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後輩とピザパーティーしてみた

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リビングに入ってきた従兄は明らかに事後の俺達を見た。トレーナーを腹まで捲りあげ、白濁液を陰茎に絡ませた俺を見た。

「準備しとくから手ぇ洗ってダイニング来いよー」

従兄は俺達の──特に俺のみっともない姿を見たのに眉一つ動かさず、笑顔のまま部屋を出ていった。

「…………兄ちゃん? 仕事じゃ……終わったのか?」

流石のセンパイも硬直している。

「……ピザか。月乃宮、ピザ好きか?」

「あ、はい……人並みには」

「…………先に風呂に行くか」

センパイは手を洗い、俺は下半身だけシャワーを浴びた。センパイに下着とズボンをねだったが俺に合うサイズはないと一蹴され、別のトレーナーを着せられ、ギリギリ布の下に隠れている尻を布越しに鷲掴みにされた。

「ひぁっ……! セ、センパイっ……せめてバスタオルください! 腰に巻くので!」

「…………その格好、可愛い。もっと見たい。嫌だ」

「箇条書きな喋り方やめてください! カタコト感すらありますよ……!? いとこのお兄さんもいるんですから下半身丸出しはまずいですって、タオルでいいですから」

センパイはじっと俺を見つめる。トレーナーの裾を引っ張ったり、背を曲げて視線を下げたりしながら。

「……大丈夫。地上波で放送できる格好だ」

「見えてなきゃいいって話じゃないでしょ!」

「……大丈夫、お前は可愛い」

「関係ないです! 別に可愛くないですし……」

センパイが俺を可愛いと言うのはきっとセンパイの背が高いからだ。小さいものを可愛がっているだけだ。

「……可愛い」

尻を鷲掴みにされたかと思えば割れ目に指を滑り込まされ、穴の縁を擦られる。

「ひっ……んっ、ぁ、やぁっ……! センパイっ、やめてくださいっ、今から、ごはんっ……ん、ぅうっ……」

挿入を期待して下腹が疼き、腸液が分泌されて垂れてセンパイの指に絡む。

「……身体は素直だな。口も素直になるか?」

センパイは透明の液体が絡んだ指を俺に見せながら言う。腸壁がセンパイの形に拡げられるのを待っている。俺は呼吸を整え、ハッキリと言った。

「今から、ご飯なんですよ? お兄さん待たせちゃ悪いですし、ピザ冷めますし……ご飯の後にしませんか?」

「…………それもそうだな。飯の後……どこがどう可愛いか教えてやる」

「あ、あはは……お手柔らかにお願いします」

結局、下半身丸出しのままダイニングへ向かう。特に何も言われずに席に座り、夕飯の時間が始まった。

「ポテトとチキンとサラダと……なんかとりあえずサイドメニュー全部もらってきたぞ」

Lサイズ二枚にサイドメニュー多数、いくらなんでも多過ぎる。

「……ありがとう兄ちゃん」

「足りなかったら兄ちゃんなんか作ってやるからなー?」

炭酸ジュースも多彩だ、オレンジやブドウやレモン、リンゴや桃まである。

「……兄ちゃん、仕事は?」

「やってきた。その帰りにピザ屋寄ったんだよ。店に行けば半額ってすごいよな」

高級車に乗って高そうな着物を着ているくせにキャンペーンに惹かれるのか。マルゲリータピザのバジルソースの味にうっとりしつつ、僻みっぽい感想を抱いた。

「夜までに社長のとこ帰れる予定だったのにさぁ……一泊しろとか言われた。最悪だよ、やっと社長に会えると思ったのに……ぁ、國行、今日泊めてくれよ」

従兄はチキンを齧りながら愚痴っている。黙々とポテトを食べていたセンパイは小さく頷き、喉仏をごくんと動かしてから口を開いた。

「…………兄ちゃん、親父……またボコボコになってたけど、揉めたのか?」

風呂を出たあと見かけた父親はセンパイが帰ってきた時よりも顔を腫らしていた。まるでたった今殴られたかのように口から血を垂らしていた。

「やだなぁ國行……おしとやかなお兄ちゃんがそんな乱暴な真似するわけないだろ? ねぇ月乃宮様?」

センパイには父親が金を盗んだことは言わないつもりなのか。協力させてもらおう……と言っても頷くだけだが。

「…………兄ちゃん、辞書引け」

「んだよ、お兄ちゃんがおしとやかじゃないって言いたいのか?」

少なくとも普段の立ち居振る舞いは上品だ。人の顔を平気で蹴るところを見たからおしとやかという言葉には同意しないが。

「……昔、教師に椅子で殴りかかったり、同級生を辞書の角で殴ったって聞い──」

「そうだ國行、お前に文句あるんだよ」

「…………文句? 何?」

従兄の現役時代はセンパイより酷かったのか。センパイは他校の生徒と素手で殴り合いをするだけで、学校内では暴れないし凶器も使わない。

