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幼馴染と浮気相手を別れさせてみた

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とうとう射精してしまった。けれど金縛りに遭っている身体は指を曲げることすら許されない。萎えた陰茎も勃起時と同じ握り方でトイレットペーパーと共に固定される。

「レ、レンっ、今イっ、ゃあんっ! んぁっ、あぁっ!」

きゅっとつままれた両乳首がぎゅっぎゅっと不定期に強くつままれ、胸全体にピリピリと快感が広がる。

「レンっ、れ、んんっ……! んぁっ、レンっ、出たって……ゃんっ!」

我を失うほど強くはないが、まともに話せるほど弱くもない、絶妙な快感がレンに射精を知らせるのを防ぐ。

『気持ちいいか? もち。感度いい体弄るのってめちゃくちゃ楽しいなぁ、そりゃ形州もミチも夢中になるよ』

「んっ、んん……んひぁあんっ!?」

乳首の先端だけを抓られ、快感と痛みに甘い悲鳴を上げる。腰を抜かしてしまいそうだったのに、仰け反ってしまいそうだったのに、体は一ミリたりとも動くことは許されない。

『俺じゃ嫌みたいだからミチに渡そうと思ったけど、俺死ぬみたいだからミチに渡そうと思ったけど、もちってば俺でもいいし俺はまだ死なないみたいだからなぁ……ミチに悪いけど、もちは俺のもんだよな』

「ん、んゃあぁっ! 痛、ぁああっ、きも、ひっ……!」

動くのが許されているのは顔だけだ。垂れた唾液も零れた涙も拭うことは出来ない。

「イ、くっ……また、イっちゃ、ぁあぁあっ!」

『お、イったか。出したよな? じゃあ……次こっち』

レンの指がトイレットペーパーと俺の手をすり抜けて俺の陰茎の先端に触れる。

「え……? ぁ、待って、やめてっ、やらっ、イった! 今イったからぁっ!」

『うん、だからここ』

精液を出したばかりの鈴口を指の腹で塞ぎ、押さえ、指に鈴口を吸い付かせ、ぢゅくぢゅくと水音を立てる。

「んゃあっ! やらぁっ! イったとこするの辛いぃっ! イくっ、しゅぐイくぅぅぅっ! ぅ、あっ!? ゃらっ、なんでっ、なんでまだぁっ、やらっ、やぁぁっ……! ゃああっ、吹いちゃうっ、吹いちゃうかりゃあっ!」

『吹いちゃう? ふぅん、吹いてみろよ』

鈴口を指先でほじくるように擦られ、トイレットペーパーの中に潮を拭いた。指一本で潮吹きさせられても、俺の身体はピクリとも動かない。

『トイレットペーパー溶けてきたな、もう完全に溶けるまで何か出せよ。漏らしちゃってもいいからさ』

精液でも潮でもないものをレンの前で漏らすところを想像してしまい、激しく首を振りたくなるが動けない。仕方なく快楽に喘ぎながら叫ぶ。

「やらぁっ! いやぁっ! ぜった、ぃやぁっ! しゅきなこのまえれっ、もらしゅなんてぇっ……!」

『好きな子の前で漏らすなんて? 何? 嫌? 興奮する?』

「いやぁっ!」

レンだって夫が漏らすなんて嫌だろう。

『いいんだぞ、トイレなんだから。本来の使い方じゃないか』

「そぉらけどぉっ、んっ、ぁっ……! レンがっ、いるのにぃっ……そんなっ」

『お前、俺と寝てる時におねしょしたことあるじゃん』

突然昔の話をされて混乱する。俺の戸惑いを察したのか、ただの意地悪か、レンは思い出を話した。

『朝んなって起きたら布団びっちょびちょで、お前に聞いたら泣きながら「レンが夜中起きてくれないからぁ」とか人のせいにしてさ? もちちゃんは夜中に一人でトイレにも行けなくて可愛いでちゅねぇ~』

幼稚園の頃の話だ、思い出してしまった。夜中のトイレに付き合ってもらおうとレンを起こそうとして、全然起きなくて焦っているうちに股間から太腿がじんわりと温かく濡れて──!

