ありません。はいっ、どんな罰でも……! はい! 失礼します」

従兄は声に喜びを滲ませ、電話を切ると押し殺した声で「やった」と言った。寝転がる気配がして二度寝をしたのだと察し、俺もそうした。



二度寝の後、今度は肩を優しく揺すられて起こされた。この起こし方には覚えがある、最近毎日こうやって起こされていた。

「センパイ……おはようございます」

いつものクセで肩に添えられた手に指を絡め、引っ張って手の甲にキスをする──寸前、センパイの手は逃げてしまった。

「…………パンは机に置いてある、好きに食え」

どうして手へのキスをさせてくれなかったのかな、なんて、寝ぼけた頭はバカな疑問を抱く。起き上がると頭にあった血が下がっていくような感覚と共に思考がクリアになっていき、昨日センパイに土下座をして別れてもらったことを思い出した。

「あ、クリームパン……」

アンパンを食べているセンパイの向かいに座り、パン屋の美味しいクリームパンを手に取り、甘い匂いを嗅ぐ。すると何故か一筋の涙が頬を伝った。

「おいし……」

パン生地の柔らかさと優しい甘さ、たっぷり入ったクリームの濃厚な甘さ、大好物のクリームパンを食べ進める度、涙がポロポロ溢れてくる。

「…………何泣いてる」

口いっぱいに詰め込んだクリームパンのせいで返事が出来ない。

「……面倒くさい俺とあっさり別れられたんだ、もっと嬉しそうな顔をしろよ」

朝食を終えて立ち上がったセンパイは俺の横に立ち、眉間に皺を寄せて俺を見下ろした。

「………………なんでそんな顔をするんだ、お前が別れてと言ったから別れてやるんだ、お前が言ったから、お前がそれを望んでいるんだと思って、お前ために俺はっ……!」

包帯を巻いた手が俺に向かってくるが、寸前で失速して俺が座る椅子の背もたれを掴んだ。

「…………なぁ、なんで……なんで別れなきゃいけないんだ。理由を教えてくれ、なんで俺を捨てるんだ。昨日お前は俺の顔のクッキーなんて作っていたじゃないか、俺に甘えてきてただろ、俺だけを見ていてくれてたじゃないか……なんで、夜……急に」

背もたれが軋む音がする。包帯に血が滲んでいく。

「電話が……あったんです。レン、入院してて……それで、元気になったから、そろそろ戻ってくるって……」

「……レン、あぁ、お前が結婚を迫ってた茶髪だな? そうか……あの時は嫌がっていたくせに、気が変わったなんて言われたんだな? それでお前はキープの俺を捨ててあの茶髪の方へ行くわけだ!」

反論はない、センパイが今俺の行動を要約してくれた。

「ごめんなさい……ごめんなさい、センパイ、ごめんなさい……」

「…………謝るな」

「嫌いになんかなってません、大好きです、好きなんです、センパイのこと、俺……」

「……っ、やめろ! やめてくれっ……! なんでそんなふうに言うんだ! 嫌いになったと言うより残酷だと何故分からない! 俺を虐めたいのか!?」

「え……? だ、だって、俺……俺、センパイのこと、大好きですもん……」

センパイは歯を食いしばって肩で息をする、きっと暴力的な衝動を抑えようとしているのだろう。その様はまるで飢えた獣のようで、彼が落ち着くまで俺は身動ぎ一つ出来なかった。

「………………好きなら、なんで俺のものに……いや、分かってる、これは分かってる、俺より茶髪の方が好きだからだよな」

少し落ち着いたセンパイは巨体に似合わない小さな声でブツブツと呟く。

「…………幸せの絶頂で死にたいという俺の考えは間違ってなかった、お前に捨てられる前に……お前の腕の中で死にたかったよ」

「センパイっ、そんな……そんなこと言わないでください……」

言わせているのは俺だ。

「…………なぁ、茶髪が居なくなったら俺のところへ戻ってきてくれるか?」

「へ……?」

「………………一度突っぱねたんだ、捨てられるかもしれないだろ。茶髪に捨てられたら俺のところへ戻るのか?」

レンが俺を捨てるなんてありえないし、捨てられたらきっとショックで心臓が止まってしまう。

「……戻ってきてくれないなら、俺は」

センパイはゆっくりとキッチンへ向かい、包丁を一本取った。俺を見つめたままおもむろに首に包丁を当て、寂しげに微笑む。

「…………お前の心に最悪な姿で残ってやる」

包丁が僅かに動き、浅い切り傷から赤い血が垂れる。鮮血が引き立てた褐色肌は不謹慎にもとても扇情的で美しい。

「……戻ってきてくれるなら、その日を心待ちに生きよう」

「も、戻りますっ! 戻りますからっ! お願い……包丁、置いてください」

意外なことにセンパイは素直に包丁を置いた。首筋と鎖骨の凹凸を目立たせる鮮血をそのままにして、俺にスマホを向けた。

「……レンだったか? レンにフラれたら國行センパイのところへ戻ります、國行センパイ大好きです…………言え」

呆然とする俺に苛立っているようだが、センパイはそれを表に出さないように努め、深呼吸をしてからもう一度話した。

「…………俺が生きられるように、俺に好きと言ってくれ。毎日見返して生きる気力にするから、撮らせてくれ」

「センパイ……分かりました、それでセンパイが死なないでいてくれるなら」

センパイには別の人を見つけて欲しいし、そんな動画撮らせたくなかった。けれど、彼の命が人質だ。

「センパイ……國行、センパイ。レンにフラれたら……俺、センパイのとこへ戻ります。國行センパイ、俺、國行センパイのこと大好きですっ……」

「…………よし。ありがとう。無茶を言って悪かったな」

センパイは撮ったばかりの動画を見返し、「大好きです」のところで僅かに頬を緩めた。
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