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後輩の横で不貞寝してみた
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おそらく昨日の晩、センパイは俺をスタンガンで気絶させて自宅まで運び、風呂に入れて服を着せてベッドに転がした。
起こっただろうことは容易に想像できるが、センパイの行動の意味が分からない。迎えに来た従兄を騙して暗い地下室に置き去りにして家に帰ってくるなんて……咎めたいが、俺に出来るだろうか。
「センパイ……」
センパイはベッドを背に蹲って眠っている。その手には少し古めのビデオカメラがある。起こして落としたら壊れてしまいそうなので事前に回収。
「何してたんだろ……」
撮っていたのではなく、見返していたようだ。カーソルが合っているものを再生してみた。
ビデオカメラの狭い画面の中にセンパイによく似た少年と子供が居る。学生の頃の従兄と幼いセンパイのようだ。
『くーにっゆきぃー、國行えらしいなぁ……俺ん弟なる?』
『…………にーちゃん?』
『あっははははっ! えらしいなぁー、しんけんえらしいなぁ國行、えらしい子やぁ』
従兄はセンパイを溺愛しているようだ。やはり、昨日のセンパイの行為は……とても酷い。
ビデオカメラを机に置き、振り返るとセンパイと目が合った。褐色の頬には涙の跡がある。
「…………ノゾム。何を見てたんだ?」
「すいません……勝手に昔の見ちゃいました。センパイとお兄さんが仲良くしてるところ……ねぇ、お兄さんセンパイのこと本当に可愛がってるじゃないですか、昨日なんであんなことしたんですか、酷すぎますよ……」
「…………可愛がってくれてたのは昔の話だ、今は違う」
「違いませんよっ!」
「……なんでお前にそれが言える! 当事者は俺だ、俺が兄ちゃんは変わったと感じてるんだ、昔と今の兄ちゃんは違う!」
心の底からの絶叫に面食らって何も言えなくなる。
「……俺の気持ちなんて理解しようともしないで、俺のこと嫌いだって…………しかも俺からお前を奪おうとして!」
「は……? き、嫌いって言われて拗ねてるだけじゃないですか!」
「…………違う」
センパイは膝に額を押し付けて蹲ってしまう。
「センパイ……お兄さんは恋人殴っちゃダメって、そんなやつ嫌いだぞって……そう叱っただけで、きっと本心じゃない、確かに言い方は悪いけど……でもっ……きっと。だから、だからちゃんと話してって言ったのにっ!」
「……兄ちゃんは俺の気持ちなんて分かってくれない。分かるはずがないんだ……」
本当に拗ねているだけだ。抱き締めてやれば少しは冷静になってくれるだろうか?
「………………お前と付き合えてからずっと怖かったんだ。いつ「やっぱり女がいい」って言われるか……お前の体は開発してやったが、心がそれに引っ張られてくれてるかは分からないから……だから、あの女っぽい茶髪に迫ってた時、もう……」
頭を抱き締めるとセンパイの腕が背に回った。
「……言い訳するつもりはないが、殴ってしまったのは不安と恐怖の積み重ねだったんだ。一時の感情なんてものじゃない。でもそんなこと説明したって兄ちゃんには分からない、兄ちゃんはきっと女しかダメなんだ、俺の気持ちは理解できない、短気な暴力男だと思われるだけだ」
「説明したんですか?」
胸に押し付けられているセンパイの頭が僅かに揺れる。
「説明もしないで分かってくれてないなんて……」
「……分かってくれないに決まってる! 言い訳だって呆れられる……嫌われる。母さんみたいに俺を捨てる……捨てられるくらいなら、こっちから縁を切ってやる!」
思い込みが酷い。これは従兄が言わないとダメだ。
「…………お前しか居ないんだ、俺にはお前しか居ない。なのにお前を奪おうとするから、だから……」
