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ファッションショー
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目を隠していた前髪を横分けにされて視界が開けた。目付きがとても悪い僕は目を隠していないと不良に絡まれたり、女子に泣かれたり、教師に平常点を下げられたりしてしまう。産まれてこの方、この目でいい目に遭った記憶がない。
「ヒロくんに似合いそうな服は~♡」
「……あのさ、シンヤくん。僕……目出してていいのかな。僕ほら、目付き悪いだろ、だから……出さない方が、いいんじゃないかな」
シンヤの愛が異常なまでに深いのは理解し、実感もしている。けれど、それでも、過去の経験が開けた視界に怯えさせる。
「え? 俺ヒロくんの目好きだよ♡ 怖いけど、だからカッコイイ……って言うのかな、とにかく好き♡ ちっちゃいのに怖い目してるって可愛さもあるし……♡」
低身長な僕の目付きが悪いのは嫌な方のギャップだと思う、印象がマイナスになるはずだ。それなのにシンヤは「好き♡」と微笑んでくれる。
「それよりヒロくん♡ 着替えよっか♡」
「う、うん……ぁ、自分で着替えられるから」
僕の服を脱がそうとしたシンヤを離れさせ、彼に背を向けて服を脱ぐ。渡された服はシンヤが以前着ていたこともあるオシャレな服だ、しかし丈が足り過ぎている。
「ちょっと大きいね、裾折ろっか」
ぶかっとしたデニムの裾を折られるという子供のような扱いを受けると、僕の頬はすぐ真っ赤になった。
「ん、可愛い♡ ポーズ取ってヒロくん♡」
肩幅が足りないから襟ぐりが広くなり過ぎて不格好だ。肩にあるはずの縫い目が二の腕まで落ちている。それなのにウエストにはさほど余裕がない、デニムの方もそうだ。
「ヒロくんっ♡ ピースピース♡ こっち向いてニコッてして♡」
着せられていると分かりやすい今の僕を写真に残すなんて馬鹿げている。こんなの罰ゲームでしかない。
「ぴ、ぴーす……」
でもシンヤはきっと本心から僕を「可愛い♡」と評し、素直な気持ちで自分の服を着せたはずだ。ひねくれた考え方でシンヤを裏切りたくはない。
「可愛い~♡♡ 最高だよヒロくん♡ 足にもちょっと動き付けてみよっか♡」
僕はその後、次々にポーズを取らされた。座っているものや寝転がっているものまで。褒めながら写真を撮るシンヤに次第に乗せられ、服を変える頃にはすっかりモデル気分でポーズを考えるようになった。
「次これ?」
「うん♡ 着ておいて♡」
撮った写真の確認をしているシンヤの隣で次の服に着替える。これは部屋着のようだ、元々ゆったりとしている服のようで襟ぐりから肩が出てしまう。まぁそれはそれでセクシーだ、シンヤは喜んでくれるだろう。
「はぁ……♡ ぶかぶかの服着せられてるヒロくん可愛い……♡ 襲いたぁい♡♡」
「…………シンヤくん」
「着れた?」
「着れたは着れたんだけどさ、シンヤくん。シンヤくんは僕にオシャレな服着て欲しいんじゃないの? 自分の服着せて彼シャツ萌えするのが本当の目的なの?」
彼シャツという言葉に首を傾げたシンヤに、自分より小柄な恋人に自分の服を着せて二人の体格差を明確にし、小柄な恋人への庇護欲や支配欲を湧かせる行為だと雑に説明した。
「うーん……俺はねぇ、ヒロくんが俺の服着たら可愛いだろうなって思っただけだよ。ヒロくんのちっちゃさ強調しようとか、ヒロくんを辱めようとか、そういう計算はなかったなぁ……結果的にそうなったかもだけど」
やはりシンヤは純粋だった。シンヤと接していると自分がどれだけひねくれた人間かが強調されてしまうな。
「そっか」
「……俺の服着るの、嫌?」
