いわくつきの首塚を壊したら霊姦体質になりまして、周囲の男共の性奴隷に堕ちました

ムーン

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世界一安上がりな結婚式を挙げてみた

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カーテン越しの陽光の明るさで目を覚ます。時刻は五時半、早朝だ。二度寝をする気分ではないので起き上がり、伸びをする。

「ふわぁ……」

欠伸をして不意に気付く、自分の息が精液臭いことに。

「昨日の、やっぱ夢じゃなかったのか」

腰や太腿が重だるい、後孔に違和感がある。数時間前に抱かれた身体だ、性行為に慣れてしまった俺には分かる。

「どうやって病院に忍び込んだんだよ……センパイよりアイツの方が逮捕されるべきだろクソ教師……」

朝から嬉しくない出来事に気付いてしまったが、俺はしっかり朝食前に口臭を歯磨き粉で上書きしてやった。



朝食後に検査を受け、問題なしということで今日退院することになった。夕方頃に母が迎えに来るらしい、一人で帰れると言ったが抜け出した前科のせいで俺の信用度は下がっていた。

「夕方かー……暇だな」

暇だと言うだけで病院を抜け出す勇気はない、二度目となればどれだけ怒られるか分かったものじゃない。

「ぁ……そうだ」

センパイに電話をかけてみよう。昨日のメッセージには結局返信がなかったが、電話には出てくれるだろう──出た!

「もしもしっ、センパイ、あの……」

『この電話は、お客様のご希望によりおつなぎ出来ません』

「え……? ぁ、あれ……?」

想定していた低くて甘い声とは真逆の声質のアナウンスに驚き、電話を切ってしまった。番号を手動で打った訳でもないのに間違えたとは思えないが、間違えたかもしれないのでよく確認してもう一度電話をかけた。

『この電話は、お客様のご希望によりおつなぎ出来ません』

さっきと同じだ。アナウンスの内容をちゃんと聞いてみたが、聞き馴染みのない内容だった。たまに聞く電源や電波の問題とは違うのだろうか。

「電源が入っていないか……とかじゃないのかよ、何だよお客様のご希望って……」

検索すれば出てくるだろうか。

「……え? 着拒……?」

調べたところ、着信拒否をされている時のアナウンスだと分かった。しかしセンパイが俺を着信拒否する理由がない、操作ミスだろうか? だとしたら教えてやらなければ。メッセージで「俺のこと着拒してるみたいです」「解除しておいてください」と送っておいた。

「昨日の……既読、ついてないな」

まぁ、学校が終わる頃には返信が来るだろう。レンの部屋にでも行こうかな、今日こそハスミンのことについて聞かなければ。いや、その前に着替えないと。

「……っし、完璧」

着替えを終えた俺はトイレで鏡を見ながら髪を整えた。オールバックだけでなく少し立たせたいのだが、ワックスがなく水だけでは前髪を後ろにやるので限界だ。

「ハッスミンちゃーん……とか呼んだらびっくりすんだろうな~」

スキップしていると看護師に叱られたので、静かに歩いてレンの部屋へ──先客が居る、レンの父親だ。顔を合わせたくない、出るまで待とう。

「──では────よう──ない」

医師の声が薄らと聞こえる。もう少し近くに寄っても大丈夫かな。

「そんなっ……本当にダメなんですか、移植でも何でもしてください!」

「原因不明ですから……取り替えればいいという訳ではないかもしれませんし。それに、息子さんは内臓のほとんどが酷い状態でして……移植するには、少し」

「何個だって買います! 順番がどうだって言うなら海外へ行って抜かします!」

「……手術に耐えられる体力ももうありません。覚悟しておいてください」

「覚、悟……?」

「何しろ原因不明ですから、いつどうなるか……このまま容態の急変が起きないとしても、最長でも一ヶ月が限度でしょう」

「…………忘れ形見なんです。死んだ妻に似て、可愛らしくて、頭もよくて、とてもいい子で……どうして、そんなうちの子が、レンが死ななきゃならないんですか!」

何を話しているのか理解したくなくて思考が止まっていた。けれどレンの父親がハッキリと口にしたおかげで嫌でも理解した。

「とうさん……? 父さん、会社は……?」

「レン? 起きたのか……お前が死にそうだって言うのに仕事なんか行ってられるか! レン……今すぐ退院させてやる、他の病院を探そうな………………なぁ、レン……やりたいこと、ないか?」