「お前、かなり恨み買ってるだろ? んで色黒で目つき悪い……俺と特徴一緒。顔よく見りゃ分かるだろうに、俺に鉄パイプ持って殴りかかってきたガキ共がいたんだよ」

「……そうか、悪い」

目元はそっくりだが顔立ちはそこまで似ていない。和服を着ているのも不自然だろうに……まぁ、パッと見似ているからな、センパイを見慣れていないなら間違えても仕方ない。

「鉄パイプって……お兄さん大丈夫だったんですか?」

「ご心配ありがとうございます月乃宮様。俺は社長の身辺警護もしてますからね、半グレ予備軍ごときに一発ももらいませんよ」

やっぱりヤクザなのかなこの人、社長って親分の隠語なのかな。

「あ、そうそう國行、お前この辺の不良まとめてるんだよな? ならさ、首塚壊した奴って分からないか?」

「……首塚? あの? 壊されたのか?」

「そうなんだよ。あれ、うちの会社の管理でさ……知らないか?」

「…………後輩に調べさせてみる。分かったら電話する」

管理しているというのは方便だろうか? 幽霊対策を打つため……だよな? 俺に請求書来たりしないよな?
不安なまま夕飯は終わり、完食にセンパイのすごさを改めて実感した。夕飯後の片付けを手伝い、センパイと従兄に一番風呂を譲ってもらった。一人の時間に怯えつつ、浴室の鏡で見えない手の様子を確認する。肩に乗っているだけで何もしてこなかった。

「ふぅー……」

風呂を終え、脱衣所に出て一息。

「こんばんは月乃宮様」

「ひぃっ!?」

バスタオルを取ることも出来ず、にこやかな従兄に全裸を晒してしまった。なんでここに居るんだこの人。まさか俺を襲いに……?

「首塚の写真を撮って社長に送り、霊視してもらいました。管理ってのは嘘ですから、どんないわくがあるのか調べませんと何も分かりませんし対処も出来ません」

従兄はスマホ片手に落ち着いた声で話している。やはり襲われる心配はなさそうだと安堵のため息をつき、バスタオルを羽織った。

「霊視結果、アレは首塚ではなく、正確には手首塚であると分かりました。当時、ここらの領主の娘が強姦され自害しました。領主は犯人を捕らえ、両手首を切り落として断面を焼き、胴に縄を巻いて木と繋ぎ、衆目に晒しました」

「え、えぐいですね……」

「領主は娘の一件以来、男が全てその犯人に見えました。なので、初めは罪人を同じように処刑し……段々と罪のない者も同じように処刑し……最期には鏡を見て叫びながら自分の左手首を切り落とし、死にました」

「自分も……見えちゃった、ってことですか」

「その領主が切り落とした手首を埋めていたのがあの首塚の場所、死体はまた別の墓所……そちらはちゃんと供養されていて比較的安全なのですが、首塚の方はかなりやばい。首塚とは名ばかりで何の供養もされていない」

この話、今じゃなきゃダメかな? 俺びしょ濡れだし、全裸だし……こんな怖い話聞いたら余計に寒気がする。

「ひとまとめにされた手首達は一つの怪異になりました。今の目的は……精液から生命力を集め、力を増し、やがて血肉を得ることです。つまりあなたを使って精液を集めている……心当たりありません? 最近、精液好きになったとか」

従兄に精液が対策になると聞く前から、中出しや飲精に積極的だったように思う。

「お、俺が飲んだりした精液はヤツらの力になるってことですか? じゃあ、飲むのとかはやめた方が……」

「いえ、続けてください。何故かヤツらは月乃宮様に縛られていますが、利用価値がなくなれば月乃宮様を八つ裂きにし、その縛りを解くでしょう。殺された場合、輪廻転生からも外れるかもしれないと意識してください」

「や、八つ裂き……!?」

「計算によれば一日三回分飲めば完璧。断食しても一日二日じゃ見限らなさそうなので、割と余裕ありますね。手に入れようとしなかったらヤツらがあなたを引っ張ったり、相手を探したりするでしょうから、そんなに気にしなくてもいいですよ」

残酷な殺され方をするかもしれないのに「気にしなくていい」ってなんだよ。あぁ、寒い……怖い、三回分? 一日三回中出しされるか飲むか? 今日はもう大丈夫だっけ?

「じゃ、俺はこれで……」

「ま、待ってください! お祓いしてもらえますよね、明日とは言いませんから、お祓いしてください!」

上等な和服を掴んで引き止めると僅かにはだけ、鎖骨周りが露出する。褐色肌には赤い縄がくい込んでいた。

「あーぁ、ダメじゃないですか……そういうことは思っていても口に出しちゃ。ヤツら、怒りますよ?」

脱衣所の鏡にヒビが入り、従兄の腕が背中に回る。従兄は俺を抱き締めて持ち上げると身体を反転させて俺を庇い、鏡の破片のシャワーを背に浴びた。
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