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始業前に後輩を抱いてみた

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目を覚ますとまず腰の重だるさに意識が向いた。男子高校生にあるまじき深いため息をつきながら起き上がり、伸びをする。

「えっと、確か……センパイとヤってて……」

気絶したんだっけ? 尻穴には拡げられ擦られていた感覚はあるが、精液が零れてきたりはしない。枕元に置かれていたスマホを持ち上げると充電86%で、レンからの着信とメッセージが何件もあった。

「レン……」

今は午前五時半過ぎ、まだ電話をかけるには早いし、文章がヘタな俺には気の利いたメッセージも送れない。

「…………つきのみや?」

いつ寝かされたのかも分からないベッドから降りると暗闇の中でセンパイがむくりと起き上がった。

「すいません、起こしましたか?」

「……いや」

半裸で寝ていたらしいセンパイは枕元に置いてあるタバコを一本咥えた。俺は同じく枕元に置いてあったライターを拾い、火をつけてセンパイの口元に持っていった。

「センパイ……?」

しかしセンパイはライターの蓋を閉じてしまう。

「…………外で吸ってくる」

俺の手からライターを奪い、ふらふらと外へ出ていく。後を追おうとすると暗闇の中、硬い人間の体を踏んだ。

「へっ……!? ぁ、お兄さん……? ご、ごめんなさい……!」

床で丸まって寝ていたセンパイの従兄を踏んでしまった。腹だろうか、かなり思い切り体重をかけたから苦しかっただろう。

「んん……社長、もっと……」

寝ぼけているのか? 鍛えた身体は俺の体重ではどうにもならないということか、すごいな。いや、今はそれよりセンパイだ。

「セ、センパーイ……どこに……」

ヘビースモーカーのセンパイと居れば幽霊は少し身体を触ってくるくらいで怖い心霊現象は起こさないらしい。
従兄の助言を信じてセンパイを求めて歩くと工場の中庭にその姿を見つけた。

「あ、センパイ……!」

ぶかぶかのトレーナー一枚の格好で走り寄ると、タバコを吸ってボーッとしていたセンパイは慌ててタバコを持つ手を頭よりも上にあげた。

「…………何しに来た」

もう片方の腕を振って──何をしているんだ? 蚊でも居たのか?

「何って……そりゃオナホは持ち主の近くにいますよ」

「……部屋に戻れ。一服中だ、邪魔するな」

「ここに立ってるだけですから俺のことは気にしないでください」

センパイは大きく舌打ちをし、俺の胸ぐらを掴んで引き寄せた。

「…………部屋に、戻れ。タバコの邪魔をするな、命令だ」

「は、はいっ……すいませんでした」

「……キッチンに置いてある紙袋にパンがある。勝手に食え」

怒気に怯えて逃げ帰ろうとする俺の背に優しい声が投げられた。俺は部屋に帰る前にキッチンに寄り、それらしい紙袋を持って部屋に戻った。従兄が目を覚ましており電灯が点いている。

「お、おはようございます、お兄さん」

「おはようございます」

朝から完璧な愛想笑いを見せる彼の向かいに座り、紙袋を漁るとクリームパンが入っていた。すぐにかぶりついてホイップクリームを堪能する。

「ん~……!」

思わず声を漏らし、従兄が居るのを思い出して頬が熱くなる。しかし美味しいクリームパンだ、前にここで食べたのも美味しかったが、あの時のよりも更に美味しい。

「随分レア物持ってますね」

「へ……?」

「そのパン、工場地帯抜けてちょっと行ったところのパン屋のです。クリームパンは一日五個限定ゲリラ販売の激レア品なんですよ」

「へぇー……!」

舌ピアスの穴が悪化するかもなんて考えることも出来ない美味しさだ。どんどん舌に絡めて味わってしまう。

「センパイが買っておいてくれたみたいなんですけど、センパイよく買えましたね。運いいんだなぁ……この場合、運がいいのってセンパイなんですかね俺なんですかね」

従兄と話していると扉が開き、センパイが戻ってきた。表情が柔らかく見える。

「くーにゆきぃ、お兄ちゃんの朝ごはんは?」

「…………ない」

センパイは紙袋からアンパンを取って俺の隣に座る。近くに来たセンパイからは消臭剤とミントの香りがした。

「……悪かったな。乱暴して」

胸ぐらを掴んだことだろうか? すっかり忘れていた。

「いえいえ、クリームパン美味しいですし、タバコ切れると本当にイライラするらしいですし……クリームパン美味しいですし、気にしないでください、このクリームパン本当に美味しいです。レア物なんですよね、たまたま行って買えるなんて運いいんですねセンパイ」

「……たまたま? いや、お前に…………あぁ、そうだな、運がよかった。店に行ったらたまたま売ってて、お前がクリームパン好きなの思い出したんだ」

「覚えててくれて嬉しいです。甘いもの全般好きなんですよ。あんこ以外は」

センパイの大きな手が腹に回る。すりすりと腹を撫でられている。

「…………太るなよ。デブは好みじゃない。これを保て」

「善処します」

「無理です、のビジネス語だな」

「本当に善処しますからセンパイ!」

じとっと俺を睨んだセンパイに弁解し、従兄を睨む。にこやかな表情なのに虚ろな瞳が怖くてすぐに目を逸らす。

「國行、今日は学校だよな? 頑張ってこいよ、月乃宮様に優しくな」

従兄は鞄を持って立ち上がり、センパイの頭を撫でる。歳下扱いされているセンパイの姿は不思議で思わず見つめてしまう。

「お兄ちゃん今から仕事行くから」

「……うん、行ってらっしゃい」

「もう会えないかもしれないけど、金だけは遺せるからしっかりやれよ。じゃあな」

「…………? 分かった」

センパイは従兄の発言の意図が分からなかったようだが、幽霊について知っている俺は嫌な予感がした。クリームパンの最後の一口を慌てて飲み込み、まだ食べているセンパイを置いて従兄を追う。

