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後輩の電話中にイタズラしてみた
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昼休み、センパイに呼ばれて体育倉庫に向かう。しかし教室を出てしばらくしたところでレンに肩を叩かれ、階段の裏に連れて行かれた。
「もち、どこ行くんだ」
「体育倉庫だけど……何?」
薄暗い場所で好きな子と二人きりなんて緊張してしまう、レンの目を見れない。
「なぁ……形州なのか? あの日……六月の、二十四日……お前をレイプしたの、あの大男か?」
「え……? な、なんでそうなるんだよ、違うよ……」
あの日──二年連中に輪姦された日か。レンには詳しい事情を説明していなかったんだったな。
「じゃあ誰だよ、誰にされたんだよ」
「二年の……やつ、ら。でも國行センパイが仇取ってくれて」
「なんだよ國行って! なんだよ仇って!」
レンは珍しく激昴して俺の胸ぐらを掴み、俺を壁に押し付け、怒りを孕んだ綺麗な茶色い目で俺を睨んだ。
「もちが名前で呼ぶのは俺だけだっただろ!? レイプされたのに仕返しが殴るだけかよふざけんな! なんで俺に言ってくれないんだよ、俺の方が付き合い長いのになんで! 俺なら生き地獄に突き落としてやれたのに! なんで!」
「だっ……だからだよ! レンとは付き合い長いから……レンは、大事だから……変なことに巻き込みたくなかったんだ……」
レンは両手で俺の胸ぐらを掴んでいたが、左手がぶらんと垂れ下がる。
「もち、もちには俺だけだろ、俺しか居ないって言ってた……なのに國行とか呼んでるし、知らない間に矢見とくっついてるし…………俺だけって言ったのに。なぁ、もち……俺に嘘ついたのか?」
「レン……ごめん。センパイ、色々頼りになるし、優しいし……」
「あぁ……そう…………俺、頼りないんだ」
笑っているレンの目は確かに潤んでいる。泣きそうになって、でも俺の目の前だから泣きたくなくて、無理に笑顔を作っている。
「違う……レン、俺レンのこと傷付けたくなくて」
「は…………? 傷付けたくない?」
「う、うん……だから、俺……レンのこと避けてて、勘違いしないで欲しいんだ、レンのこと嫌いとかじゃなくて、大事だからこそって言うか……」
「は? はぁ? はぁあ? 何言ってんのお前。嫌いじゃない? 大事? 傷付けたくない? 今更何言ってんの? お前ずっと前から俺をっ…………あ、ぁー……ごめん、うん、もちは悪くなかったな、俺が勝手に傷付いただけだ、全部俺が悪い……俺が、全部」
レンの様子がおかしい。レンがこんなふうに取り乱した姿なんて見たことがない。俺のせいなのか? 俺が電話やメッセージを無視していたから? 約束を破ったから? いや……ずっと前からって、何を言おうとしたんだ?
「レン、俺……レンに何かしたのか?」
「あ、大丈夫。俺が悪いから。もちは気にするなよ、もちは悪くない、大丈夫……もち、大丈夫、大丈夫、もち、お前は俺が守ってやるから、お前は好きに過ごせよ、俺のこと気にしなくていいから楽しく暮らせよ」
「レンっ……俺」
両手とも俺から離れてしまった。レンが遠くに行ってしまう気がして、怖くて、俺はレンの手を掴もうとした。しかし俺よりも先に褐色の大きな手がレンの腕を掴み、俺の手は届かなかった。
「……悪かったな。迎えに来るのが遅くなって」
「センパイ……?」
センパイは無表情のままレンの腕をひねり、レンは痛みに叫びかけて唇を噛んだ。
「や、やめてくださいっ! 友達……親友です! 幼馴染なんです! ちょっと話してて、ちょっと揉めただけで!」
無言で俺を見つめた後、パッと手を離してレンを解放した。俺はすぐにレンの手を取る。
「レン……大丈夫か? ごめんな。俺最近よく変なのに絡まれるからさ、センパイ過敏になってて……センパイに悪気はないんだよ、センパイを恨まないでくれ。腕、平気か?」
「ぁ……だ、大丈夫大丈夫! 気にするなよもち、よかったなぁカッコいい彼氏出来て! 形州センパイ、これからもその調子でもちを守ってやってくださいよ、こいつ結構泣き虫なんで! じゃ、失礼します!」
レンは明るくハキハキとした声でペラペラと調子のいい言葉を並べ、笑顔のまま去っていった。センパイに掴まれた腕を全く動かしていなかったけれど、大丈夫だろうか? 笑っていたし平気かな。
