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幼馴染との初めての夜を楽しんでみた

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レンの太腿の上に跨り、粗末な愚息をレンの巨根に押し付ける。先走りの汁と精液と吹いた潮、それらを塗りつけるようにぐしょ濡れの陰茎を擦り合わせる。

「はぁっ……はぁっ……レン、レンすき、レン……」

二本の陰茎を両手でまとめて握り、レンの性器に触れている喜びに浮かれる。

「……もちの、熱いな」

「レンっ、好きだから……興奮、して」

「俺もお前のこと大好きなつもりなんだけどな……ぁ、手届かねぇな。膝で我慢してくれ」

頭や頬を撫でようとしてくれたのだろう、自力で起き上がるのも難しいレンは膝を撫でてくれた。

「ぁ……や、ばっ……出ちゃう、イっちゃうっ、レンのなでなで好きすぎてっ……」

「膝でもか? すごいな……気持ちよくなれてえらいぞ、いい子いい子」

膝で快感を覚えた訳ではない、レンに撫でられているのが嬉しくて感度が上がってしまっただけだ。

「出るっ、出ちゃうぅっ……! ぁ……はぁっ、出ちゃった……」

右手で受け止めた精液のやり場に困り、不意に思い付いてレンの陰茎に塗りつけた。

「ん……? もち、それお前の……」

「……嫌だった? ぬるぬるしてた方が気持ちいいと思ったんだけど……俺の精液なんて、やっぱり気持ち悪かった?」

「好きな人のが嫌なわけないだろ? 気持ちいいよ、ありがとうな、もち」

「……えへへ」

何も入っていない口をもごもごと動かし、唾液を分泌してレンの亀頭に垂らす。様々な俺の体液によって滑りがよくなった、ぬるついた手でレンの性器を撫で回し、自分の陰茎も根元に押し付ける。

「はぁっ……本当だな、ぬるぬる……めちゃくちゃいい」

熱い吐息に顔が見たい想いが強くなる。

「こんなの知らなかったよ……ありがとうな、もち。最期にこんなの知れて幸せだよ。それも大好きなお前にしてもらえて……幸せだ、本当に幸せ。生まれてきてよかった」

返事は出来なかった。もし病気の原因が怪異ならレンは助かる。けれど本当に未知の病気の可能性が僅かにあるから何も言えない、無駄な希望を持たせるほど残酷なものはない。

「はぁっ……もち、そろそろっ……出そう」

「ぁ、う、うんっ、いつでも出して……」

レンに気付かれないように背を曲げ、亀頭の真上で口を開ける。

「もち、もうっ……出るっ」

発射されたレンの精液は俺の狙い通り、俺の口に入った。かなり零れてしまったが、十分に味わえる量だ。

「はぁっ、はぁっ……最高だったよ、ありがとうな……愛してるよ、もち」

「ん。どういたしまして……?」

まだ飲むのはもったいない。もうしばらく味わいたい。

「ん、ん……」

精液の味は人それぞれ微妙に違う、苦味が強いのは共通だが、飲み慣れた俺は美味しいと錯覚してしまう。

「……もち。片付け任せちまうな、ごめんな」

「うぅん……俺が勝手に来たんだし」

ベッドから降りてティッシュでレンの腹などを掃除する。

「…………もち、お前話し方変じゃないか? 舌でも噛んだのか?」

精液を溜めたまま話していたからだろう、少量とはいえいつも通りとはいかなかったようだ。

「そ、そうかな……いつも通りだと思うけど」

「いーや、もちに関してはレンくん間違えないぞ。怒らないから話してみ」

「…………レンの精液飲みたくて、こっそり……ちょっと。飲むのもったいなくて、ずっと……」

「うん……引くわ」

声だけでドン引きの気配が伝わってきた。落ち込んで掃除の手が止まるとすぐにレンが慰めてくれる。

「あ、いや、勘違いするなよもち。確かに引くけど、嬉しいっちゃ嬉しいよ。お前本当に俺のこと好きなんだな……ありがとうな」

「……ありがとうなんて、ちょっと違うよ。俺は勝手に好きになって、勝手に好きを続けてるだけで……レンが応えてくれたのが奇跡みたいなものなんだから」

「はは……俺も昔からずっとお前のこと好きだよ、もち。奇跡か……そうだな、お前に会えたのも全部奇跡だ。ついでにもう一つ奇跡が欲しいってのは欲張りなのかもな」

「…………もう一つ?」

「ノゾムくんのお嫁さんになって、ずっと幸せに暮らしたいな…………ははっ! おとぎ話のオチみたいだよな? バッカらしい……もうすぐ死ぬくせに、男のくせに、こんな夢……」

