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いざ旅行へ

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授乳手コキプレイの後、シンヤからの問題の難易度が跳ね上がった。二人で相談して決めた基準に達することが出来ず、僕はあの後一度もご褒美をもらえなかった。

「はぁ……頭なでなでくらいは達成したかった」

「ごめんねヒロくん、まさか半分も正解出来ないとは思わなくって……もう少し基準緩くした方がよかったね」

「むしろ傷付くよ! まぁ僕が授業聞いてないのが悪いんだけどさ」

「そうだよ、ヒロくん真面目そうな印象あるんだからあんまり成績低いと先生からの印象悪くなるよ」

的確な助言だ、耳が痛いな。

「はぁ……それじゃ、ご飯作っておいたからね。ばいばい、また明日」

「あ、待って…………ん、ばいばいヒロくん♡」

玄関扉に手をかけたまま振り向くと唇に柔らかいものが触れた。キスされたことに遅れて気付き、顔が熱くなる。

「挨拶のキスだからご褒美に関係ない……ってこと? は、はは……ホント、もう……シンヤくんは……」

「ヒロくん顔真っ赤~♡ あはっ、気を付けて帰ってね♡」

顔を隠すため髪を長く伸ばした僕は顔の放熱が遅く、シンヤ宅から去って夜風に当たってもなかなか涼しくならなかった。



夕食中は当然、連休での旅行の話になった。

「金曜日の夜に出発だったよね、晩ご飯はどうするの? 食べてから出発?」

「車で行くから途中でどこかファミレスにでも入ろうと思ってるよ」

「夕飯の用意いらないのね? 私は楽でいいけど、シンヤくん外食ダメな子だったりしない?」

「多分大丈夫だと思うよ」

金曜日の夜出発、土日は旅館でゆっくり過ごし、月曜日の昼から夜に帰宅。それが連休旅行の計画だ。

「温泉なんていつぶりかしら……」

「カニ鍋も温泉も楽しみだけどさ、旅館以外の楽しみはないの?」

「学生は元気だなぁ、温泉街だから色々と見て回れると思うぞ」

「滝とか近くにあったはずよ、見に行けるんじゃない?」

男子高校生が楽しめそうな印象はないが、僕はシンヤが居ればそれでいいし、シンヤもきっと僕と同じことを言ってくれる。旅館に篭っていても楽しい旅行になるだろう。

「そうだ、ちゃんとビデオカメラの電池入れておいてよ」

「スマホでいいじゃないか」

「結婚式のムービーに使うかもしれないんだからスマホじゃカッコつかないと思うのよ」

結婚式? 両親は結婚式を挙げているはずだが……銀婚式とかそういうのをやるつもりなのか? そう思って聞いてみた。

「ヒロとシンヤくんの結婚式よ。この間ちょっと調べてみたんだけど、同性同士だと籍は入れられないけど挙式は出来るって分かったの」

「は!? ちょっ……な、なんでそんな話が飛躍してるんだよ! 結婚って、僕、まだ、高校生……!」

「だからムービーに使うかもしれないって……」

「結婚式なんかっ……そんな……僕は」

下手にしないと言い切ってしまうのはいけない、何度その軽率さでシンヤを傷付けてきたか分からない。

「真っ赤になってる~、ふふふ……明日シンヤくんにも同じこと言ってみましょう」

「お、いいなそれ。どんな反応するかな」

「シンヤくんに変なことしないでよぉ!」

いや、シンヤはこの場に居ないのだから軽率に暴言を吐くくらいはしてもいい。そのくらいしなければ僕の両親は止められない。
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