「………………彼氏」
「す、すいませんセンパイ……彼氏なんかじゃないのに。レンも多分ちょっとふざけてたんだと思います」
「……いや、構わない。あの茶髪は月乃宮に手を出そうとは?」
「してませんよ。レンは本当にそっちの気なくて……友達です」
変態幽霊に取り憑かれてすぐの頃はレンまで俺を襲わないかと心配していたのに、今やどうしてレンだけ俺を襲わないんだと不満に思っている。
複雑な恋心を自己嫌悪に変えていると太い腕に抱き寄せられ、髪に唇を触れさせられる。
「…………お前、生え際が黒くなってきてるぞ。染め直せ」
「すいません……ぁ、今日……レンと一緒にお見舞い行くんです。友達が入院しちゃって」
「……そうか、ならその後で染めろ」
本当に金髪好きなんだな、黒髪に戻したらセンパイは俺から興味を失うのかな。
「……行くぞ」
体育倉庫に連れて行かれ、二人きりのホコリっぽい空間で昼食を食べる。俺はクリームパン、センパイはサラダチキンだ。
「センパイ、もし俺が黒染めしたらどうします?」
「……染め直させる」
「じゃあ丸刈りにしたら?」
無言で睨まれた、髪型も髪色もセンパイの言いなりになっておこう。センパイは今高校三年生、大学も遠くへ行くつもりみたいだし、あと数ヶ月髪色を変えられないくらいどうってことない。
「センパイ、卒業したら……」
もう俺とは会わないよな。オナホなんて言われて散々な扱いを受けたはずなのに、いい思い出ばかりだ。寂しいな……
「……卒業したら、なんだ」
「俺とは会えなくなるわけですけど、大学で別のオナホ探すんですか?」
「…………お前をさらってやってもいいが」
「あはは……怖いこと言いますね」
いっそさらってくれないかな。母と暮らしていたくないし、幽霊まで変態ばかりのこんな街もう嫌だし、担任にはもう会いたくないし、恋心が消えるまでレンから離れていたいし──
「怖い……けど、嫌じゃない……」
「………………そうか」
「あっ、いえ……忘れてください。受験、頑張ってくださいね」
「……気が早い」
センパイは三学期になってから焦るタイプなのか。準備する人は二年の頃から、一年から始める人も──この高校にはそんな真面目な奴は居ないな。
「…………お前のスマホか?」
昼食を終えて一息ついていると着信音が鳴る。
「レンです、さっきの茶髪の」
音を消してポケットに戻そうとしたがセンパイに止められる。センパイは勝手に電話に出るとスピーカーをオンにして俺に返した。
『もしもし、もち?』
「ちょっとセンパイ……! ぁ、も、もしもし? レン? なんだ?」
『もち……形州、そばに居るか?』
センパイは首を横に振っている。居ないと言えと? レンに嘘は……いや、センパイの命令を今無視する方が怖い。
「居ない、けど」
『そっか……なぁ、もち。本当に優しくされてるんだよな、痛いこととか怖いこと、本当にないか? 脅されてないか?』
「ないよ。心配してくれてありがと。センパイ本当にいい人だから大丈夫」
どうしてセンパイがレンとの通話を聞きたがるのか分からない。感情が読めない小さな黒目が怖い。
『ごめんな、もち……さっきちょっと取り乱してさ』
「いや……俺の方がごめん。最近、レンとの約束とか破ってばっかりで…………っ!? ちょっと……!」
センパイはマットに俺を押し倒し、スマホを俺の頭の横に置かせた。
『もち?』
「あ、あぁ……ごめん、虫が……ぁっ……ゃ……」
ジャージ越しに太腿を撫でられ、本当にやめて欲しいと首をぶんぶん振って伝えるが無視され、脱がされる。
『虫? もち、昔から虫嫌いだったよな。覚えてるか? ちっちゃい虫怖がって泣いて「れんたすけてー」って』
「う、ぅんっ……そんなっ、昔のこと…………ひぁっ!」
あっという間に下半身裸にされたかと思えば尻穴に中指が挿入され、甲高い声が漏れる。
『もち……? 大丈夫なのか?』
「へい、きっ……」
ゆっくりと腸壁を撫でられ、呼吸が荒くなって声が上擦る。鳴り始めた淫靡な水音が聞こえないか不安で仕方ない、ノイズキャンセリング機能に祈ったのなんて初めてだ。
『なぁ、もち……俺さ、お前の人生に邪魔かな。だから無視するのか? もちが甘えられるの俺だけだって思ってたけど、違うみたいだし……もち、俺……もちに、俺もういらない?』