従兄は俺を奪おうとなんてしていない。本当に思い込みが激しい。だが、俺だけは呆れてはいけない。こんなにも被害妄想を激しくするほどにセンパイを追い詰めてしまったのは俺なのだから。
「…………兄ちゃんがうちに居た経緯は話したか? 両親が死んだから俺の親父が引き取ったんだ。死んだ理由は……夜中の山道での事故だ。兄ちゃんは助けが来るまで死体と一緒に何時間も暗い山道に居た」
「え……そ、それで苦手になったんですか? センパイ、それ知ってて……あんなことを?」
「………………最低だろう? 完璧に嫌われただろうな……俺にはもう本当にお前しか居なくなった。捨てないでくれよ、ノゾム……信じてるぞ」
まさか、俺を繋ぎ止めるためにわざと? いや、考え過ぎだ。
「……悪い、昨日ほとんど寝ていないんだ。寝させてくれ」
自己嫌悪からか暗い顔をしたセンパイはベッドに寝転がると俺を見つめた。
「…………起きた時、ここに居なかったら……」
「ずっとここに居ますよ。でも、センパイが寝たら朝ごはん食べますね。終わったらずっとここでセンパイが起きるの待ってます。あ、もしトイレ被ったら、えーっと……」
「………………数分くらい待てる。おやすみ、ノゾム」
俺の手を握るとセンパイは穏やかな顔になり、すぐに寝息を立て始めた。俺はセンパイが眠ったのを確認し、手を離してセンパイのスマホを拾った。眠るセンパイの右手親指の指紋でロックを解除し、持ったままダイニングへ向かった。
「出ないな……」
スマホ片手に食パンを焼き、従兄に電話してみたが出てくれない。そういえば昨日、センパイは従兄の上着を借りることでスマホも取り上げていた。まさかそのまま持って帰っているのか?
「はぁ……あっ、焦げてる……!」
スマホを置き、焦げた食パンを齧る。口の中に広がる苦味に顔を顰め、牛乳で誤魔化した。
「せんぱーい……は、まだぐっすり、と……はぁーっ、俺のスマホどこいったんだろ」
センパイが拾っているんじゃないかと部屋を探る。やはり従兄の上着とスマホを見つけたが、俺のスマホは見つからなかった。しかし代わりに担任から贈られた指輪は見つけられた。
「指輪……やっぱりセンパイが取ってたんだ」
担任と過ごした日々を思い出す。彼は俺を愛していたのだろうか、俺はそれに今からでも応えに向かうべきだろうか、もう考えるのに疲れた。
「はぁ……センパイ……まだ起きなさそー……」
ぐっすり眠っているセンパイを眺める。寝返りを打ったのかタオルケットがめくれている。俺はそっとセンパイの胸筋に手を添え、揉んだ。
「おぉ……」
布越しの感触にはすぐに満足出来なくなり、俺はセンパイの服をめくり上げて生の胸に触れた。ムラひとつない褐色の肌、鍛え上げられた胸筋……たまらない。
「はむっ……ん、ん……ふぁっ」
ふにゃふにゃの乳首を咥えてみたが、すぐにセンパイの手に頭を押しのけられてしまった。残念に思いながらセンパイの身体を眺めていると、股間が少し膨らんでいることに気付いた。朝立ちだろうか。
「よっ……と」
スラックスを下ろしてグレーの下着越しの性器に触れる。熱さと硬さが伝わってくる、俺の陰茎が同じ反応を示した。
「はぁ、はぁっ……やばい、何……この匂い、やばい、最高……」
下着に鼻を押し付けて匂いを嗅ぐと頭がクラクラとして下腹が疼いた。抱かれるための身体はとっくに完成している。
「寝込み襲うのは、だめ……でも、オカズくらい……」
饐えた雄の匂いに鼻腔を犯され、ただの暇つぶしにセンパイに触れようとしていただけなのに俺はいつの間にか服の中に手を入れていた。
「は、むっ……んん……せんぱい、せんぱい……!」
喉肉をえぐられたい欲望を抑えて下着越しに唇で挟むのに留める。自分の指で穴をほじくり、カクカクと腰を揺らす。
「はぁ、はぁっ……せんぱい、孕みたい……せんぱい、せんぱぁい……」