レンの声が震えているのに気付いた時にはもうレンを抱き締めていた。

「………………ありがとうな、もち。愛してる」

必ず助けると言いたいのに、無責任な気がして言えない。

「……掃除終わったか? ごめんな、ありがとうな。そろそろ部屋戻れよ、見つからないようにな」

「…………レンが寝るまで傍に居る。次に人が来るのは朝飯の時だろ? 大丈夫、まだ何時間もあるよ」

「お前、寝ないつもりかよ。ばーか……はは、大好き……」

強がりな悪態がただ悲しくて、俺はまた何も言えなくなる。無言のままレンの隣に寝転がり、レンを抱き締めてレンが眠るのを待った。

「…………もっと一緒に居たいなぁ」

弱々しく俺の身体を抱き返したレンの呟きを聞いた俺の肺は空気を取り込まなくなって、心臓がきゅうきゅう痛んで、息が苦しくなった。



レンが眠った。軽く頬をつまんでみたが声一つ漏らさない。レンらしい熟睡だ、彼は一度眠ったら勝手に起きるまで何をしても起こせない。このまま朝まで穏やかな時を過ごすだろう。

「……おやすみ、レン」

レンの病室を出て暗い廊下を歩く。緑の非常灯だけが点いた院内の雰囲気はホラー映画さながら、鈴の音が重なれば俺の足は止まってしまう。

「か、かけ……まくも、かしこき……」

病院で鈴の音が聞こえる訳がないとすぐに判断し、スマホを操作して従兄に教わった言葉を──

『やめよ』

──目の前に男が居る。人間ではない、霊だ。背筋が凍る。

『それは貴様ごときが扱っていい詞ではない』

シャリン、と鈴の音が止まる。いや、鈴の音ではない……のか? 男が持つ大きな杖のようなものから金属音が鳴っている。

「だ、誰……」

『貴様に罰を与えた者』

「……罰?」

『しかし貴様は罰を鬼に喰わせた。まことの鬼は貴様よ』

鬼、鬼──従兄に聞いた首塚の怪異を捕らえた者だろうか。

「お、鬼って……誰だ、どこに居るんだよ」

『……それも知らぬか』

シャン、と軽い金属音。俺の眼前に突き出された杖の頭側。

『浅慮にも他者を虐げ、無意識のまま他者を身代わりにし、自らを善と信じたまま悪行を繰り返す……それこそが最たる悪。月乃宮 望、哀れな鬼の為にも貴様はここで──』

杖が振り上げられる。男が杖で俺を殴る気だと、アレで殴られれば死んでしまうと、何故か察しているのに体が動かない。これが金縛りだろうか、こんな訳の分からない奴に何も知らないまま殺されたくない。

『──っ!?』

杖が迫る。思わず目を閉じ、鈴に似た金属音を頭の真横で聞いた。恐る恐る目を開ければ俺には杖は当たっていなかった、俺の背後に立った半透明の誰かの左腕が俺の頭を守っていた。

『……鬼。まこと、哀れな鬼よ』

シャン、シャン……と杖の音が遠ざかっていく。聞こえなくなると金縛りが解けた。

「あ、あのっ!」

すぐに振り返ったが、そこには誰も居ない。静かな病院の廊下に俺の声だけがこだました。

「……助けてくれてありがとう」

確かに今俺を守ってくれた『鬼』と呼ばれた誰かへ礼を言い、俺は足早に自分の病室に戻った。そして今の出来事を忘れないようにスマホのメモ帳に箇条書きを残し、疲れに任せて目を閉じた。



