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攫ってきた後輩に復縁を迫ってみた

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目隠しが外されても焦点が上手く合わなくて何が見えているのかよく分からない。

「あっ、ぁあぁああーっ! んっ、く、ふぅっ、んんぅっ!」

極太の陰茎に押し潰された前立腺が気持ちいい。激しく抜き差しされる陰茎に擦られる腸壁が気持ちいい。結腸に出入りされて体内でぐぽぐぽと淫猥な音が鳴るのか気持ちいい。脳に送られるのは快楽の情報ばかりだ。

「……ノゾム、ノゾムっ、好きだ、ノゾム……泣くほどいいのか? ちゃんとイってるな?」

大きな手が下腹を覆う。

「…………震えているな。外から触っても分かる……イってるんだろう? なぁ?」

「イっでっ、りゅぅうっ……ずっと、ずっとイってりゅっ、ぅあっ、あぁああっ、イぐのっ、止まんにゃいぃっ……!」

「………………俺が一番だろ?」

下腹に当てられていただけの手が俺の腹をぐっと押し込む。絶頂し続けている腸壁が外側から陰茎に押し付けられ、摩擦が増す。

「はぐっ……! ぁ、うぅっ、きもひっ、ひぃっ、むりっ、もぉイけにゃっ、ぁああーっ!」

瞼の裏が明滅する、意識がふわふわと浮かんでいく感覚がある。失神してしまう。

「……ノゾム、ノゾム……はぁっ、そろそろ……出してやる。居るのか? 化け物共、エサはやる。ノゾムは俺のものだ、二度と触るなっ……!」

「ひゔっ……! んっ、ぁ、はぁあっ……いっぱい、きてっ……ぁ、あぁ……」

掻き出せないと察してしまう深さで精液を注がれた。陰茎が脈打つ感覚と中出しされた幸福感に酔って穏やかな快楽を堪能していると、萎えた陰茎が抜けていく強い快楽が与えられた。

「ぁ、あっ、あぁあっ、ぬけ、てっ……ぁああっ!?」

「……そんなに吸い付くな。抜きにくい」

無意識に足を絡めたり腰を突き出したりして引き止めてしまう。強く締め付けた陰茎が抜けてぢゅぽんと情けない音を鳴らした尻穴がヒクヒク震える。

「ぁ……あっ……ぁ、ぁ…………」

「…………ノゾム? ノゾム、おい……寝るのか?」

抱かれたということ以外何も分からないまま快楽でふやけた頭が意識を手放した。




目を覚ましたが窓のないコンクリート打ちっぱなしの部屋では時間は分からない、スマホもない。

「ん……ぁ、手動く」

俺の手首を縛っていたものだろう縄は床に落ちており、俺の手には縄の跡が残っていた。
部屋にあるのはその縄と、俺が今寝ているマットレス、俺にかけられていたタオルケットに、目隠し用だろう黒い布だけ。俺が着ていたはずの服はない。絨毯もエアコンもない、壁紙も貼られていないし電球は裸、ドアが一つあるだけの無愛想な部屋だ。

「指輪……」

持っていたはずのスマホや鍵も気になるが、一番気になるのは薬指にはめていたはずの指輪だ。

「えっと……とりあえず整理しよう」

ここはどこか分からない。現在時刻も分からない。ここに俺を連れてきたのはセンパイだというのは確実だが、そのセンパイは今居ない。

「センパイは……なんで俺を」

セックス中の会話はほとんど覚えていないけれど、多分復縁したがっていたと思う。捨てたのはセンパイのくせにとは思うけれど、好かれていたのは嬉しい。

「確か、首に……触っても分かんないな」

ここに来る前、首に何かを押し当てられてバチバチと音が聞こえて意識を失った。痛かった記憶もあるし、スタンガン的なものだろう。
俺を攫って縛って抱いて──そんなことしなくても口説き直してくれたら俺はコロッと落ちただろうに。いや、ずっと落ちたままだった。捨てられても這い上がれないままセンパイを求めていた。

