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教え子を抱いてから仕事に行ってみた

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指輪を俺に渡したその晩、担任は俺を抱かずに眠った。俺は俺の写真が貼られた気色の悪い部屋ではなく彼の隣で眠るよう言われ、その通りにした。

「んっ、ん、んんっ、ぁ……あ、ぁっ……?」

他人の体温を感じながらの睡眠はとても心地のいいものだった。おそらく朝、腸壁を熱い肉棒に擦られる感覚で目が覚めた。

「ぁんっ! あ、んっ、あぁんっ! せんっ、せ?」

ベッドに膝をつかされ、後ろから突かれている。ただのバックではない、俺の腕を担任が手綱のように掴んで俺を後ろから突きまくる乱暴なセックスだ。当然担任の顔は見えない、壁が近付いたり遠ざかったりするだけだ。

「起きたんだねノゾム、おはよう」

吐息を感じる声を聞いて初めて担任に抱かれていると実感出来て、腸壁が勝手に担任の陰茎を締め付ける。

「んっ……! ふふ……可愛いね、ノゾム。寝てる時は力抜けてトロトロで、それはそれで気持ちよかったけど……起きると僕を喜ばせようときゅうきゅう締め付けてくれるんだね……愛されてるって感じがして最高」

腰振りを止めた担任は俺の耳に唇を触れさせて話しながら俺の手を離し、胸と股間に手を移した。

「ひぁっ……!」

「……ノゾムの愛に俺も応えてやらなきゃな」

いつもより少し低い声に下腹がときめく。締め付けを更に強めた瞬間、担任の手が俺の陰茎をぎゅっと握った。

「んっ、ぁああっ! ひっ、ぁ、ああっ……せんせぇっ、乳首もぉ……ぁひんっ!」

ピアスがついたままの乳首をつねられて乳首の中を通っている金属の硬さを味わう。

「せんせっ、せんせぇっ、突いてっ、ずんずんしてっ!」

「どこにどうしてどうなりたいの?」

「……っ、ノゾムの子宮、センセの子種でいっぱいにして、孕ませて欲しい……の」

「…………完璧。僕のお嫁さんは可愛いね」

腰振りが再開された。前立腺がえぐられてビクビク跳ねる陰茎を扱かる。亀頭に指が触れる度につねられている乳首と神経が繋がる感覚がある。結腸口を叩かれて内臓を揺さぶられる。全身の快感と絶頂が全て結腸開発の土台にされる。

「イくっ! イっ……くぅぅっ! ちくびもっ、ずっとイってるのにぃっ、またっ、またくるっ、深いのきちゃうっ! イっちゃうぅうっ!」

結腸を叩かれて内臓を揺さぶられての絶頂は他の部位での絶頂とは違い、重い。

「ぁあ……すごい、ぎゅうぎゅう締め付けて、震えてっ……本当すごい吸い付き、もう動かすのも楽じゃないよ……はぁっ、ノゾム、ノゾムっ、出してあげる。今度こそ孕んでっ……!」

「ぁひっ! イくっ、イっちゃ、ぁっ、ぁひぃんっ!? んっ、んんっ、ぁああっ……出て、りゅっ……は、ぁあ…………いっ、ぱい……きたぁっ」

何度も何度も突き上げられてほぐれた結腸口に精液をかけられた。萎えた陰茎が抜ける瞬間にまた喘ぎ、熱い息を漏らす口を塞ぐようなキスをされる。

「ん……ふふ、可愛い。今日は流石にお仕事行かないとまずいから、いい子でお留守番しててね」

視界の真ん中で金髪が揺れる、頭を撫でる担任の手に絡んだ俺の前髪だ。

「あ……ノゾムも一旦家帰らないとまずいかな? 電話で済むならそれでもいいけど、お母さんにちゃんとお友達の家に泊まってるって言うんだよ」

「う、ん……」

担任は慌ただしく部屋を出ていった。しばらくすると服を着替えた担任が戻ってきて、俺の手に冷たいものを握らせた。

「一応鍵渡しておくけど、出来れば家に居てね。朝ごはんはレンジに入れてあるよ。お昼は冷蔵庫に入れてあるから温めて食べて。今日の晩ごはんは何がいい?」

「……さか、な……にたの」

「分かった。行ってきます、ノゾム」

唇を触れ合わせるだけのキスをして担任は部屋から出ていった。すぐに玄関扉の開閉音も聞こえた。

「………………おやす、み」

家を出ることを許されたのも、朝食も、早くシャワーを浴びなければ太腿や尻の精液が固まってしまうことも、何もかもあえて忘れて目を閉じた。



スマホを見ると午前十時、二度寝をした体は重だるく、太腿にはカピカピの精液がこびりついていた。

「……ふわぁ」

オモチャを踏みながら鍵とスマホを持って部屋を出て、鍵をダイニングに置いてレンジを覗いた。トーストとハムエッグ、レタス、それに「冷蔵庫にスムージーがあります」というメモがあった。

