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後輩彼氏と怖い目に遭ってみた
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何とかセンパイの説得に成功し、何故か応急処置に精通している先輩と俺の三人で屋敷の探索に出た。まずは一度マットレスのある部屋に戻り、俺は服を着る。
「あの……絆創膏持ってませんか?」
「絆創膏? ちょい待ち」
先輩は鞄から絆創膏を取り出し、その新品の箱を開けた。
「どっか怪我したの?」
「いや、あの……乳首、が……このままじゃ」
「……見るな。とっとと寄越せ」
センパイは俺を背に隠して絆創膏を二枚奪い取り、振り返ると楽しそうに笑った。
「…………俺が貼ってやる」
「は、はい……」
まだ下しか履いていない。俺はシャツを持った手を後ろに回し、ピアスがぶら下がったままの胸を突き出した。
「……っ、痛……」
「あっ、センパイその手じゃ無理ですよ。左手だけでも無理だし……俺、自分でやります」
「……………………仕方ないな」
右利きのセンパイの右手にはステーキナイフが突き刺さっている。止血はしてあるが、痛みは当然ある。
「んっ、ぅ……ふ……センパイっ、そんな間近で見ないでくださいよ……」
鈴付きの乳首ピアスを外して財布に入れ、ピンと勃ったままの乳頭に絆創膏のガーゼ部分を押し付ける。指が震えてカサカサと擦れて気持ちよくて思わず声が漏れてしまう。
「ん……んっ、ぅ…………でき、ました」
充血して真っ赤になった乳首が感じる快楽と、そんな乳首と俺の快感に歪む顔を交互に見て楽しむセンパイの視線の二つに耐え、何とか絆創膏を貼り終えた。
「…………よかった」
「そんなこと言うのやめてください!」
「……何故だ? ノゾム、お前は可愛い。だから……っ、痛い……」
息をするように俺の腰を抱こうとしたセンパイは右手の痛みに顔を歪ませる。俺はセンパイの左側に回り、分厚い胸筋に頭を乗せた。
「シャツ着ちゃったんですね、ちょっと残念です」
部屋を出て先輩二人を探しながら、自分の制服を着る前に俺が羽織っていたシャツを着てしまったセンパイの胸筋はもう隠れてしまった。
「……出た後で好きなだけ揉ませてやる」
「ありがとうございます」
頬で胸筋のボリュームを楽しみながら歩いていると、突然悲鳴が聞こえた。
「……どこだっ!」
「えと……多分こっち! こっちから聞こえた!」
薄暗い廊下を走り、辿り着いたのは観音開きの大きな扉。そのドアノブには黒い長髪が巻きついており、傾けることすら難しい。
「開かない……先輩! 先輩居るんですか!」
くぐもった悲鳴が扉の向こうから聞こえてくる。
「どうしよう、どうしようっ……そうだ、前に……」
俺はミチが入院した時、ミチの足にあった霊的なアザを消したことを思い出した。あの時は確か、従兄から送られた呪文のようなものを読んだだけだ。圏外でも送信済みのメッセージは見られる、あれをもう一度読もう。
「……ノゾム、どけ」
「お嬢こっちおいで」
扉の前でスマホを弄っていると先輩に引っ張られる。顔を上げればセンパイが後ろ回し蹴りで扉を蹴破っていた。
「ホラーの定石を物理で解決するなんて……」
ドアノブは髪で固定されたままなのに蝶番が外れている。こんなの禁じ手だ。
「…………いつまで手を掴んでる、殺すぞ」
「あーもー狙ってねぇってば!」
「……ノゾム、おいで……痛っ」
「いい加減に右手は使っちゃダメって覚えてくださいよ。ほら、センパイ、俺は左に居ますから」
また右手で俺を抱き寄せようとしたセンパイの左側に回り、壊れた扉をくぐって中に入った。黒い絨毯に黒い壁紙……窓もないのか? 悪趣味な部屋だ。
「ひぃっ!?」
違う、黒い絨毯でも壁紙でもない。これは髪だ、床も壁も大量の髪で覆われている。
「ん……!? んぅーっ!」
部屋の中心で何かが蠢く。よく見るとそれから呻き声が発されており、それは人間サイズで──まさかセンパイが髪にぐるぐる巻きにされているのか?