「ぅ、うぁああっ!? なんでっ、なんで今そんな話するんだよぉレンのいじわるっ!」

『あの時はちょっとムカついてたけど、今思うと可愛さしかねぇよ』

「嬉しくない……! ぁ、あっ!? やだっ、やだってばぁっ、そここしゅるのいやぁああっ!」

消したい思い出話の直後に潮を吹かされ、羞恥心と快楽で思考回路がぐずぐずに溶けていく。

「はぁっ、はぁっ……ぁっ! ひっ、んんんっ……!」

レンは鈴口だけを弄るのをやめ、萎えた陰茎をゆっくりと扱き始めた。敏感になっている性器に触れられる快感は呼吸を不規則にさせ、酸素不足で更に思考が鈍る。

『もーちっ、もち、聞こえるか?』

胡乱な意識の中、レンの声だけが鮮明に聞こえる。

『もち、お前は俺のものなんだぞ。ここも、ここも』

「んっ! ひぁっ!」

陰茎を強く握られ、乳首を引っ掻かれ、甘い悲鳴を上げながら必死にレンの言葉を拾う。

『ここも……』

「ぁ、あぁあっ……! しょ、こっ……ひぅっ、んんんっ!」

乳首を引っ掻いた手が腹をすり抜けて腸を優しく掴む。奇妙な快感に悶えながらも、真剣な茶色い瞳を見つめる。

『全身、俺のもんだ。お前の身も心もぜーんぶ俺のもの、他の奴には触らせんな、いいな?』

「ぁ、あぁぁ……ゃ、じらすのっ、いやぁ……つよく、してっ……」

俺の腹をすり抜けた手は前立腺を撫でているが、その愛撫は触れるか触れないかも曖昧なもので、金縛りに遭っているのも重なってか焦れったくて叫びそうになる。

『お前が頼るのは俺だけだ、お前が信じるのも俺だけ、お前は俺の言うことだけ聞いて、身も心も俺のものになるんだ。俺以外に甘えんな、俺以外を信用すんな、俺以外の奴なんて無視しろ、お前の身体に俺とお前以外は触れちゃダメだ、いいな?』

「きゅってしてぇっ、きもちぃとこ、きもちよくしてよぉっ」

『は……?』

「ぁ……? い、いいっ、いいから、分かったからぁっ、レン以外の人とは何もしないっ、話もしない。しないからぁっ……お願い、きもちぃのしてぇ」

無表情になっていたレンが笑顔に戻る。

『OK、めちゃくちゃにイっていいぞ。俺の可愛いもっちーちゃん』

皮膚も筋肉も内臓も全てすり抜けて、レンの手は前立腺にだけ直接触れる。優しく掴んで手のひらで撫で、指の腹で叩き、きゅっと握って締め付けて、俺に強い快感を与える。

「イぐぅっ! イぐぅううっ! あっ、ぁ、あっ、まらイぎゅぅうゔぅっ! ィっ、ひぃっ! イぐっ、んぁあぁイぐぅううっ!」

『可愛い顔してるな、気持ちいいか?』

「ぎもぢっ、ぎもぢぃいっ! イぐの止まんにゃいっ、こりぇしゅごいぃっ!」

『だろ? おししょーさまに教えてもらったんだよ、これやったら部下の前だってのに犬が痙攣して失神したらしいぜ? もちはまだ意識保ってるな、おししょーさまSっ気ヤバいから思いっきりやったんだろうな……俺はこれが限度だわ、怖いもん』

せっかくレンが何か話してくれているのに、何を話しているのか分からない。快楽に溺れる自分が情けなくて泣きたくなるけれど、そんな申し訳なさも自己嫌悪も次の瞬間には快楽に吹っ飛ばされる。

