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幼馴染とエレベーターで二人きりになった

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奇妙な空間に到着してしまったエレベーター。その中でレンと手を繋いで助けを待つ。二、三十分待てと言われたが、こんなところでは一分すら一時間に感じてしまう。

「……もち、大丈夫か? 震えてるぞ?」

「大丈夫……」

寒い。開きっぱなしのエレベーターの扉の向こう、暗闇の奥から冷気が流れ込んでくる。体を縮めて耐えているとレンがポロシャツを脱いだ。

「もち、これ羽織れ、ちょっとはマシだろ」

「え……いや、レンは? 寒いだろ」

「震えるほど寒くねぇよ」

取り憑かれている俺だけが感じている寒さなのだろうか? 押し付けられたレンのポロシャツを羽織り、自分の家とは違う洗剤の香りに目を閉じる。

「……あったかい。ありがと、レン」

閉まるボタンを連打して数百回、扉は閉まらない。スマホを見るとセンパイの従兄に連絡してから十分経っていた、彼はまだ来ない。

「…………くしゅんっ」

レンが可愛らしいくしゃみをする。
やはりこれは俺が取り憑かれているからではない、本当に気温が低い。レンは我慢していただけだ。

「レンっ……ごめん、気付かなくて。早く着てくれ」

すぐにポロシャツを返し、彼を背後から抱き締める。

「引っ付いてたらマシだから……」

無言でポロシャツを着直したレンを抱き締めていると彼は俺の腕の中で反転し、俺の背に腕を回した。

「レ、レン……?」

レンの身長は俺より十センチほど低い、正確には十一センチ。立ったまま抱き合って視線を交わせば自然とレンは上目遣いになる。

「……もち、体温高いよな。カッコつけて服貸しておいて……結局これじゃ、カッコ悪いな」

自嘲の笑みを浮かべるレンの何もかもが愛おしい。優しげな茶色いタレ目の上目遣いも、俺に服を貸してくれる男らしさも、最高だ。

「…………レンはかっこいいよ」

彼の小さな背を擦って温めつつ、俺はどうしてレンには好かれないのだろうと考える。センパイも担任もミチも、みんな俺に性欲を抱いてくれるのに、どうしてレンだけが俺を見てくれないのだろう。