「……気味の悪い部屋だ。おい、ハサミか何か持ってないのか」
「そんなもんないよ……おい、生きてるか?」
「んぅっ! んんんーっ!」
センパイと先輩は部屋の中心の黒い塊の傍に屈み、髪の繭から先輩を救出する方法を考えている。
「ちょっとずつならどうにかちぎれそうだけど」
「……右手に力が入らん、お前がやれ」
「分かったよ」
先輩が髪の束を握った瞬間、先輩に大量の髪が絡みつき、二つ目の繭が作られ始める。
「……っ!? クソっ……!」
センパイは左手だけで彼らを助けようとするが、センパイにも髪が絡みついていく。
「か、かけまくも、かしこき……いざ、なぎの、おーかみ……」
以前従兄から送られた呪文のような文のメッセージまでようやく遡った、後でメモにコピペしておこう。
「つくし……の、ひ……む? かのた、ちばな……」
無数の髪の動きが鈍ったように感じる。俺は読み上げを続けた、次第に髪は細く痩せ細り、ぷちぷちとひとりでにちぎれ始めた。
「かしこみ、かしこみ……もま、を……す?」
最後まで読み上げると細かくちぎれた髪すらも消え、部屋は通常の状態に戻った。廃墟なので綺麗とは言えないが、髪に覆われていた頃より余程いい。
「げほっ、げほっ……ぅええっ……」
「ぅっわ吐くなよ!」
髪にぐるぐる巻きにされていた先輩も助かったようだ。
「し、仕方ねぇだろっ……口も鼻も耳も、あの髪が入ってきて……!」
「マジかよ気持ち悪い……もっとちゃんと吐いとけ」
他人の嘔吐する様子を見ていたらこっちも吐きたくなる。俺はセンパイと共に壊れた扉をくぐった。
「…………突然、髪が消えた。ノゾム、お前何か言っていたな」
「ぁ、えっと……ま、魔除けのおまじないみたいなものです。ここまで効くとは思わなかったです……」
従兄が教えてくれたこの言葉は何なのだろう。何も分からずに読んでも効果があるのは普通なのだろうか、この言葉が特別なのだろうか。
「……お前が居なかったらどうなってたか」
右手を庇いながらの抱擁に胸の真ん中が痛むのを感じた。今、俺が何もしなかったらセンパイは死んでいたのかもしれない。
「センパイを助けられてよかったです」
抱き返そうと手を上げて不意に思う。ナイフが右手に深々と刺さったのは霊現象が原因で、霊現象が起こり始めたのは俺が霊を起こしてしまう体質だからで──センパイの怪我の原因は俺だ、この腕はセンパイを抱き返す権利はない。
「…………ありがとう、ノゾム。愛してる……」
センパイだけじゃない、人形に襲われた先輩も、髪に襲われた先輩も、まだ見つかっていない先輩も、全員俺のせいでとんでもない霊現象に遭遇している。
従兄のおかげでどうにかなっただけで、過去を掘り返せばミチもレンも危なかった。今後似たようなことは必ず起こる、俺のせいで何人も危険な目に遭う。
「……ノゾム、顔を上げろ。どうしたんだ? ほら、口を開けろ」
いつか俺のせいで人が死ぬ──落ち込む俺の口内にぬるりと温かいものが侵入した。弾力のある柔らかいそれは濡れていて、俺の口内を慰めるように撫で回す。
「んっ、ふ、んんっ……ん、ぅうっ……」
大きな手に耳の後ろを押さえられるのは、背の高い彼に頭だけを持ち上げられるような感覚だ。
「ん、せん、ぱっ……ぁ、んんっ……」
ぬるぬると緩やかに愛撫されるのはたまらなく心地いい。
「ん、ん……」
呼吸を忘れて、脳に酸素が届かなくなって、何も考えられなくなった頭が、身勝手に妄想する。
「ん、んっ……ん…………」
俺の生首を持ち上げて、熱っぽい表情で慈しみ、情熱的なキスをするセンパイの姿を鮮明に瞼の裏に描き出した。
「んっ……!?」
「……!? ノ、ノゾム……?」
今のは何だ? 瞼の裏に描かれたあの光景は──俺の願望か? センパイに殺されて、首だけにされて、永遠にキスをしていたいと?