「んっ……な、なにっ、言ってんだよ。ちが、うっ……無視してたのは、無視するつもりなくてっ、ゴタゴタしてた、だけっ……ぁ、やっ……! は、ぁっ……レン、レンは、大事な友達……」
『もち…………いらないならいらないって言ってくれていいよ、もちの願いならなんでも叶えてやるから』
なんでも叶えてくれるなら俺と付き合って。そんなふうに言えたらいいのに。
「い、るっ……レン、いるからっ……そんなこと、言わないで……レン、友達、俺……レン、好きだからっ、ぁ、んっ……んぅゔっ!」
『友達? 好き? 本当? よかった、嫌われたのかと思ってて……』
激しくなっていくセンパイの指の掘削に声を漏らさないよう、口を押さえてレンの優しい声を聞く。
『なぁ、もち。俺のこと嫌ってないならさ、七夕の約束は守ってくれるよな?』
「ぅ……んっ! もち、ろんっ……一緒に、ィっ……あそ、ぶ」
『笹とか用意しちゃったんだよ俺、ちっちゃいのだけどさ……二人で短冊書こう。そうめん食べてさ、デザートも何か用意して…………二人で、昔みたいにさ』
俺がレンと親友でいられなくなったのを悲しんでいるように、レンも最近俺と遊べなくて寂しいのだろう。
「ぅんっ……! むかし、みたいにぃっ……!」
何も考えずに仲良く遊べていた、好きだと言い合えていた幼稚園よりも前に戻りたい。そう思っているのに俺はレンが寂しがっているのが嬉しくて、センパイの指をきゅうきゅう締め付けてしまう。
『もち……なぁ、本当に……一人か? 声変だけど……本当に何もないのか?』
レンの中で俺の存在は小さくない、そう分かっただけで涙が出るほど嬉しくて、センパイの中指に前立腺を抉られて射精する。
「ィ、くぅっ……! ぅ、ぁ……はぁっ、はぁっ……何も、ない、何もない、大丈夫……一人だよ、レン……」
感傷に浸っているのに無邪気とは程遠い。
『そうか……? じゃあ、またな』
通話終了の電子音が鳴ったと同時に俺は楽しそうに笑っていたセンパイに力いっぱいのビンタをかました。
「もち、どこ行くんだ」
「体育倉庫だけど……何?」
薄暗い場所で好きな子と二人きりなんて緊張してしまう、レンの目を見れない。
「なぁ……形州なのか? あの日……六月の、二十四日……お前をレイプしたの、あの大男か?」
「え……? な、なんでそうなるんだよ、違うよ……」
あの日──二年連中に輪姦された日か。レンには詳しい事情を説明していなかったんだったな。
「じゃあ誰だよ、誰にされたんだよ」
「二年の……やつ、ら。でも國行センパイが仇取ってくれて」
「なんだよ國行って! なんだよ仇って!」
レンは珍しく激昴して俺の胸ぐらを掴み、俺を壁に押し付け、怒りを孕んだ綺麗な茶色い目で俺を睨んだ。
「もちが名前で呼ぶのは俺だけだっただろ!? レイプされたのに仕返しが殴るだけかよふざけんな! なんで俺に言ってくれないんだよ、俺の方が付き合い長いのになんで! 俺なら生き地獄に突き落としてやれたのに! なんで!」
「だっ……だからだよ! レンとは付き合い長いから……レンは、大事だから……変なことに巻き込みたくなかったんだ……」
レンは両手で俺の胸ぐらを掴んでいたが、左手がぶらんと垂れ下がる。
「もち、もちには俺だけだろ、俺しか居ないって言ってた……なのに國行とか呼んでるし、知らない間に矢見とくっついてるし…………俺だけって言ったのに。なぁ、もち……俺に嘘ついたのか?」
「レン……ごめん。センパイ、色々頼りになるし、優しいし……」
「あぁ……そう…………俺、頼りないんだ」
笑っているレンの目は確かに潤んでいる。泣きそうになって、でも俺の目の前だから泣きたくなくて、無理に笑顔を作っている。
「違う……レン、俺レンのこと傷付けたくなくて」
「は…………? 傷付けたくない?」
「う、うん……だから、俺……レンのこと避けてて、勘違いしないで欲しいんだ、レンのこと嫌いとかじゃなくて、大事だからこそって言うか……」
「は? はぁ? はぁあ? 何言ってんのお前。嫌いじゃない? 大事? 傷付けたくない? 今更何言ってんの? お前ずっと前から俺をっ…………あ、ぁー……ごめん、うん、もちは悪くなかったな、俺が勝手に傷付いただけだ、全部俺が悪い……俺が、全部」
レンの様子がおかしい。レンがこんなふうに取り乱した姿なんて見たことがない。俺のせいなのか? 俺が電話やメッセージを無視していたから? 約束を破ったから? いや……ずっと前からって、何を言おうとしたんだ?