指輪を取り戻してしまったからだろうか、担任に植え付けられた子宮の勘違いが無意識に口に出る。
センパイの陰茎も下着の中でかなり大きくなってきた、もう後には引けない。俺はセンパイの下着を引っ張り下ろした。
起こっただろうことは容易に想像できるが、センパイの行動の意味が分からない。迎えに来た従兄を騙して暗い地下室に置き去りにして家に帰ってくるなんて……咎めたいが、俺に出来るだろうか。
「センパイ……」
センパイはベッドを背に蹲って眠っている。その手には少し古めのビデオカメラがある。起こして落としたら壊れてしまいそうなので事前に回収。
「何してたんだろ……」
撮っていたのではなく、見返していたようだ。カーソルが合っているものを再生してみた。
ビデオカメラの狭い画面の中にセンパイによく似た少年と子供が居る。学生の頃の従兄と幼いセンパイのようだ。
『くーにっゆきぃー、國行えらしいなぁ……俺ん弟なる?』
『…………にーちゃん?』
『あっははははっ! えらしいなぁー、しんけんえらしいなぁ國行、えらしい子やぁ』
従兄はセンパイを溺愛しているようだ。やはり、昨日のセンパイの行為は……とても酷い。
ビデオカメラを机に置き、振り返るとセンパイと目が合った。褐色の頬には涙の跡がある。
「…………ノゾム。何を見てたんだ?」
「すいません……勝手に昔の見ちゃいました。センパイとお兄さんが仲良くしてるところ……ねぇ、お兄さんセンパイのこと本当に可愛がってるじゃないですか、昨日なんであんなことしたんですか、酷すぎますよ……」
「…………可愛がってくれてたのは昔の話だ、今は違う」
「違いませんよっ!」
「……なんでお前にそれが言える! 当事者は俺だ、俺が兄ちゃんは変わったと感じてるんだ、昔と今の兄ちゃんは違う!」
心の底からの絶叫に面食らって何も言えなくなる。
「……俺の気持ちなんて理解しようともしないで、俺のこと嫌いだって…………しかも俺からお前を奪おうとして!」
「は……? き、嫌いって言われて拗ねてるだけじゃないですか!」
「…………違う」
センパイは膝に額を押し付けて蹲ってしまう。
「センパイ……お兄さんは恋人殴っちゃダメって、そんなやつ嫌いだぞって……そう叱っただけで、きっと本心じゃない、確かに言い方は悪いけど……でもっ……きっと。だから、だからちゃんと話してって言ったのにっ!」
「……兄ちゃんは俺の気持ちなんて分かってくれない。分かるはずがないんだ……」
本当に拗ねているだけだ。抱き締めてやれば少しは冷静になってくれるだろうか?
「………………お前と付き合えてからずっと怖かったんだ。いつ「やっぱり女がいい」って言われるか……お前の体は開発してやったが、心がそれに引っ張られてくれてるかは分からないから……だから、あの女っぽい茶髪に迫ってた時、もう……」
頭を抱き締めるとセンパイの腕が背に回った。
「……言い訳するつもりはないが、殴ってしまったのは不安と恐怖の積み重ねだったんだ。一時の感情なんてものじゃない。でもそんなこと説明したって兄ちゃんには分からない、兄ちゃんはきっと女しかダメなんだ、俺の気持ちは理解できない、短気な暴力男だと思われるだけだ」
「説明したんですか?」
胸に押し付けられているセンパイの頭が僅かに揺れる。
「説明もしないで分かってくれてないなんて……」
「……分かってくれないに決まってる! 言い訳だって呆れられる……嫌われる。母さんみたいに俺を捨てる……捨てられるくらいなら、こっちから縁を切ってやる!」
思い込みが酷い。これは従兄が言わないとダメだ。
「…………お前しか居ないんだ、俺にはお前しか居ない。なのにお前を奪おうとするから、だから……」
従兄は俺を奪おうとなんてしていない。本当に思い込みが激しい。だが、俺だけは呆れてはいけない。こんなにも被害妄想を激しくするほどにセンパイを追い詰めてしまったのは俺なのだから。