「レン……レンっ、レン、聞いてくれ……俺」

レンを抱き締めているうちに我慢が効かなくなり、彼を壁に押し付けて告白を始める。

「俺……な、昔から……レンのこと」

レンは俺がセンパイとミチに二股をかけていると思っている。それなのにレンに告白すれば、俺はただの遊び人だ。

「…………昔から俺のこと、何?」

三股目は俺か? そんなふうに呆れられたら親友ですらいられなくなる。

「レンの、ことっ……顔は可愛いのに中身はかっこよくて、最高だ……って思ってる」

「……ありがとな、もち。そんなこと言ってくれるのお前だけだよ」

ミチと付き合っていると知られ、センパイとのセックスの様子を聞かれ、俺は本当にレンに告白できなくなってしまった。

「ん……? 何の音だ?」

ガン、ギィィイィ……と金属だろう何かで何かを引っ掻く音がする。その音が聞こえた直後、扉が閉まってエレベーターが上昇し始めた。

「お、閉まった……上がってる? よな」

「う、うん……」

不気味な音は始めは遠かったが段々と近付き、エレベーターの扉を叩いて引っ掻く音だと分かった。俺達が乗ったこのエレベーターは不気味な音に向けて進んでいる。

「救助かな……? 後ろ下がっといた方がいいよな」

「う、うん……」

従兄との電話から二十五分経った、そろそろ助けに来てくれる頃だ。きっとあの音を鳴らしているのは従兄だ、不気味過ぎる音だけれどそう思いたい。

「……人の声も聞こえるな」

音がかなり近い、扉一枚隔てた向こうに不気味な音の主がいる。

「……ちゃん……ろ……」

人の声が聞こえると何を言っているのか気になってしまう。俺はそろそろと扉に近付いた。

「……兄ちゃんっ、やめろ! どうしたんだいきなり……!」

センパイの声だ。そう認識した瞬間、エレベーターの扉の隙間からバールの先端が生えた。いや、外からこじ開けられている。

「ひぃっ……!?」

慌てて後ろに下がり、レンの手を握る。バールはぐいぐいと動いて扉を開け、バールの持ち主が扉の隙間からエレベーター内を覗いた。

「Here's Nozomu!」

隙間から微かに見える褐色肌、三白眼……センパイ? いや、従兄だ。

「なーんちゃって……一回やってみたかったんですよね。今開けますんで、もうしばらくお待ちを」

ギギ、ギキギ……と嫌な音が鳴り、扉がこじ開けられていく。

「っしゃ、開いた。ふーっ……筋肉痛なりそう」

扉が完全に開き、身長ほどの巨大なバールを持った従兄がため息をつく。バールにベタベタと貼られた御札が不気味だ。

「……月乃宮! 月乃宮……大丈夫か?」

センパイが従兄を突き飛ばしてエレベーター内に入り、俺の肩を掴む。頷くと太い腕に抱き締められた。

「あ、あの……状況が掴めないんですけど」

そっと手を挙げたレンが言う。センパイに離してもらってエレベーターの外に出ると呆然とした顔の病院勤務の方々や患者達がこちらを見ていた。

「あー……やばい、霊感切れてきた。充電してもらわないと」

「あ、あの……お兄さん、一体何が」

バールを担いでけらけらと笑っている従兄は異常者以外の何者でもない。

「月乃宮様、無事で何よりです。あなたに取り憑いた怪異に反応し、沈静化していた病院の怪異が目を覚ましたようですね。根深いし仕事の範囲じゃないので無視しますけど……ま、いわくつきのところには近寄らないことです」

俺のせいで怪異が起きた? 俺のせいで階段から落ちたミチが、また俺のせいで危険な目に遭うのか?

「あ、あの……その、404号室に入院してるの、友達なんです。もしあれも怪異なら助けてもらえませんか?」

「え? 嫌ですよ、今ので霊感めちゃくちゃ減りましたし、俺の仕事じゃありません。社長の命令は首塚の怪異の対応、この病院は無関係です」

「で、でも、ミチ……俺の友達が、危ないかも」

三白眼を僅かに見開き、瞳では一切笑わないまま口だけでニッコリ笑う。

「前、言いましたよね? 俺は霊感を社長に充電してもらってるって。俺は社長に注いでもらって初めて幽霊に対応できて、対応し続けると減っていくんです」

「ま、まだ少しはあるんですよね……? なら、ミチを助けるのに使ってもらえませんか?」

「あなたは俺の社長じゃありませんよね? なら俺に命令できませんよね?」

従兄はニコニコと微笑んだまま俺を見つめている。虚ろな瞳に悪寒を覚えつつも俺は引かなかった。

「め、命令じゃありません! これはお願いです、お願いしますっ! なんでもしますからミチを助けてください!」

「なんでも、ねぇ……?」

「は、はい、本当になんでも」

「その言葉、忘れないでくださいよ」

笑顔を消した従兄は肩に担いでいたバールを下ろし、床を叩いた。俺も含めて周囲の人間が全員一歩下がる。バールを持って暴れている不審者でしかないのに、どうして警察が来ないんだ?

