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落ち込んだから後輩を揉みまくってみた

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従兄は仮眠を取ると言っていたが、壁際に置かれたソファに座っていた。ソファは十分に大きいのだから横になればいいのに、うつらうつらと首を揺らしている。

「……眠そうだな」

「やめておきますか?」

「…………そうだな。よかったな、月乃宮、今からお前を抱いてやる」

センパイは無表情のままそう言い、踵を返した。俺が扉を閉めるためにドアノブを掴んだその時、従兄の首がかくんと垂れる。首を痛めそうな寝方だなと視線が向く。

「ぁ……あぶないっ」

ソファの真上にあった壁掛け時計が落ちる。壁から剥がれた音なんてなかったのに彼は俺の声より早く目を覚まし、ソファから転げ落ちて時計をかわした。

「す、すごい……」

「なんべん言うちゃったら分かるんや……眠いっち言いよんやろ寝かしぃ! いいかげんにせんとくらすぞ!」

従兄が怒鳴った直後、リビングから廊下へと突風が吹いた。一瞬だけのその風は俺の髪とピアスを強く揺らした。

「……月乃宮、何をした」

「えっ、い、いや俺は何もしてませんよ」

たった今まで眠っていた従兄が目を離した隙に起きて怒鳴ったのだ、俺が妙なことをしたと疑って当然だ。

「……兄ちゃん、どうした?」

「あぁ!? なんやきさん……あっ、國行、ごめんごめん、何?」

「…………今日は随分機嫌が悪そうだ」

「あぁ、仕事の電話がひっきりなしでさ、ちょっとな。気になる? ごめんな」

愛想笑いと言い訳が上手い、これが社会人か。

「あ、あのお兄さん! 國行センパイがお兄さんと話したいって、んむっ、ぅ……!」

せっかく起きたのなら口下手なセンパイが話せるようきっかけを──と声を上げたが、センパイに口を塞がれてしまった。

「國行?」

「…………コイツの喘ぎ声がうるさかったらすまない」

「お盛んだな。声枯れないよう気ぃつけてヤれよ」

センパイは俺の口を塞いだままリビングの扉を閉め、廊下を数歩進んでようやく手を離した。

「ぷはっ……センパイ、いいんですか? お兄さんと話さなくて。あんまり来ないんでしょう?」

「…………イラついてるなら近寄らない方がいい」

「別にセンパイにイラついてるわけじゃないんですしいいと思いますけどね、むしろ可愛い従弟と話して癒されるーって方向に行くかもしれませんよ」

「……機嫌がいい時以外に近寄るべきじゃない」

機嫌が悪い時には──ではなく? より怖いな。
まぁ、俺にはセンパイの家庭事情だとかは関係ないし、センパイが従兄と話し込めば俺は放置されるだろうから、むしろこの方がいい。

「センパイ……あの」

素人にはセンパイの表情はいつもと同じに見えるだろうが、俺には分かる。センパイは落ち込んでいる……多分。

「お、お兄さん随分訛ってましたけど、センパイって出身どこなんですか?」

「…………俺は生まれも育ちもここだ」

「あ、そ、そうですか、親戚ですもんね、同じとこ住んでたわけじゃありませんよね……はは、すいません」

従兄のことで落ち込んでいるのだから従兄の話は一番ダメだ、俺のバカ。

「あのー……センパイ? 俺のこと抱いてくれるんじゃないんですか?」

「…………後でな。今、気分じゃない」

自室に戻っても落ち込んだまま、ベッドに腰を下ろして俯いている。
センパイ、変なとこ繊細だ。どう気を遣うべきか全然分からない……そうだ!