「ううん。ねぇ、ポーズ、部屋着だからなんかリラックスしてるようなのの方がいいかな?」
「ヒロくん……! うんっ♡♡」
萌えられたって辱められたっていいじゃないか、それでシンヤが可愛い笑顔を見せてくれるなら。
「ヒロくんに似合いそうな服は~♡」
「……あのさ、シンヤくん。僕……目出してていいのかな。僕ほら、目付き悪いだろ、だから……出さない方が、いいんじゃないかな」
シンヤの愛が異常なまでに深いのは理解し、実感もしている。けれど、それでも、過去の経験が開けた視界に怯えさせる。
「え? 俺ヒロくんの目好きだよ♡ 怖いけど、だからカッコイイ……って言うのかな、とにかく好き♡ ちっちゃいのに怖い目してるって可愛さもあるし……♡」
低身長な僕の目付きが悪いのは嫌な方のギャップだと思う、印象がマイナスになるはずだ。それなのにシンヤは「好き♡」と微笑んでくれる。
「それよりヒロくん♡ 着替えよっか♡」
「う、うん……ぁ、自分で着替えられるから」
僕の服を脱がそうとしたシンヤを離れさせ、彼に背を向けて服を脱ぐ。渡された服はシンヤが以前着ていたこともあるオシャレな服だ、しかし丈が足り過ぎている。
「ちょっと大きいね、裾折ろっか」
ぶかっとしたデニムの裾を折られるという子供のような扱いを受けると、僕の頬はすぐ真っ赤になった。
「ん、可愛い♡ ポーズ取ってヒロくん♡」
肩幅が足りないから襟ぐりが広くなり過ぎて不格好だ。肩にあるはずの縫い目が二の腕まで落ちている。それなのにウエストにはさほど余裕がない、デニムの方もそうだ。
「ヒロくんっ♡ ピースピース♡ こっち向いてニコッてして♡」
着せられていると分かりやすい今の僕を写真に残すなんて馬鹿げている。こんなの罰ゲームでしかない。
「ぴ、ぴーす……」
でもシンヤはきっと本心から僕を「可愛い♡」と評し、素直な気持ちで自分の服を着せたはずだ。ひねくれた考え方でシンヤを裏切りたくはない。
「可愛い~♡♡ 最高だよヒロくん♡ 足にもちょっと動き付けてみよっか♡」
僕はその後、次々にポーズを取らされた。座っているものや寝転がっているものまで。褒めながら写真を撮るシンヤに次第に乗せられ、服を変える頃にはすっかりモデル気分でポーズを考えるようになった。
「次これ?」
「うん♡ 着ておいて♡」
撮った写真の確認をしているシンヤの隣で次の服に着替える。これは部屋着のようだ、元々ゆったりとしている服のようで襟ぐりから肩が出てしまう。まぁそれはそれでセクシーだ、シンヤは喜んでくれるだろう。
「はぁ……♡ ぶかぶかの服着せられてるヒロくん可愛い……♡ 襲いたぁい♡♡」
「…………シンヤくん」
「着れた?」
「着れたは着れたんだけどさ、シンヤくん。シンヤくんは僕にオシャレな服着て欲しいんじゃないの? 自分の服着せて彼シャツ萌えするのが本当の目的なの?」
彼シャツという言葉に首を傾げたシンヤに、自分より小柄な恋人に自分の服を着せて二人の体格差を明確にし、小柄な恋人への庇護欲や支配欲を湧かせる行為だと雑に説明した。
「うーん……俺はねぇ、ヒロくんが俺の服着たら可愛いだろうなって思っただけだよ。ヒロくんのちっちゃさ強調しようとか、ヒロくんを辱めようとか、そういう計算はなかったなぁ……結果的にそうなったかもだけど」
やはりシンヤは純粋だった。シンヤと接していると自分がどれだけひねくれた人間かが強調されてしまうな。
「そっか」
「……俺の服着るの、嫌?」
「ううん。ねぇ、ポーズ、部屋着だからなんかリラックスしてるようなのの方がいいかな?」
「ヒロくん……! うんっ♡♡」
萌えられたって辱められたっていいじゃないか、それでシンヤが可愛い笑顔を見せてくれるなら。
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