なんて薄気味悪く陰鬱な願望だろう。
「…………ノゾム? ノゾム……どうしたんだ? 嫌だった……のか? どうして、突然……い、嫌なところがあったのか?」
自分が怖い。あんな鬱鬱とした妄想をするようなの俺じゃない、きっと取り憑かれているせいだ、霊に取り憑かれているから意識が死に傾いてしまうだけだ。
「……話してくれっ! ノゾム、何が嫌だったんだ、教えてくれ……俺を嫌わないでくれ!」
肩を揺さぶられて思考の海から浮上する。今にも泣き出しそうなセンパイを見た俺は、まだ思考回路が正常に戻っていない俺は、素直に答えた。
「首から上だけになっても、それでもセンパイは同じようにキスしてくれるのかなって考えて……そんなこと考える自分が気持ち悪くなりました」
「…………?」
「センパイとのキスが良すぎて、自分が頭だけになった気になって……身体の感覚薄れちゃったのがちょっと怖くなったんです。ごめんなさい」
「………………キスしながら、揉めばいいのか?」
俺の感性が異常で理解されないだけだと分かっていても、いつも雄々しく格好良いセンパイが素っ頓狂な勘違いをしたのが可愛くてたまらない。
「……ノゾム、触れるぞ。嫌なら言え」
制服のスラックスの上から尻をゆっくりと掴まれる。恐る恐るの動きなのに力は強くて、俺の小さな尻の形は容易に歪む。
「ぁ……んっ! ん、んんっ……ん、ふぅっ……んんんっ! ん、しぇんぱっ、きもちぃっ……きすしゅき、せんぱいしゅきぃ……もっと、んっ、んんっ、んんんっ!」
尻を揉まれるだけで下腹を疼かせて、勃起した陰茎を何枚もの布越しにセンパイの足に擦り付けて、舌を吸われる激しいキスを楽しむ。
「なぁ……どうする? どう声かける?」
「一段落つくまでは何言っても無駄だとと思う」
とっくに部屋から出ていた先輩二人に冷めた目で見られているなんて気付かずに、俺達はこの世に二人きりになったような気分に酔った。
「あの……絆創膏持ってませんか?」
「絆創膏? ちょい待ち」
先輩は鞄から絆創膏を取り出し、その新品の箱を開けた。
「どっか怪我したの?」
「いや、あの……乳首、が……このままじゃ」
「……見るな。とっとと寄越せ」
センパイは俺を背に隠して絆創膏を二枚奪い取り、振り返ると楽しそうに笑った。
「…………俺が貼ってやる」
「は、はい……」
まだ下しか履いていない。俺はシャツを持った手を後ろに回し、ピアスがぶら下がったままの胸を突き出した。
「……っ、痛……」
「あっ、センパイその手じゃ無理ですよ。左手だけでも無理だし……俺、自分でやります」
「……………………仕方ないな」
右利きのセンパイの右手にはステーキナイフが突き刺さっている。止血はしてあるが、痛みは当然ある。
「んっ、ぅ……ふ……センパイっ、そんな間近で見ないでくださいよ……」
鈴付きの乳首ピアスを外して財布に入れ、ピンと勃ったままの乳頭に絆創膏のガーゼ部分を押し付ける。指が震えてカサカサと擦れて気持ちよくて思わず声が漏れてしまう。
「ん……んっ、ぅ…………でき、ました」
充血して真っ赤になった乳首が感じる快楽と、そんな乳首と俺の快感に歪む顔を交互に見て楽しむセンパイの視線の二つに耐え、何とか絆創膏を貼り終えた。
「…………よかった」
「そんなこと言うのやめてください!」
「……何故だ? ノゾム、お前は可愛い。だから……っ、痛い……」
息をするように俺の腰を抱こうとしたセンパイは右手の痛みに顔を歪ませる。俺はセンパイの左側に回り、分厚い胸筋に頭を乗せた。
「シャツ着ちゃったんですね、ちょっと残念です」
部屋を出て先輩二人を探しながら、自分の制服を着る前に俺が羽織っていたシャツを着てしまったセンパイの胸筋はもう隠れてしまった。
「……出た後で好きなだけ揉ませてやる」
「ありがとうございます」