「レン、俺……レンに何かしたのか?」
「あ、大丈夫。俺が悪いから。もちは気にするなよ、もちは悪くない、大丈夫……もち、大丈夫、大丈夫、もち、お前は俺が守ってやるから、お前は好きに過ごせよ、俺のこと気にしなくていいから楽しく暮らせよ」
「レンっ……俺」
両手とも俺から離れてしまった。レンが遠くに行ってしまう気がして、怖くて、俺はレンの手を掴もうとした。しかし俺よりも先に褐色の大きな手がレンの腕を掴み、俺の手は届かなかった。
「……悪かったな。迎えに来るのが遅くなって」
「センパイ……?」
センパイは無表情のままレンの腕をひねり、レンは痛みに叫びかけて唇を噛んだ。
「や、やめてくださいっ! 友達……親友です! 幼馴染なんです! ちょっと話してて、ちょっと揉めただけで!」
無言で俺を見つめた後、パッと手を離してレンを解放した。俺はすぐにレンの手を取る。
「レン……大丈夫か? ごめんな。俺最近よく変なのに絡まれるからさ、センパイ過敏になってて……センパイに悪気はないんだよ、センパイを恨まないでくれ。腕、平気か?」
「ぁ……だ、大丈夫大丈夫! 気にするなよもち、よかったなぁカッコいい彼氏出来て! 形州センパイ、これからもその調子でもちを守ってやってくださいよ、こいつ結構泣き虫なんで! じゃ、失礼します!」
レンは明るくハキハキとした声でペラペラと調子のいい言葉を並べ、笑顔のまま去っていった。センパイに掴まれた腕を全く動かしていなかったけれど、大丈夫だろうか? 笑っていたし平気かな。
「………………彼氏」
「す、すいませんセンパイ……彼氏なんかじゃないのに。レンも多分ちょっとふざけてたんだと思います」
「……いや、構わない。あの茶髪は月乃宮に手を出そうとは?」
「してませんよ。レンは本当にそっちの気なくて……友達です」
変態幽霊に取り憑かれてすぐの頃はレンまで俺を襲わないかと心配していたのに、今やどうしてレンだけ俺を襲わないんだと不満に思っている。
複雑な恋心を自己嫌悪に変えていると太い腕に抱き寄せられ、髪に唇を触れさせられる。
「…………お前、生え際が黒くなってきてるぞ。染め直せ」
「すいません……ぁ、今日……レンと一緒にお見舞い行くんです。友達が入院しちゃって」
「……そうか、ならその後で染めろ」
本当に金髪好きなんだな、黒髪に戻したらセンパイは俺から興味を失うのかな。
「……行くぞ」
体育倉庫に連れて行かれ、二人きりのホコリっぽい空間で昼食を食べる。俺はクリームパン、センパイはサラダチキンだ。
「センパイ、もし俺が黒染めしたらどうします?」
「……染め直させる」
「じゃあ丸刈りにしたら?」
無言で睨まれた、髪型も髪色もセンパイの言いなりになっておこう。センパイは今高校三年生、大学も遠くへ行くつもりみたいだし、あと数ヶ月髪色を変えられないくらいどうってことない。
「センパイ、卒業したら……」
もう俺とは会わないよな。オナホなんて言われて散々な扱いを受けたはずなのに、いい思い出ばかりだ。寂しいな……
「……卒業したら、なんだ」
「俺とは会えなくなるわけですけど、大学で別のオナホ探すんですか?」
「…………お前をさらってやってもいいが」
「あはは……怖いこと言いますね」
いっそさらってくれないかな。母と暮らしていたくないし、幽霊まで変態ばかりのこんな街もう嫌だし、担任にはもう会いたくないし、恋心が消えるまでレンから離れていたいし──
「怖い……けど、嫌じゃない……」
「………………そうか」
「あっ、いえ……忘れてください。受験、頑張ってくださいね」
「……気が早い」
センパイは三学期になってから焦るタイプなのか。準備する人は二年の頃から、一年から始める人も──この高校にはそんな真面目な奴は居ないな。
「…………お前のスマホか?」
昼食を終えて一息ついていると着信音が鳴る。
「レンです、さっきの茶髪の」