「センパイ……落ち込んでます? 大丈夫ですか? お、おっぱい……揉みます?」

SNSで見た男性の元気を出す方法を試してみよう。ハスミンもシャツのボタンをはだけさせブラを少し見せた写真と共に呟いていた、絶壁のくせにと辛辣なリプがいくつもあった。

「…………ふ」

あ、ちょっと笑った。

「……なら、お言葉に甘えて」

羽織っていたセンパイのシャツを中途半端に脱いで胸を露出し、センパイの目の前に突き出す。期待で身体が震えているのが乳首ピアスのせいで分かりやすい。

「……しゃぶりたいところだが、二週間の約束だからな。揉む……全く揉めないな」

センパイは俺の胸の皮をつまんでみたり、平たい胸を押してみたりするも、俺は感じないしセンパイも楽しくなさそうだ。

「なんかごめんなさい……センパイみたいな立派な胸筋してたら揉めるんでしょうね」

「…………揉むか?」

「えっ……ぁ、いや…………お願いします」

ただただ純粋に分厚い胸筋に興味がそそられた。これは劣情ではないはずだ、俺は絶壁が好きなのだから。

「……ちょっと待て、脱ぐ」

センパイはタンクトップを脱いで上半身裸になる。屈強な身体はいつ見てもため息が出てしまう。

「すっごい筋肉…………あの、センパイ。ちょっと変なこと言っていいですか?」

「……変? 構わない、言え」

「センパイ、その……服着てる方が、エロい……です」

センパイは眉間に皺を寄せて怪訝な顔で俺を見つめる。

「す、すいませんっ……」

「…………タンクトップ? ポロシャツ?」

「へ?」

「……何を着てるとお前好みなんだ?」

俺の好みは筋骨隆々の男じゃないし、そもそもセンパイに俺の好みに合わせる気がないだろう、俺なんてオナホとしか思ってないくせに。

「タンクトップ……ですかね。ちょっと気持ち悪いこと言いますね、その……横からのはみ乳と、谷間が強調される感じが……へへっ、ほ、本当にキモいですね俺……違うんです、別にセンパイに興奮してるわけじゃないんです、違うんです」