頬で胸筋のボリュームを楽しみながら歩いていると、突然悲鳴が聞こえた。
「……どこだっ!」
「えと……多分こっち! こっちから聞こえた!」
薄暗い廊下を走り、辿り着いたのは観音開きの大きな扉。そのドアノブには黒い長髪が巻きついており、傾けることすら難しい。
「開かない……先輩! 先輩居るんですか!」
くぐもった悲鳴が扉の向こうから聞こえてくる。
「どうしよう、どうしようっ……そうだ、前に……」
俺はミチが入院した時、ミチの足にあった霊的なアザを消したことを思い出した。あの時は確か、従兄から送られた呪文のようなものを読んだだけだ。圏外でも送信済みのメッセージは見られる、あれをもう一度読もう。
「……ノゾム、どけ」
「お嬢こっちおいで」
扉の前でスマホを弄っていると先輩に引っ張られる。顔を上げればセンパイが後ろ回し蹴りで扉を蹴破っていた。
「ホラーの定石を物理で解決するなんて……」
ドアノブは髪で固定されたままなのに蝶番が外れている。こんなの禁じ手だ。
「…………いつまで手を掴んでる、殺すぞ」
「あーもー狙ってねぇってば!」
「……ノゾム、おいで……痛っ」
「いい加減に右手は使っちゃダメって覚えてくださいよ。ほら、センパイ、俺は左に居ますから」
また右手で俺を抱き寄せようとしたセンパイの左側に回り、壊れた扉をくぐって中に入った。黒い絨毯に黒い壁紙……窓もないのか? 悪趣味な部屋だ。
「ひぃっ!?」
違う、黒い絨毯でも壁紙でもない。これは髪だ、床も壁も大量の髪で覆われている。
「ん……!? んぅーっ!」
部屋の中心で何かが蠢く。よく見るとそれから呻き声が発されており、それは人間サイズで──まさかセンパイが髪にぐるぐる巻きにされているのか?
「……気味の悪い部屋だ。おい、ハサミか何か持ってないのか」
「そんなもんないよ……おい、生きてるか?」
「んぅっ! んんんーっ!」
センパイと先輩は部屋の中心の黒い塊の傍に屈み、髪の繭から先輩を救出する方法を考えている。
「ちょっとずつならどうにかちぎれそうだけど」
「……右手に力が入らん、お前がやれ」
「分かったよ」
先輩が髪の束を握った瞬間、先輩に大量の髪が絡みつき、二つ目の繭が作られ始める。
「……っ!? クソっ……!」
センパイは左手だけで彼らを助けようとするが、センパイにも髪が絡みついていく。
「か、かけまくも、かしこき……いざ、なぎの、おーかみ……」
以前従兄から送られた呪文のような文のメッセージまでようやく遡った、後でメモにコピペしておこう。
「つくし……の、ひ……む? かのた、ちばな……」
無数の髪の動きが鈍ったように感じる。俺は読み上げを続けた、次第に髪は細く痩せ細り、ぷちぷちとひとりでにちぎれ始めた。
「かしこみ、かしこみ……もま、を……す?」
最後まで読み上げると細かくちぎれた髪すらも消え、部屋は通常の状態に戻った。廃墟なので綺麗とは言えないが、髪に覆われていた頃より余程いい。
「げほっ、げほっ……ぅええっ……」
「ぅっわ吐くなよ!」
髪にぐるぐる巻きにされていた先輩も助かったようだ。
「し、仕方ねぇだろっ……口も鼻も耳も、あの髪が入ってきて……!」
「マジかよ気持ち悪い……もっとちゃんと吐いとけ」
他人の嘔吐する様子を見ていたらこっちも吐きたくなる。俺はセンパイと共に壊れた扉をくぐった。
「…………突然、髪が消えた。ノゾム、お前何か言っていたな」
「ぁ、えっと……ま、魔除けのおまじないみたいなものです。ここまで効くとは思わなかったです……」
従兄が教えてくれたこの言葉は何なのだろう。何も分からずに読んでも効果があるのは普通なのだろうか、この言葉が特別なのだろうか。
「……お前が居なかったらどうなってたか」
右手を庇いながらの抱擁に胸の真ん中が痛むのを感じた。今、俺が何もしなかったらセンパイは死んでいたのかもしれない。