「…………先に、シャワー」

シャワーを浴びると鞭で打たれた痕が痛んだ。しかし、身体中のハートを鏡に映すと心が温かくなった。担任からの愛が可視化されたような、そんな気分だ。

「……ふふ」

ヒリヒリする。お湯も水も滲みる。でも担任が俺を愛しているのは間違いないから、この傷も嫌じゃない。

「…………センパイ」

頭蓋骨にまだあるはずのヒビを探る。自分で頭に触れても見つからなかったが、痛みはまだある。センパイが俺を愛しているならこの痛みも苦にならない、でも、センパイには捨てられた。

「頭……痛い。痛み止め、もうないんだっけ……? 病院、行かなきゃ……」

鞭の痕が治ったらミチに会おう。ミチが担任以上の愛を示せなかったら別れを告げよう。
レンが戻ってきたら俺への愛の重さを教えてもらおう。その後はその時に決める。

「指輪は……まぁ高校生だし、無理かなぁ」

担任との未来の現実性を見つければ見つけるほど、俺が孕めない性別なのが怖くなる。あの発言がプレイではなく本気だとしたら、いつか子供が出来ないことに苛立った担任に殺される気がする。

「…………やっぱり、根野センはやばいかな、でもな……」

まぁ、もうしばらくは大丈夫だろう。
俺はお得意の先送りで問題から目を背け、浴室を出て身体を拭き、髪にはタオルを巻いただけで朝食を食べた。

「美味い……」

ハムエッグの絶妙な塩加減は独り言を呟いてしまうくらいには美味い。一人で朝食を食べるのは当たり前のことなのに、何故か寂しい。最近、俺は独りを嫌いすぎだ。ミチやレンのような可愛い子が寂しがるのは似合うが、俺みたいなのが寂しがっても似合わないのに。

「……もしもし、おにーさん? 今何してますか」

朝食を終えた後、テレビを見てもスマホを弄っても寂しくて仕方なくて、俺はとうとう電話をかけた。ミチも担任も学校だろうからセンパイの従兄を選んだ。

『パソコンカタカタお仕事中でーす。表家業の方も忙しいんでね』

「…………お話してくれませんか? 今、一人で寂しいんです」

忙しいからと断られるかと思っていたが、従兄はあっさりと了承してくれた。それだけで泣きそうになるなんて、俺は本当にどうかしている。

「あ、あのっ、センパイ……どんな様子ですか?」

『どんなって別に。普通に飯食って出ましたよ。あ、そうだ……ちょっとうち来てくれませんか? 色々用事があるんですよ、出来れば会って直接、それも屋内がいい』

「今からで……いいんですよね? 分かりました、行きます」

担任の家からセンパイの家は案外と近い。俺はタンスを漁って薄手のパーカーを見つけた。担任のものだろうパーカーは俺には少し大きくて袖が余ったが、何故か余ったことが嬉しかった。

「……っし、いってきまーす」

鞭の痕を隠すためにフードを目深に被り、出発。空気の悪い工場地帯の真ん中付近、センパイの家に到着。

「こんにちは、お兄さん」

無意識にフードを脱いで挨拶してしまう。褐色肌と三白眼、そのセンパイと従兄の共通点が俺の心を苛む。

「こんにちは、月乃宮様……うわっ、なんですかそれ、ハート?」

ついフードを脱いだせいで鞭の痕が見つかってしまった。俺は本当にバカだ。

「こ、これは……その」

「もしかしてアレですか? ムチウチ堂の新作、いやリメイク、鞭の痕がマークになるシリーズ改良品! こういうのって性能二の次な感じしますけど、実際どうでした?」

何この反応。いや、従兄はMなんだっけ?

「ハート型は王道ですけど、トランプのマーク各種とか星も出てるんですよね。英数字とかカタカナも出ましたっけ? ご主人様の名前を痕にできるんですよねぇ、いいなぁ、欲しいなぁ」

「……欲しいなら買えばいいじゃないですか」

「ダメなんですよそれが。このシリーズはライト層向けで……鞭としての威力が低いんです。威力が改良されたんならいいんですけど、並の鞭じゃ俺の皮膚には痕が作れないんですよ…………気持ちよくないし」

声色から察するに、従兄は本気で落ち込んでいる。

「特注すればいいだけなんですけどね。やっぱ流行りの製品がダメってのは悲しいですし、特注だろうとこんなにハッキリ可愛くは残らないし……いーい肌してますねぇ月乃宮様、羨ましい」

「いい肌って、そんな……」

「皮膚薄いんですかね? なんか血管もハッキリ見えますもんね。縄の痕も残りやすいでしょ、いいなぁー」

従兄の腕には男らしく筋や血管が浮いている。筋肉の形がよく分かる。褐色肌は確かに分厚くて丈夫そうだ。

「あの、直接会って話したいことって何ですか?」

「ちょっと待ってくださいね、誰にも聞かれたくないので」

従兄はジーンズのポケットから古びた札のようなものを取り出した。

「プライベートなお話なんで、ご退場願います」

従兄が札を指で弾くと札はひとりでに浮き上がり、燃え尽きた。同時に肩が軽くなったような気がする。

「怪異を一旦遠ざけました、怪異を消す作戦を建てたいので聞かれるわけにはいきまけんからね、この後も怪異に漏らさないでくださいよ」

「は、はい!」

真剣な顔に気圧されながらも俺は彼のセンパイによく似た姿に見とれていた。
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