俺、今日センパイと会ってからおかしい。口を滑らせ過ぎだ。必死に言い訳しているとセンパイはタンクトップを着てしまった。

「…………どうした? 着てる方が好きなんだろ、揉まないのか?」

「え……? あ、こ、このくらいなら要望聞いてくれるんですね、別に要望って気もなかったんですけど、意外です。えっと、では、失礼して…………わっ」

タンクトップの上から恐る恐る胸筋を揉む。想像とは違って指が沈んでいく。

「い、意外と柔らかいんですね。ふかふかしてる……」

「……力を入れなければ硬くはない」

「へー、力入れてみてくださいよ」

センパイが少し力むと胸筋は俺の指を跳ね返す。緩く握った拳で叩いてみてもビクともしない。

「すごーい! カッコイイですセンパイ!」

「…………そうか」

腹筋も同じように触ってみたり、二の腕を掴んだりしてみる。自分とは全く違う褐色で筋骨隆々の身体にはしゃいでしまっていたが、センパイの視線に寒気を覚える。

「す、すいませんベタベタ触って……」

「…………? 別に構わないぞ」

鋭い視線は怒っているように思えたが、違ったらしい。ただはしゃぐ俺を見つめていただけのようだ。恐る恐る肩口からはみ出た胸筋をつついてみたが何も言われなかった。

「……そろそろ俺もお前を揉みたいな」

「さっき揉めないって分かったじゃないですか」

センパイの大きな手が腰を撫で、指が尻をくすぐる。

「あっ……こ、こっちですか。確かに、胸よりは揉めますね」

「……腰を上げろ」

「は、はいっ……」

ベッドに膝立ちになり、センパイと向かい合う。センパイの手が尻肉を鷲掴みにするとバランスが崩れたので彼の首に腕を巻いた。

「ぅ……」

「……柔らかいな。小さいが……まぁ、揉んでいて楽しい」

「そっ、そう、ですか……」

「……今後、落ち込むことがあったら揉ませてもらう」

馬鹿なこと言わなきゃよかった。流石にしないと信じたいが、もし外で揉まれたら……誰かに見られたら、俺はもうどうすればいいのか分からない。

「……触っていて楽しいといえば、ここもだな」

引き寄せられたかと思えばセンパイの右手は足の間に進み、会陰を撫でた。後孔と性器の間の何もない場所だが、指でふにふにと押され続けると変な気分になってくる。

「ぅ、んっ……セ、センパイ……そろそろ」

「……ここも楽しい」

左手が手前側から陰嚢をつまむ。太い指の間で転がされ、興奮よりも恐怖が大きくなる。

「あっ……セ、センパイっ、そこは……」

「……柔らかい袋の中に玉がある感触、面白いと思わないか? ころころして……アレに似てるな、なんだったか……白玉団子?」

「白玉食べにくくなるからやめてください……! っていうか、その、そこは……怖い、ので」

「……力加減はできる、潰したりしない」

「いやっ……センパイを、信用してないとかじゃなくて……本能、が……」

ふにふに、ころころ、ぷにぷに、こりこり、性感帯に近い絶妙な場所を絶妙な力加減で弄ばれ、 変な気分が膨らんでいく。

「……甘いの、好きか? 白玉……フルーツ白玉の看板が出てる店があったな、行ってみるか? あんこはダメだったな、あんみつはダメか……どうする? 何が食べたい?」

「食べっ、にくいって……言ってるのにぃっ……」

「…………そうだ、昼飯は食ったか? 夜はどうする、帰るのか? 泊まるのか?」

「昼、はっ……お兄さんが、パンケーキ焼いてくれてっ……ぁ、夜、は…………と、泊めて、くださいっ……泊まりたい、ですっ……」

普通の世間話をしているのに股間を弄られて、快感と呼ぶには弱すぎる妙な感覚を味わって声を跳ねさせている。その羞恥心は大きく、顔がどんどん熱くなる。

「………………兄ちゃんが?」

「は、い……美味しかった、です……ひぁっ!? ぁ、んんんっ……ん、ぅっ……ぐりぐり、きもちぃぃっ……!」

陰嚢を弄る力加減はそのまま、会陰を押さえる力が強まる。今更分かったが、ここを押されると前立腺に響く。何もない箇所だなんてバカを言った、気持ちよくて当然だったんだ。

「…………兄ちゃんは愛想はいいが、他人に施すなんてありえない……月乃宮、朝に抱かれたと言っていたが……兄ちゃんに襲われたのか? 俺の親戚だから言いにくかったのか? 精液が肌にいいなんて言い訳されて、飲まされたのか?」

「え……? ち、違いますよ。お兄さん……俺に興味ないんですよ。多分センパイの彼氏って勘違いしてるから優しくしてくれたんです」

「…………………………勘違い」

センパイの顔が僅かに険しくなる。嘘だと思われているのだろうか。

「セ、センパイ? すいません……もう少し大きい声で話してもらえませんか? なんて言ったのかよく聞こえなくて……」

「…………月乃宮、襲われたならお前を責めたりしないし、俺は兄ちゃんだろうと殴ってやる。本当のことを言ってくれ」

どうしてセンパイは従兄を信用していないんだ? メイド服の猥談を振るようなら男に興味がないと分かるだろう。

「お兄さんには何もされてませんって、朝のは……その、違う人です。でも……すいません、ちょっと……言えません」

「…………やっぱり兄ちゃんなのか?」

「違います!」

「……ならどうして言えないんだ」

教師に誘拐監禁されたなんて表沙汰になったら俺は報道によってとんでもない恥辱を受けることになる。大事にしたくないし、いい大学に行きたいセンパイに教師を殴らせたくない。

「ごめんなさい……」

「…………兄ちゃんなんだな」

「違いますって! なんでそんなに従兄を信用してないんですか!? あの人どう考えても男に興味ありませんよ! 誘ったら生理的に無理とか言われたんですからっ!」

「…………………………誘った?」

「あっ」

俺、どうして今日こんなに口を滑らせるんだろう。

「…………兄ちゃんを誘ったのか」

どうしよう。なんて言えばいいんだろう。センパイはどういう意味で怒ってるんだろう。

「だ、だって……センパイ、いなかったんですもんっ……」

「……俺がいなかったら他の男を誘うのか」

「ち、ちがう……だ、だって、だってぇ……」

俺に取り憑いた幽霊が精液を欲しがるから、なんて言えない。

「…………もういい。そこに寝て腰を突き上げろ」

センパイの手が離れる。会陰と陰嚢に違和感を覚えながらも猫が伸びをするような体勢になる。うつ伏せになって尻だけを突き出す形だ。尻穴をセンパイの視線に晒す情けない体勢だと思いつつも、辱めとまでは思えなかった。
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