「まぁ……いいや」

担任はもう家に帰っているだろうか、俺が自分の意思で逃げたと思うんだろうな。また厄介なことになりそうだ。

「あっ……センパイ! おかえりなさい」

担任にする言い訳を考えていると扉が開き、コンビニの袋をぶら下げたセンパイが入ってきた。俺が居る場所に帰ってきてくれたことが嬉しくて笑顔になってしまう。

「…………ただいま」

センパイは少し目を見開いて、それから微笑んだ。

「……色々買ってきた。好きに食え」

渡されたビニール袋の中身は弁当や菓子パン、お茶とジュースとタバコだった。タバコはセンパイに渡し、俺は炭酸ジュースを飲んだ。

「………………手荒な真似をしてすまなかった」

センパイはコンクリートの床に座り、沈鬱な表情を見せる。

「……何度も言ったが、お前と別れた理由は……お前を殴ったり殺しかけたりする自分が嫌になったからだ。お前と一緒に居なければ嫌いな自分にならずに済んで、大好きなお前ももっと幸せになれると思った……違った」

足を伸ばして座っていたセンパイは膝を立て、膝に肘を置いて頭を引っ掻いた。

「…………一人で居ると色々と考えて何もかも嫌になっていった。お前に似た男を口説いても、何も満たされなくて……ナンパ中に一度お前に会ったよな? あの時は……あの時だけは、心が躍った。お前を見るだけで辛かったが、同じくらい嬉しかったんだ……」

頭を抱えて蹲ってしまったセンパイの隣へ行き、膝立ちになって彼の頭を抱き締めた。

「……すまなかった、ノゾム……愛してるんだ。もうお前が居ないとダメなんだ。戻ってきてくれるよな?」

「俺を捨てたのはセンパイじゃないですか……戻ってくるのはセンパイの方です」

「…………俺を捨てないでいてくれるのか?」

「俺にはそんなことできません」

捨てる権利どころか手段すら持ち合わせていないだろう。

「…………ありがとう。あぁ、だが、やはり……お前と一緒に居るのも辛いな、触れるのも怖い」

「別に殴ってもいいんですよ」

「…………よくない」

「いいって言ってるのに……まぁ、我慢してくれるならそれでもいいですけど」

相変わらずセンパイの考えていることはよく分からないが、元鞘に収まったというわけだ。一件落着かな、一難去ってまた一難かな。

「……我慢なんかじゃない! 殴りたいなんて思ってないんだ!」

「はぁ……? あ、センパイ、俺のスマホ知りません?」

「…………あぁ、そういえばスタンガンを当てた時に落としていたな。もう要らないだろう? 俺はお前から二度と離れない、言いたいことがあるなら直接言え」

「でもスマホがないと」

大きな手が肩を強く掴む。痛みに顔を顰めながらセンパイの顔を見れば、先程までの穏やかさを失っていた。

「……ないと、何だ。俺以外と連絡が出来ない?」

「そ、そんな……そういうつもりじゃ……」

センパイは俺の肩を離すと隣に座り、ため息をついた。居心地の悪さから俯くと自分の手が見える、指輪のない薬指が寂しくなる。

「センパイ、俺の指輪どこやっちゃったんですか?」

「…………他の男からの指輪だろう?」

三白眼に睨まれて萎縮し、何も聞けなくなる。

「……乱暴者の俺が離れたところで、鞭で叩くような男に指輪ひとつで騙される……男の趣味が悪い。俺が守る。もう絶対に傷付けない。ノゾム……好きだ、愛してる、ノゾム、ノゾム……」

うわごとのように呟きながらセンパイは俺の髪や額や頬に唇を触れさせる。嬉しいけれど、少し怖い。

「…………二度と離さない。だから、お前も……」

「俺はセンパイ置いてったり嫌ったりしませんから……その不安そうな顔やめてくださいよ」

捨てられたのは俺なのに、センパイは自分が捨てられたような態度を取っている。それが気に入らなくて頬をつまんで引っ張った。

「俺がセンパイのこと好きなの伝わってないんですか?」

「……伝わってる。ありがとう……ノゾム、愛してる」

ここはどこだだとか、ここから出たいだとか、そういうことはまだ言わない方がよさそうだ。センパイの精神状態に気を配ろう。

「センパイ……俺の胸に顔押し付けて何が楽しいんですか」

「…………落ち着く。お前に触れていないと息ができない、ここが一番息ができる……」

俺って胸から酸素出てたっけ? なんて趣のないことも言わないでおこう。息ができない感覚はなんとなく分かる。

「俺、センパイに甘えるの好きだったんですけど……なんか、甘えられるのもいいですね」

しっかりとした黒髪をわしゃわしゃと撫で回し、大男に甘えられる妙な優越感に浸った。
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