レンの父親はきっと諦めてはいない。けれど、心のどこかでは医師の言葉を信用しているのだろう。決して死なせはしないけれど、もしもの時のために後悔のないように──そんな思考が出来る人だ、俺は見捨てられてしまったけれどレンの父親は素晴らしい人なのだ。幼い頃は俺の父親代わりをしてくれていたからよく知っている。

「何でもいいぞ。何がしたい?」

「…………もち」

「餅……? 餅が食べたいのか? いや、でも……お前はもう食事は」

「……もちに会いたい」

「隣の、月乃宮のガキか。お前はどうしてあんな奴にっ……!」

チューブが刺さった喉から漏れた音、紡がれた言葉は俺を求めていた。俺は首まで垂れた涙を拭い、病室へ入った。

「……! お前……」

父親代わりだった彼に憎しみを込めて睨まれるのは酷い苦痛だが、俺の苦痛よりもレンが大切だ。

「すいません……お見舞いに来て、話を……立ち聞きしてしまって」

「御託はいい、早く来い」

レンの父親は俺の肩を掴んで乱暴に引き寄せ、レンが寝転ぶベッドの横に立たせた。

「…………レン?」

「もち……! 来てくれたのか……嬉しい。ごめんなもち、寝転がったままで。ちょっと悪化しちゃってさ、治るまではまだかかりそうなんだ」

「……レン、死んじゃうの?」

立ち聞きしていたことをもう一度伝えると、レンは悲しそうに瞳を歪めた。

「……レンが死んじゃったら俺もう生きてけない」

レンを困らせるだけだと分かっているのに俺は幼い子供のように泣きじゃくった。

「やだ……レン、やだっ、死んじゃやだぁ……」

「もち」

俺が泣く姿を見てレンは条件反射で両手を広げる。レンの父親に背を押されてレンと抱き合う。

「いや、だっ……やだ、レン……レンっ……」

抱き合いながらポロポロと溢れる涙を拭われる。幼い頃からずっとこうだ、泣き虫な俺はレンに何度もこうしてもらっていた。もうしてもらえないのだと思うと涙はさらに溢れてきた。

「……お前にはミチが居るだろ? 俺の言うこと聞かずに仲良くなったもんな、もうお前は自分の足で立てるし歩ける。なぁもち……もちはもう俺なんかいらないだろ?」

首を横に振りたい。頷きたくない。一緒に死ぬと言いたい。

「頼むよ、もち……俺が死んだら俺のこと忘れてくれ」

心配させたら体に障るかもしれない。寿命が更に縮んでしまうかもしれない。俺のことを心配したまま死なせるなんて可哀想だ、最期くらい俺から解放してやりたい。

「もち、俺が居なくても大丈夫だよな?」

「ゔ、んっ……だい、じょぶ」

「…………はは、優しいな……もち」

嘘だと気付いているのだろう。レンは寂しそうに微笑んで俺を抱き締めた。

「……うん、それじゃあもち、もう帰れ。ミチと仲良くな」

レンは弱々しく俺を引き剥がそうとしたが、俺のレンを抱き締める力には当然かなわなかった。

「…………もち? 何してるんだよ、もう俺はいらないんだろ? 早く行けよ」

いつ死んでしまうか分からないレンから離れるなんて出来ない。レンが冷たくなるまで俺はずっとここに居る──つもりだったが、レンの父親に病室から引きずり出された。

「待って、待ってください! 入れてください! レンは、レンは俺を思って俺に離れろって言っただけで、本当はきっと!」

静かな廊下で大声を上げる。

「そんなこと分かってる! うちの息子はお前なんかにぞっこんだ、レンは優しい子だ、自分に付きっきりのお前を見たら心を痛めるだろ……! 本心を叶えたって幸せとは限らないんだよ!」

拒絶を示すように勢いよく引き戸を閉められた。
レンがすぐに自己犠牲に走ってしまうのは俺だって分かっている、自分を蔑ろにし続けてきたのを知っている。だからこそ最期は自分だけの幸せを求めて欲しい。