音を消してポケットに戻そうとしたがセンパイに止められる。センパイは勝手に電話に出るとスピーカーをオンにして俺に返した。
『もしもし、もち?』
「ちょっとセンパイ……! ぁ、も、もしもし? レン? なんだ?」
『もち……形州、そばに居るか?』
センパイは首を横に振っている。居ないと言えと? レンに嘘は……いや、センパイの命令を今無視する方が怖い。
「居ない、けど」
『そっか……なぁ、もち。本当に優しくされてるんだよな、痛いこととか怖いこと、本当にないか? 脅されてないか?』
「ないよ。心配してくれてありがと。センパイ本当にいい人だから大丈夫」
どうしてセンパイがレンとの通話を聞きたがるのか分からない。感情が読めない小さな黒目が怖い。
『ごめんな、もち……さっきちょっと取り乱してさ』
「いや……俺の方がごめん。最近、レンとの約束とか破ってばっかりで…………っ!? ちょっと……!」
センパイはマットに俺を押し倒し、スマホを俺の頭の横に置かせた。
『もち?』
「あ、あぁ……ごめん、虫が……ぁっ……ゃ……」
ジャージ越しに太腿を撫でられ、本当にやめて欲しいと首をぶんぶん振って伝えるが無視され、脱がされる。
『虫? もち、昔から虫嫌いだったよな。覚えてるか? ちっちゃい虫怖がって泣いて「れんたすけてー」って』
「う、ぅんっ……そんなっ、昔のこと…………ひぁっ!」
あっという間に下半身裸にされたかと思えば尻穴に中指が挿入され、甲高い声が漏れる。
『もち……? 大丈夫なのか?』
「へい、きっ……」
ゆっくりと腸壁を撫でられ、呼吸が荒くなって声が上擦る。鳴り始めた淫靡な水音が聞こえないか不安で仕方ない、ノイズキャンセリング機能に祈ったのなんて初めてだ。
『なぁ、もち……俺さ、お前の人生に邪魔かな。だから無視するのか? もちが甘えられるの俺だけだって思ってたけど、違うみたいだし……もち、俺……もちに、俺もういらない?』
「んっ……な、なにっ、言ってんだよ。ちが、うっ……無視してたのは、無視するつもりなくてっ、ゴタゴタしてた、だけっ……ぁ、やっ……! は、ぁっ……レン、レンは、大事な友達……」
『もち…………いらないならいらないって言ってくれていいよ、もちの願いならなんでも叶えてやるから』
なんでも叶えてくれるなら俺と付き合って。そんなふうに言えたらいいのに。
「い、るっ……レン、いるからっ……そんなこと、言わないで……レン、友達、俺……レン、好きだからっ、ぁ、んっ……んぅゔっ!」
『友達? 好き? 本当? よかった、嫌われたのかと思ってて……』
激しくなっていくセンパイの指の掘削に声を漏らさないよう、口を押さえてレンの優しい声を聞く。
『なぁ、もち。俺のこと嫌ってないならさ、七夕の約束は守ってくれるよな?』
「ぅ……んっ! もち、ろんっ……一緒に、ィっ……あそ、ぶ」
『笹とか用意しちゃったんだよ俺、ちっちゃいのだけどさ……二人で短冊書こう。そうめん食べてさ、デザートも何か用意して…………二人で、昔みたいにさ』
俺がレンと親友でいられなくなったのを悲しんでいるように、レンも最近俺と遊べなくて寂しいのだろう。
「ぅんっ……! むかし、みたいにぃっ……!」
何も考えずに仲良く遊べていた、好きだと言い合えていた幼稚園よりも前に戻りたい。そう思っているのに俺はレンが寂しがっているのが嬉しくて、センパイの指をきゅうきゅう締め付けてしまう。
『もち……なぁ、本当に……一人か? 声変だけど……本当に何もないのか?』
レンの中で俺の存在は小さくない、そう分かっただけで涙が出るほど嬉しくて、センパイの中指に前立腺を抉られて射精する。
「ィ、くぅっ……! ぅ、ぁ……はぁっ、はぁっ……何も、ない、何もない、大丈夫……一人だよ、レン……」
感傷に浸っているのに無邪気とは程遠い。
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