「お兄さん! 待ってくださいお兄さん!」

「月乃宮様? どうなされました?」

「どうって、どうって……お兄さん、死んじゃったりしませんよね? もう会えないって……!」

「あー、まぁー、最悪死にますよね。思ったよりヤバい霊……っていうか怪異なんで」

じゃあ、と去っていこうとする従兄の服を掴み、踏ん張る。

「ならいいです。俺、取り憑かれたままでいいです……」

「はぁ? 俺があなたのために命賭けてると思ってんですか? 違いますよ、社長の命令だからやるんです」

「仕事に命賭けちゃダメでしょ!?」

「何言ってんのか分かりませんね、社長の命令は絶対です。俺は全て、髪の一本に至るまで社長の所有物です。社長は俺が怪我すると嫌がるので、もちろん無傷で戻るつもりですが……死ぬ確率も低くないですし。もしもの話ですけど、俺が死んだら國行よろしくお願いしますね」

虚ろな瞳の本性を垣間見た気がして手から力が抜ける。

「あ、これ連絡先です。変な霊障出たら言ってください、解決への糸口になるかもしれませんので」

小さなメモを握らされ、今度は服を掴むことも出来ずに従兄を見送った。

「……月乃宮」

「ぁ……セ、センパイ」

「…………兄ちゃんと何か話してたな、何話してたんだ?」

「え、えっと……シャツがめくれてたので、それを直しに」

センパイは納得した様子で出発の準備をしに部屋に戻った。俺は靴箱の扉に貼られた鏡を覗き、以前よりも増えた気がする半透明の手達に取引を持ちかけた。

「お、俺……もっと頑張って精液集めるから、お兄さんを殺さないでくれ。どうにか除霊やめさせるからっ……あの人死んだら、センパイが」

「……月乃宮、何してる。早く着替えろ」

「はい。あっ、俺着替えないです」

制服は担任に奪われてしまった。捨てたのか保管してあるのかは分からないが、俺の元に戻ってこない予感がする。

「…………今日、体育はなかったはずだ。今日は俺のジャージを着ていけ」

「いいんですか? ありがとうございます、明日からは自分のジャージ着ていきますんで、今日はお願いします」

俺の学校では学年でジャージの色が違う。一年は紺だが、三年は赤だ。センパイの赤いジャージは俺には大きすぎる、ぶかぶかだ。

「ぶっかぶかですね、やっぱりセンパイおっきいです」

「…………行くぞ」

センパイのバイクの後ろに跨り、学校へ向かった。何事もなく学校に到着したが俺は従兄の安否が気になって仕方なかった。

「……月乃宮? なんだ?」

校門を抜けてしばらく、センパイが不意に振り返る。

「へ?」

「……今、手を引っ張っただろう」

そんなことしていない。不思議に思っていると見えない手に手足を掴まれ、ぐいぐいと引っ張られて俺の身体は勝手に校舎裏に向かおうとする。

「…………朝からヤりたいのか?」

太い腕に腰を捕まえられると見えない手は消える。

「こ……ここで、ヤったら…………お兄さん、殺さないでくれるのか?」

小声で聞いてみるが返事はないし、身体のどこにも触れてこない。

「……月乃宮? 返事は?」

幽霊は返事をしないけれど、幽霊の要求はきっと俺の予想通りだ。手首だけだから意思疎通は出来ないが、知能は高いようだし。

「はい……センパイ、そこの物陰で、ちょっと」

微かに口角を上げたセンパイは俺を校舎裏に引きずると壁を背にしてすぐに唇を重ねた。まだ角を曲がったばかりだ、もっと奥まったところへ進まなければどこかから見られてしまうかもしれない。

「……すぐそこが校門だ。声を上げるなよ?」

「はい……」

「…………よし、そこに手をついて腰を突き出せ」

壁に向かって立ち、壁に手をついて言われた通りに腰を突き出す。すぐにズボンと下着をずり下ろされ、指を挿入される。

「んぁっ……ぁ、あっ……センパイっ、國行センパイの指っ……ごつごつして、太くて……最高、です」

「……いつもなら褒めるが、今は黙れ」

「んぐっ……! ぅ……ふ、ぅう……」

もう片方の手が口を押さえる。いや、人差し指と中指を口内に入れて舌をつまんだ。

「んぅっ……ぅうっ! ふ、ぅ……!」

太い指で丹念にほぐされていくのも、舌を挟まれているのも、一歩間違えばバレる状況なのも、何もかもが気持ちいい。

「んっ……! ふ、ぅ……ぅ、あぅ……」

「…………お前の中は触っているだけで楽しいな。熱く濡れて、柔らかく締めて……可愛い音を漏らす」

尻穴と口で水音を立てられる。わざとらしくぴちゃぴちゃと鳴らされ、それを低い声で教えられ、学校の外壁に精液をかけてしまった。
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