「イぐのっ、終わんにゃぃいっ……ひぐっ、ぅううっ! イっ、ぐぅぅっ! ぅあっ、あぁあーっ!」

電撃のような快楽は次第に強くなっていき、脳と脊椎を駆け巡り、神経を焼き尽くすような錯覚を与えて俺の意識を落とさせた。

『やっと意識飛んだか。可愛いぞぉもちぃ……よしよし、いい子いい子』

機械風に言えば処理落ち、そんな状態の俺が再起動を果たすと、便器に行儀よく座っていた。目の前に浮かんでいたレンに話を聞いたところ、気絶した俺を座らせて性器と手を拭いてくれたらしい。

「なんか手間かけてごめん……」

『いいよいいよ、失神までがお仕置きのつもりだったからな』

「恐妻になるよ、レンは」

レンに支えられて立ち上がり、トイレを出る。ダイニングに入るとすぐにセンパイが駆け寄ってきた。

「…………ノゾム、遅かったな」

「ぁ……あの、トイレで寝ちゃって。すいませんでした」

かなりの時間入っていたはずだが、センパイが様子を見にこなかったとは考えにくい。レンの存在がバレることはないだろうが、一言一句気にしなければ。

「……兄ちゃんにな、言われたんだ」

まさか従兄がレンの存在をバラしたのか?

「………………お前は、月乃宮様にフラれるぞって」

「え……?」

「……分からない、分からないんだ、なんで急にあんなこと言われたのか、分からない」

今のセンパイの声は巨体に反して小さく、酷く弱々しい。

「…………そろそろフラれるって、見てたら分かるって……お前らは長続きしないって、酷いことばかり言われたんだ。ノゾムのこと諦めろって、別の奴探せって……せっかくお前を手に入れられたばかりなのに」

握ったり開いたりを繰り返すセンパイの手、その包帯には血が滲んでいる。傷が開いたのだろう。

「……………………お前は俺を捨てたりしないだろ?」

いつもなら二つ返事だった。けれど、今はレンの目がある。別れると約束した、レンが死ぬまでレンだけのものになると言ってしまった、もう成り行きに任せることなんて出来ない。

「…………捨てる気なんだな? 俺を捨てる気なんだ、母さんと同じに俺を……」

「セ、センパイ……落ち着いてください」

彼の母がどんな人物かは知らない、でもきっと俺はもっと酷い人間だ。

「……………………落ち着いてる」

センパイは握り拳を開き、俺から離れた。冷蔵庫を漁っている、何か飲みたいのだろう。

「おかえんなさーい」

ソファに座っていた従兄が振り向く、その左頬には殴られた痕跡があった。

「……ノゾム」

従兄の顔について聞きたいことはあったが、様子のおかしいセンパイを前に下手なことは聞けない。

「……誓ったよな、もうお前も他の連中も傷付けないで、お前を守る……と」

「兄ちゃんは傷付けない範囲には入りませんでした、悲しいなぁ」

「………………俺は、お前に捨てられたって、お前に何かしたりなんてしない、俺からお前を奪う奴にも……何も、しない」

硬く握って震えている手を見る限り、それは難しそうに思えるけれど、泣きそうな瞳は信じたい。

「…………正直に言ってくれないか? ノゾム。お前は……俺を捨てるのか? 兄ちゃんのただの悪趣味なからかいだよな?」

「センパイ…………センパイ、ごめんなさい、本当にごめんなさい、ごめんなさい………………別れてください」

深く頭を下げる。すぐにこれでは足りないと気付き、土下座に変える。

「…………分かった。だがこんな夜遅くには帰せない、今日は泊まれ。ここのソファで寝ろ。毛布はすぐに持ってくる」

震える声で抑揚なく話し、センパイはダイニングを出ていった。

『やっ……た! ありがとうなもちぃ、大好きだぞ、よくやったなぁ、よしよしいい子だ、あとはミチだけだな、頑張れよ』

顔を上げるとレンに抱き締められて褒められ、少しだけ心が癒された。

「上手くいってたのに………………このクソ野郎」

ほどなくしてセンパイが毛布を持って戻ってきて、無言でソファの背もたれにかけ、俺に何も言うことなくまたダイニングを出ていった。憔悴した彼を見ているだけで酷く心が痛んだ。
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