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いざ、初体験
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部屋に戻り、敷かれた布団を見て顔が熱くなる。布団に入る前に顔を洗った方がいいかもしれない。
「……ヒロくん、ちょっと……心の準備する暇もらっていいかな? ちょっとだけだから」
「あ、うん。僕も欲しい……顔洗ってくる」
シンヤは鞄を持って部屋の奥へ向かい、僕は洗面所に向かった。ヘアバンドを使って前髪を後ろへやり、冷水を顔にかける。頬を重点的に冷やす。
「はぁ……今まで色々やっただろ、後はもう本番だけなんだ、そんなに緊張するなよ……お前が緊張してちゃ進まないだろ」
入れる側である僕がリードしなければならないのだから、僕が緊張して固まったりしてしまってはいけない。初体験だからスムーズに行かないのは許されるとしても、失敗なんて絶対に嫌だ。
「緊張で勃たなくなったりするなよ、頼むぞ……」
前髪を下ろし、布団へ戻る。まだシンヤは心の準備中のようだ。僕も鞄へ向かい、ローションとコンドームを準備した。
「ちゃんとローション温めて……ぁ、シンヤくんもゴムいるかな」
精液で布団を汚してしまって旅館の人にどう思われるかを考え始めたら縮んできた。机に置かれていた箱ティッシュを布団の近くに置き、その生々しい絵面に頭を抱えた。
「ヒ、ヒロくん……? おまたせ……♡」
「あ……シンヤくん。もういい? 大丈夫?」
「……ぅ、ん…………大丈夫、だと思う……」
シンヤの目が泳いでいる。その視線は布団の傍に置いたティッシュや、僕が持っているコンドーム、温め終わったローション、そして僕をぐるぐると回る。
「お、おいで……?」
「…………うん♡」
布団をポンと叩くとシンヤは掛け布団の上に正座をした。
「……あっ、ごめん、掛け布団どかすから」
「へ? あっ、ご、ごめん気付かなくて……」
シンヤが一旦立ち上がってもらい掛け布団をどかし、もう一度座ってもらう。グダグダだ。
「え……と、じゃあ」
「あっ……ね、寝転がった方がいい?」
「ゃ、えっと……とりあえず、そのままで」
「座ったままでいいの?」
「あっ……ね、寝た方がいい……? かな……?」
胸を触る時も、指を入れる時も、ディルドなど玩具を使う時も、こんなふうにはならなかった。自然と押し倒して──そうだ、押し倒すんだ。
「……っ」
シンヤの肩を掴み、押す。しかしビクともしない。
「…………あ、寝転がる?」
「へっ? わっ……!」
正座を崩して寝転がったシンヤに覆い被さる形で倒れ、顔を真っ赤にしたシンヤへのときめきとシンヤの意思が伴わなければ押し倒すことも出来ない自分の非力さへの恨みで心がぐちゃぐちゃになる。
「あ……えっと、脱がす……前、に、キスかな……?」
「……ヒロくんの好きにして♡」
まぁ、無理矢理シンヤを犯すことが出来ないと考えればいい力関係なのかな……? なんて考えて少し緊張がほぐれ、いつも通りに近いキスが出来た。
「……ヒロくん、ちょっと……心の準備する暇もらっていいかな? ちょっとだけだから」
「あ、うん。僕も欲しい……顔洗ってくる」
シンヤは鞄を持って部屋の奥へ向かい、僕は洗面所に向かった。ヘアバンドを使って前髪を後ろへやり、冷水を顔にかける。頬を重点的に冷やす。
「はぁ……今まで色々やっただろ、後はもう本番だけなんだ、そんなに緊張するなよ……お前が緊張してちゃ進まないだろ」
入れる側である僕がリードしなければならないのだから、僕が緊張して固まったりしてしまってはいけない。初体験だからスムーズに行かないのは許されるとしても、失敗なんて絶対に嫌だ。
「緊張で勃たなくなったりするなよ、頼むぞ……」
前髪を下ろし、布団へ戻る。まだシンヤは心の準備中のようだ。僕も鞄へ向かい、ローションとコンドームを準備した。
「ちゃんとローション温めて……ぁ、シンヤくんもゴムいるかな」
精液で布団を汚してしまって旅館の人にどう思われるかを考え始めたら縮んできた。机に置かれていた箱ティッシュを布団の近くに置き、その生々しい絵面に頭を抱えた。
「ヒ、ヒロくん……? おまたせ……♡」
「あ……シンヤくん。もういい? 大丈夫?」
「……ぅ、ん…………大丈夫、だと思う……」
シンヤの目が泳いでいる。その視線は布団の傍に置いたティッシュや、僕が持っているコンドーム、温め終わったローション、そして僕をぐるぐると回る。
「お、おいで……?」
「…………うん♡」
布団をポンと叩くとシンヤは掛け布団の上に正座をした。
「……あっ、ごめん、掛け布団どかすから」
「へ? あっ、ご、ごめん気付かなくて……」
シンヤが一旦立ち上がってもらい掛け布団をどかし、もう一度座ってもらう。グダグダだ。
「え……と、じゃあ」
「あっ……ね、寝転がった方がいい?」
「ゃ、えっと……とりあえず、そのままで」
「座ったままでいいの?」
「あっ……ね、寝た方がいい……? かな……?」
胸を触る時も、指を入れる時も、ディルドなど玩具を使う時も、こんなふうにはならなかった。自然と押し倒して──そうだ、押し倒すんだ。
「……っ」
シンヤの肩を掴み、押す。しかしビクともしない。
「…………あ、寝転がる?」
「へっ? わっ……!」
正座を崩して寝転がったシンヤに覆い被さる形で倒れ、顔を真っ赤にしたシンヤへのときめきとシンヤの意思が伴わなければ押し倒すことも出来ない自分の非力さへの恨みで心がぐちゃぐちゃになる。
「あ……えっと、脱がす……前、に、キスかな……?」
「……ヒロくんの好きにして♡」
まぁ、無理矢理シンヤを犯すことが出来ないと考えればいい力関係なのかな……? なんて考えて少し緊張がほぐれ、いつも通りに近いキスが出来た。
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