「センパイを助けられてよかったです」
抱き返そうと手を上げて不意に思う。ナイフが右手に深々と刺さったのは霊現象が原因で、霊現象が起こり始めたのは俺が霊を起こしてしまう体質だからで──センパイの怪我の原因は俺だ、この腕はセンパイを抱き返す権利はない。
「…………ありがとう、ノゾム。愛してる……」
センパイだけじゃない、人形に襲われた先輩も、髪に襲われた先輩も、まだ見つかっていない先輩も、全員俺のせいでとんでもない霊現象に遭遇している。
従兄のおかげでどうにかなっただけで、過去を掘り返せばミチもレンも危なかった。今後似たようなことは必ず起こる、俺のせいで何人も危険な目に遭う。
「……ノゾム、顔を上げろ。どうしたんだ? ほら、口を開けろ」
いつか俺のせいで人が死ぬ──落ち込む俺の口内にぬるりと温かいものが侵入した。弾力のある柔らかいそれは濡れていて、俺の口内を慰めるように撫で回す。
「んっ、ふ、んんっ……ん、ぅうっ……」
大きな手に耳の後ろを押さえられるのは、背の高い彼に頭だけを持ち上げられるような感覚だ。
「ん、せん、ぱっ……ぁ、んんっ……」
ぬるぬると緩やかに愛撫されるのはたまらなく心地いい。
「ん、ん……」
呼吸を忘れて、脳に酸素が届かなくなって、何も考えられなくなった頭が、身勝手に妄想する。
「ん、んっ……ん…………」
俺の生首を持ち上げて、熱っぽい表情で慈しみ、情熱的なキスをするセンパイの姿を鮮明に瞼の裏に描き出した。
「んっ……!?」
「……!? ノ、ノゾム……?」
今のは何だ? 瞼の裏に描かれたあの光景は──俺の願望か? センパイに殺されて、首だけにされて、永遠にキスをしていたいと?
なんて薄気味悪く陰鬱な願望だろう。
「…………ノゾム? ノゾム……どうしたんだ? 嫌だった……のか? どうして、突然……い、嫌なところがあったのか?」
自分が怖い。あんな鬱鬱とした妄想をするようなの俺じゃない、きっと取り憑かれているせいだ、霊に取り憑かれているから意識が死に傾いてしまうだけだ。
「……話してくれっ! ノゾム、何が嫌だったんだ、教えてくれ……俺を嫌わないでくれ!」
肩を揺さぶられて思考の海から浮上する。今にも泣き出しそうなセンパイを見た俺は、まだ思考回路が正常に戻っていない俺は、素直に答えた。
「首から上だけになっても、それでもセンパイは同じようにキスしてくれるのかなって考えて……そんなこと考える自分が気持ち悪くなりました」
「…………?」
「センパイとのキスが良すぎて、自分が頭だけになった気になって……身体の感覚薄れちゃったのがちょっと怖くなったんです。ごめんなさい」
「………………キスしながら、揉めばいいのか?」
俺の感性が異常で理解されないだけだと分かっていても、いつも雄々しく格好良いセンパイが素っ頓狂な勘違いをしたのが可愛くてたまらない。
「……ノゾム、触れるぞ。嫌なら言え」
制服のスラックスの上から尻をゆっくりと掴まれる。恐る恐るの動きなのに力は強くて、俺の小さな尻の形は容易に歪む。
「ぁ……んっ! ん、んんっ……ん、ふぅっ……んんんっ! ん、しぇんぱっ、きもちぃっ……きすしゅき、せんぱいしゅきぃ……もっと、んっ、んんっ、んんんっ!」
尻を揉まれるだけで下腹を疼かせて、勃起した陰茎を何枚もの布越しにセンパイの足に擦り付けて、舌を吸われる激しいキスを楽しむ。
「なぁ……どうする? どう声かける?」
「一段落つくまでは何言っても無駄だとと思う」
とっくに部屋から出ていた先輩二人に冷めた目で見られているなんて気付かずに、俺達はこの世に二人きりになったような気分に酔った。
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