「ミチって子、見てきます。國行と帰っててください、あなたがいると怪異が眠らなくて面倒ですから。國行! 月乃宮様をお連れして帰れ。家でヤってろ」

従兄はバールを引きずって階段の方へ向かった。姿が見えなくなって少しするとカランガランカランガランとバールが段差をぶつかっていく音が響き始める。

「な、なぁ……もち? さっきの人知り合いなのか? 何の話してたんだ?」

「わ、分かんない……センパイの従兄なんだけど、全然分かんない……」

レンはセンパイを見上げるが、センパイはゆっくりと目を閉じて首を横に振った。

「…………早く行くぞ。面倒事に巻き込まれそうだ」

病院を出て、病院の前に停められている大きな黒いバイクの前で少し話す。

「……レン、だったか? 月乃宮の友達だったな」

「こんにちは、いえ、こんばんは……先輩。よく分からないんですけど、エレベーターから出してもらってありがとうございました。また後日ちゃんとお礼を……もち、帰るぞ」

レンは俺の手を取ってバス停の方へ引っ張るが、もう片方の手をセンパイが掴む。

「……見舞いは終わりだろう? 月乃宮、今から用事はないな? 俺の家に来い」

「え……ぁ、は、はい」

従兄がセンパイの家に帰ってくるのだとしたら、聞きたいことが多すぎる。

「レン、ごめん。一人で帰れるか?」

「当たり前だろ。彼氏と仲良くな、またあんあん鳴かせてもらえよ」

「ぅ……き、気を付けて帰れよ」

「電話はかけてこなくていいからな! また明日!」

「かっ、かけねぇよ! じゃあな、ばいばい!」

奇妙な体験をした直後にレンを一人で帰らせるのは不安だったが、怪奇現象は俺のせいらしいのでむしろ安全だろう。

「…………いい友達を持ったな」

珍しくも分かりやすい笑顔を浮かべたセンパイは俺の腰に腕を回す。

「……たっぷり鳴かせてやろう」

耳元で囁かれ、下腹がきゅんっと疼いたのを感じる。姿勢を戻したセンパイは俺の顔を見てまた笑った。

「…………いい顔だ。隠すのは残念だな」

発情した俺の顔をヘルメットで隠し、バイクに跨る。俺もセンパイにならって跨り、センパイに抱きつき、センパイの家に着くのを待った。


工場敷地内に入るとセンパイはバイクを降り、バイクを停めてくるから先に部屋で待っているよう言いつけた。俺はきゅんきゅんと疼く下腹に従ってセンパイの部屋に向かう。

「は、ぁっ……嘘、だろ……ちょっと囁かれただけで、抱きついてただけでっ……こんな、反応」

へその周りを掻きむしりたいくらいに腸壁が疼いている。センパイの部屋に入ると服を着ているのに違和感を覚え、床に脱ぎ散らかした。

「はぁっ……ぁ、あっ……んんっ、せんぱいっ……國行センパイっ、センパイぃっ……」

裸でベッドに寝転がり、センパイの匂いが染み付いた枕に顔を埋め、シーツに股間を擦り付けながら両手を使って穴をほぐした。

「んっ、あっ、ぁあっ……早くっ、早くぅっ……欲しい、センパイ……」

扉が開く音が聞こえると俺は無意識のうちに仰向けになり、足を折り曲げて膝を抱え、尻穴を晒した。

「……準備万端だな」

バイクの鍵を引き出しに入れ、ベッドに腰を下ろしたセンパイは後孔に中指を挿入した。

「んぁあっ! ぁ、は、ぁっ……センパイっ、もうほぐしましたから……」

骨太なごつごつとした指が腸壁を擦る。

「ぁ、あっ……ぁああっ……せん、ぱいっ、オナホに指突っ込むなんて、変ですっ……オナホは、もっとおっきいの入れるようですぅっ……」

「……今日はゆっくりやりたい気分だ。オナホは持ち主に逆らわないよな?」

指が四本に増え、ぐちゅぐちゅと音を立てて俺の穴を弄くり回す。膝を抱えて折り曲げていたはずの足がピンと伸び、ぷるぷると震える。

「ふ、ぁっ……あぁっ、ひ、ぁあっ……」

「…………俺が鳴かせてやると言っただけでとんでもない顔をしたからな、そういうのをもっと見たいんだ。刺激を与えながらお前に話しかけて、俺の声に反応するように躾けてやる」

既に反応しているのに? そんな言葉は紡げない。俺はレンが言ったように甘えた声で鳴くだけだ。
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