「…………兄ちゃんがうちに居た経緯は話したか? 両親が死んだから俺の親父が引き取ったんだ。死んだ理由は……夜中の山道での事故だ。兄ちゃんは助けが来るまで死体と一緒に何時間も暗い山道に居た」
「え……そ、それで苦手になったんですか? センパイ、それ知ってて……あんなことを?」
「………………最低だろう? 完璧に嫌われただろうな……俺にはもう本当にお前しか居なくなった。捨てないでくれよ、ノゾム……信じてるぞ」
まさか、俺を繋ぎ止めるためにわざと? いや、考え過ぎだ。
「……悪い、昨日ほとんど寝ていないんだ。寝させてくれ」
自己嫌悪からか暗い顔をしたセンパイはベッドに寝転がると俺を見つめた。
「…………起きた時、ここに居なかったら……」
「ずっとここに居ますよ。でも、センパイが寝たら朝ごはん食べますね。終わったらずっとここでセンパイが起きるの待ってます。あ、もしトイレ被ったら、えーっと……」
「………………数分くらい待てる。おやすみ、ノゾム」
俺の手を握るとセンパイは穏やかな顔になり、すぐに寝息を立て始めた。俺はセンパイが眠ったのを確認し、手を離してセンパイのスマホを拾った。眠るセンパイの右手親指の指紋でロックを解除し、持ったままダイニングへ向かった。
「出ないな……」
スマホ片手に食パンを焼き、従兄に電話してみたが出てくれない。そういえば昨日、センパイは従兄の上着を借りることでスマホも取り上げていた。まさかそのまま持って帰っているのか?
「はぁ……あっ、焦げてる……!」
スマホを置き、焦げた食パンを齧る。口の中に広がる苦味に顔を顰め、牛乳で誤魔化した。
「せんぱーい……は、まだぐっすり、と……はぁーっ、俺のスマホどこいったんだろ」
センパイが拾っているんじゃないかと部屋を探る。やはり従兄の上着とスマホを見つけたが、俺のスマホは見つからなかった。しかし代わりに担任から贈られた指輪は見つけられた。
「指輪……やっぱりセンパイが取ってたんだ」
担任と過ごした日々を思い出す。彼は俺を愛していたのだろうか、俺はそれに今からでも応えに向かうべきだろうか、もう考えるのに疲れた。
「はぁ……センパイ……まだ起きなさそー……」
ぐっすり眠っているセンパイを眺める。寝返りを打ったのかタオルケットがめくれている。俺はそっとセンパイの胸筋に手を添え、揉んだ。
「おぉ……」
布越しの感触にはすぐに満足出来なくなり、俺はセンパイの服をめくり上げて生の胸に触れた。ムラひとつない褐色の肌、鍛え上げられた胸筋……たまらない。
「はむっ……ん、ん……ふぁっ」
ふにゃふにゃの乳首を咥えてみたが、すぐにセンパイの手に頭を押しのけられてしまった。残念に思いながらセンパイの身体を眺めていると、股間が少し膨らんでいることに気付いた。朝立ちだろうか。
「よっ……と」
スラックスを下ろしてグレーの下着越しの性器に触れる。熱さと硬さが伝わってくる、俺の陰茎が同じ反応を示した。
「はぁ、はぁっ……やばい、何……この匂い、やばい、最高……」
下着に鼻を押し付けて匂いを嗅ぐと頭がクラクラとして下腹が疼いた。抱かれるための身体はとっくに完成している。
「寝込み襲うのは、だめ……でも、オカズくらい……」
饐えた雄の匂いに鼻腔を犯され、ただの暇つぶしにセンパイに触れようとしていただけなのに俺はいつの間にか服の中に手を入れていた。
「は、むっ……んん……せんぱい、せんぱい……!」
喉肉をえぐられたい欲望を抑えて下着越しに唇で挟むのに留める。自分の指で穴をほじくり、カクカクと腰を揺らす。
「はぁ、はぁっ……せんぱい、孕みたい……せんぱい、せんぱぁい……」
指輪を取り戻してしまったからだろうか、担任に植え付けられた子宮の勘違いが無意識に口に出る。
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