上 下
288 / 298

ふわふわ将来設計

しおりを挟む
愛のあまり過保護に思ってしまっていたが、当然襲われることなんてなく僕達は大浴場の解放感を楽しんだ。

「そろそろ上がろうか」

「うん♡」

開発済みの乳首は大きさも色も形も僕にとってはとても魅力的で、じっと見ていたら公共の場ということも忘れてしゃぶりついてしまいそうな程だ。しかし他の男性陣にとってはそうでもないようで、誰もシンヤに注目していなかった。

「広いお風呂もたまにはいいね」

「温泉気に入った?」

目の前を歩いていた中年男性のだらしない裸を見つめて勃ちかけていた陰茎を萎えさせ、シンヤと共に脱衣所へ。身体の水分を拭いながらシンヤが語る温泉の感想を聞く。

「うん♡ 他の人いっぱい居たけど……広々入れて気持ちよかった♡ 部屋の露天風呂もよかったなぁ……♡ アレも家のお風呂より広いし、外見えるの最高♡」

「そっか……また来ようね、ここじゃなくても、温泉旅行しよう。他のところ……何か、ほら、シンヤくんが行きたいところがあったら、行こう」

風呂上がりの火照った身体に相応しい浴衣を着て、周囲を確認した後、小声で話す。

「こ、高校出て……一緒に、なったら……色んなとこ行こう。好きなだけ、旅行しよう。二人で」

「そうだね、高校卒業したら二人だけでも遠いところ行って大丈夫だよね♡」

「えっ……ぁ、あの…………うん、そうだね」

プロポーズまがいの言葉のつもりだったのだが、そうとは受け取ってもらえなかった。

「行こ♡」

このまま一人心の中で反省会を開くのはいつもの僕、今日の僕はひと味違う。何故なら今日僕は童貞を捨てるから!

「あ、あのさシンヤくん」

「何? ヒロくん」

表情と声色が普段より硬い。当然だな、セックスをする約束をしているのだから、部屋に戻るとなれば意識して緊張してしまうだろう。

「大学って……行く? どこ行く?」

「まだあんまり考えてないかな」

「そっか。その……高校卒業したら一緒に住みたいと思ってて。シンヤくん頭いいから大学は別々になるかもだけど、こう……近くの大学にして、中間地点にでも、小さくてもいいから、アパート借りたりして」

「……大学、今住んでる家から通うとかは?」

「それもありだよ、シンヤくんがそれがいいならそうして。その時は……大学卒業した後、一緒に住もう」

出来ることなら高校卒業のタイミングでシンヤをあの家から連れ出したい。広くて綺麗な家だし、両親は不干渉なだけで暴力的な訳でもない、けれどあの家にいつまでも居させるのはよくないと思う。

「……プロポーズみたい♡♡」

「プロポーズのつもりだよ。働き始めたら指輪とかも買いたいし、式も挙げる」

「ヒロくん……♡♡♡ そんなの♡ そんななのぉ……♡♡ 俺、幸せすぎて死んじゃうよ……♡♡♡」

「死なないで。一緒に暮らし始めたら、お金貯めていっぱい旅行行くんだよ。今日みたいな思い出いっぱい作るんだ。毎日キスしよう、毎朝好きって言うよ、毎晩手繋いで寝ようよ。ずっとずっと二人で幸せに生きるんだ、それで死んだら同じお墓に入ろうよ」

「ヒロくぅん……♡♡」

返事と呼べるものではなかったが、うっとりとした表情は「はい」よりも「喜んで」よりも嬉しい肯定の印だった。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

目が覚めたら、カノジョの兄に迫られていた件

水野七緒
BL
ワケあってクラスメイトの女子と交際中の青野 行春(あおの ゆきはる)。そんな彼が、ある日あわや貞操の危機に。彼を襲ったのは星井夏樹(ほしい なつき)──まさかの、交際中のカノジョの「お兄さん」。だが、どうも様子がおかしくて── ※「目が覚めたら、妹の彼氏とつきあうことになっていた件」の続編(サイドストーリー)です。 ※前作を読まなくてもわかるように執筆するつもりですが、前作も読んでいただけると有り難いです。 ※エンドは1種類の予定ですが、2種類になるかもしれません。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

処理中です...