陰キャな僕がエセヤンキーに攻略された話

ムーン

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旅館で迎える朝

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シンヤと同じ布団で悶々としながらも眠りにつき、鳥の声で目を覚ます。爽やかな朝日が部屋に射し込んでいる、窓を開けて風を浴びてみようか。

「んん……♡」

僕が起き上がって布団がめくれたせいか、シンヤが艶っぽい声を出しながらもぞりと動いた。起こしてやるかと彼の方向いた瞬間、僕の朝立ちは身体のメンテナンスではなくなった。

「シっ、シンヤくんっ……!? なんだよっ、そのエロい格好は……! お、襲えってこと? 襲えってこと!? 襲えってことなの!?」

薄い浴衣がはだけている。筋肉や脂肪は少ないながらに男の骨太さを感じさせる肩、はっきりと浮かんだ鎖骨、ぷくっと膨れた乳首を隠す絆創膏、身体をねじっていることで普段とは違う魅力を見せる臍──布団がめくれて見えた上半身だけでもこの情報量!

「し、下は……? 下もなの……?」

下半身を隠していた布団をめくる。着慣れないだろう浴衣は健康的な肉付きの足を隠していられず、爪先から太腿の中程までの見事な脚線美が布団の上に描かれていた。

「もう腰に巻いてるだけじゃん……! シンヤくん寝相そんなに悪くないはずなのに、浴衣そんなに着てたくなかったの? し、仕方ないなぁ……ぅへへ」

ここまで脱げているのならもっと脱がしてもいいのでは? そう考えてしまった僕は震える手をシンヤの浴衣の帯に伸ばした。

「ふぅ……ふぅ……落ち着け、僕、落ち着け……シンヤくんの裸なら昨日も見たじゃないか、落ち着けよ……」

「おはよう! 起きてるか二人とも!」

「……っ、うわあぁあああっ!?」

部屋に勝手に入ってきた父に驚き、僕は自分でもこんなに大きな声が出るものなのかと驚くほどに大きな叫び声を上げ、その声によってシンヤが飛び起きた。

「ひろっ……ヒロくんっ? ヒロくんっ……」

寝ぼけ眼ながらもシンヤは僕を抱き締める。僕を守るように、僕を安心させるように……僕への愛が具現化したような腕にきゅんと胸が締め付けられた。

「だい、じょうぶ……? 何? なに……?」

「ご、ごめん、大声上げちゃって……お父さんが来ただけなんだよ、ごめんね」

ぽんぽんとシンヤの背を軽く叩き、まだ混乱している彼の腕の中から抜ける。モーニングコールをしに来ただけで僕達を混乱に陥らせた父はポリポリと顔を掻いている。

「もぉっ! 急に入ってこないでよ父さん!」

「あ、あぁ……すまない。でもなヒロ、父さんそういうのはまだ早いと思うんだ。時間帯的に……朝からはどうかと思う」

「何の話だよ!」

「照れなくていいぞ、父さんもお前くらいの頃に初体験を済ませた! ちゃんとゴムは持ってるか? もし持ってなかったら父さんのを分けてあげるから……」

「出てけ変態親父ぃ!」

本気で父を殴ったのは初めてだ。ぽこぽこ殴って部屋から追い出した後、シンヤの寝相が悪かっただけだと説明した。完璧な真実ではないが嘘はついていない、信用されたかどうかは微妙だが。

「はぁっ……ごめんね、見苦しいもの見せて……」

混乱しているだろうシンヤに謝りながら部屋に入ると、彼は浴衣をはだけさせたまま二度寝を始めていて、今すぐコンドームを開封してやろうかと思ってしまった。
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