朝食を食べた後、様々な検査が行われて再び退院の話がまとまった。

「お母さんに言っておくから荷物をまとめておいて、ねー……どうせまた嫌味言われるんだろうな」

母の迎えは早くても夕方頃になるだろうから、それまではレンの元に居よう。そう決めた俺は鞄一つにまとめた荷物を部屋に置いてレンの元へ向かった。

「レーンっ、おっはよー……ぁ、お、おはようございます」

部屋には既にレンの父親が居り、レンはまだ眠っていた。

「……レン、まだ寝てるんですね」

「お前、いつ退院なんだ?」

「あ、今日です。母さんが迎えに来るまで待てって言われてて」

「……電話してくる。レンを見ておけ」

「は、はい……」

父親を見送り、ベッドの横に立ってレンを見下ろす。頬を撫でて唇を重ね、自分の唇に移った口紅を親指で拭う。レンはまだ眠っているから、この口紅は父親が引いてやったのだろう。

「……綺麗だよ、レン」

手を握りたくなった。毛布を捲って──あれ?

「レン? このアザどうしたんだ? どっかぶつけたのか?」

レンの腕に青アザがある。ベッドの柵にでもぶつけたのだろう。

「もう……綺麗な身体なんだから大事にしろよな」

アザに唇を寄せて意味もなく慰め、父親が戻ってきたのでレンの腕を毛布の中に戻して姿勢を正した。

「病院と話がついた。レンは起きそうにないし、行くぞ」

「え? 行くってどこへ……」

「俺は会社、お前は学校だ。お前の母親に連絡した、手間が省けるって喜んでたよ。相変わらずだな。早く来い」

母に連絡し、病院に保護者代理の説明がついたと? どうしてそんな真似をしたんだ。

「俺、レンの傍に居たいです」

「……学校をサボるようなガキに可愛い息子をやれるわけないだろ」

「で、でも……学校へ行ってる時間、もったいないじゃないですか。レンは……もう」

「……いいから来い!」

手を引っ張られても粘ったが結局負けてしまい、車で送られてしまった。仕方なく制服に着替えてすぐに家を出ると父親の車はまだ家の前に停まっていた。

「乗れ、送ってやる」

「え、ぁ、ありがとうございます……」

助手席に座り、居心地の悪さを車窓の流れる景色で誤魔化す。

「…………ノゾム。お前、どうしてそんな格好をし始めたんだ?」

父親の今までとは全く違う優しい声に心臓が跳ねる。

「高校に入って悪い友人を作って、お前が頻繁に夜遊びに出るようになって……レンはいつも家の外でお前の帰りを待っていた」

「大げさに言わないでくださいよ……五回に一回くらいでしょ」

「……レンはな、睡眠をコントロール出来ないんだよ、知ってるだろ? お前が帰ってくるまで起きてられずに外で寝てしまうから俺が連れて帰ってたんだ」

返事が思い付かず、黙り込む。

「レンは……いつもお前を心配していた。俺には理解が出来なかった。変わってしまったお前を変わらず慕うレンが可哀想でならなかった……お前も変わってなかったんだな、気付けなかったよ」

ぽん、と頭を撫でられる。

「昔のまま……俺の可愛い息子のままだ。見た目に気を取られて気付けなかったバカな親父に教えてくれないか? どうして急に不良ぶったんだ」

「…………虐められないように、です。こうやって不良らしくして、そういうグループに入れば……クラスのイジメをコントロール出来ると思ったんです。中学の頃みたいにレンを虐められたくなくて…………でも、ダメでした。見た目だけじゃすぐにバレて酷い目に遭いましたよ」

わしわしと頭を撫でられ続け、昔を思い出して涙が溢れる。

「……ハンドル、両手で持ってください」

「…………あぁ」

手が離れて寂しさが膨らむ。

「……なぁ、ノゾム。レンが死んでもレンを忘れたりしないでやってくれ。でも、お前も幸せになってくれ……レンに囚われるなよ」

「………………そんなこと今話したくありません」

死んだ妻に囚われたままのくせして、そんな悪態をつけるほど俺は八つ当たりが上手くなかった。
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