「…………嫁にしてやる。待ってろ、レン……!」

俺はまた病院を抜け出して家に帰った。半透明の白いカーテンを引きちぎり、それを持ったまま服屋に駆け込んで白いワンピースとリボンを買った。全てを服屋の紙袋に詰めて俺は病院に戻った。レンの病室へ駆け込んだ。

「……っ、また来たのか!」

既に医師は居らず、部屋にはレンと彼の父親だけが居た。

「お義父さん……息子さんを、俺にください」

蒸し暑い街を走ったせいで息が上がっている、汗も酷い。疲れに任せて頭を下げ、俺は紙袋を父親に突き出した。

「……なんだ、これは」

「結婚の許可をお願いします。ここで式を……はぁっ、はぁ……すいませ、水ください……」

父親は俺に新品の麦茶を渡してくれた。ペットボトルをへこませて茶を飲み、俺は改めて父親に頭を下げた。

「……質素な服だな。それに、なんだ……カーテンか? 留め具がつきっぱなしだ、ベールにするつもりか? うちの息子を随分安く見てくれたもんだ」

紙袋の中身を出した父親は嫌味を言っていたが、レンが嬉しそうにカーテンとワンピースを抱き締めるのを見て口を噤んだ。

「…………俺のお嫁さんになってください」

ベッド脇に置かれていた誰かの見舞いの花束から一輪花を抜き取り、名前も知らない白い花を差し出した。

「喜んで! もち……ううん、望っ! 大好き!」

レンは心からの笑顔で花を受け取り、涙が溢れる目を拭った。

「父さん、着替えさせて」

「…………分かったよ。おい、外に出てろ。花嫁の着替えを見るバカがどこに居る」

再び病室から追い出されてしまったが、今度は素直に扉の前で待った。しばらく待つと入っていいと不機嫌な声が聞こえ、扉を開けると俺の花嫁が立っていた。

「リボンの使い方はこれで合ってるよな?」

二つ折りにしたカーテンの折り目の部分にリボンを通し、リボンを頭に巻いてカーテンをベール代わりに固定する。幼い頃の結婚式ごっこでよくやった手だ、覚えていてくれたらしい。

「…………お前が変わってないことは分かったよ。このクソダサい金髪染めてから出直せと言いたいところだが、な……」

レンには時間がない。父親はその言葉は言わず、疎ましそうに俺の髪を掴んでいた手を離した。

「……レン、綺麗だよ」

白いワンピースを着てカーテンを被ったレンは父親に支えられている、もう一人では立てないのだろう。

「顔真っ赤だなぁ、花婿様?」

楽しそうに笑うレンは本当に可愛らしくて、つい照れてしまう。高鳴る心臓を無視し、震える声で誓う。

「死ぬまで一緒に居る、幸せにしてみせる……一生レンを愛することを……誓います」

「ははっ、ぐっちゃぐちゃだな。しかも楽勝な誓いだ、せいぜい一ヶ月でいいんだもんな。はは……俺も誓うよ、死ぬまで愛し続ける。いや、死んでも……もし幽霊になれたらずっと傍に居るよ」

霊が存在すると俺は知っている。レンが死んだら従兄に薬をもらおう。霊が視えるのは確か『凪』だったかな、アレをもらってレンを見つける。そうすれば死んでいたって関係ない、レンは俺の嫁だ。

「えっと、それじゃあ……誓いのキス……する?」

「……何ニヤついてんだよ、えっち」

「ぁ、ぅ……いや、だって、好きな子と初めてキスするんだから、そりゃ……」

「初めてじゃないだろ? 昔も結婚式ごっこで何回かしたじゃん、俺のファーストキスもセカンドもサードもフォースも全部お前だよ」

ワンピースが強調する腰のくびれ。腕を巻くために存在するそのへこみに腕を絡ませ、もう片方の手でレンの頭を支える。

「ん……」

レンを支えている父親に間近で見られているのなんて気にしない。互いに目を閉じて唇を触れさせ、舌を絡めることはなく離れた。

「……よろしくな、旦那様?」

お嫁さんの顔を間近で見て、艷めく唇にたった今キスしたのだと実感し、俺は耳まで赤く染めた。
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