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純情な放課後
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ダメ元だった旅行の約束を昼休みに取り付けられて僕は浮かれていた。授業を聞いていないのに当てられて答えられなくて赤っ恥をかいても、いつものように落ち込んだりしなかった。
「ヒロくん、あの問題本当に分かんなかった? 基礎だからちゃんと分かっておかないとまずいよ」
五時間目が終わって休み時間、シンヤは僕の顔を覗き込んで心配してくれた。その上、自分のノートを見せて公式の説明までしてくれる。
「公式はただ暗記するより、なんでこの公式が使われてるかちゃんと分かってた方がいいよ。そうすると忘れにくいし、応用問題も間違えなくなるよ」
照れたり感じたりの可愛い蕩け顔とは違い、真面目な顔は王道イケメンと言った感じでとてもカッコイイ。そう、シンヤはカッコイイのだ、可愛いという言葉は本来合わないはずなのだ。
「ヒロくん地頭はいいんだから、ちゃんと出来るはずだよ。興味ないことは極端に覚えないみたいだし、サボり癖あるし、先生の話も聞かないし……もったいないよ」
シンヤは字も綺麗だ。特に数学でしか使わない筆記体の英字が美しい、僕が書くと不格好になってしまうのに。数式の持つ美しさとやらは僕には分からないが、形としての美しさは分かる。彼の手から産み出される数式をプリントした手提げ鞄が欲しくなる、英文でもいい。
「これを代入する理由はね……ヒロくん? 聞いてる?」
「……ごめん、見とれて聞いてなかった」
「もぉ……ヒロくんったら♡ そんなんじゃまた酷い点とるよ?」
前回のテストでは赤点はギリギリ回避したのに酷い点とは随分なお言葉だ。満点が当然のシンヤに言い返す気は起きないけれど。
「次の授業はちゃんと聞くんだよ?」
「分かってるよ」
そして六時間目の授業が始まり──終わる。今回はそれなりに集中出来た。
「ヒーロくんっ♡ 帰ろっ♡」
「うん」
「さっきの授業ちゃんと聞いてたか問題出すからね♡」
「えっ」
聞いていたかどうかと理解出来たかどうかは別問題だ、今までまともに聞いていなかったのに今日聞いただけで理解出来る訳もない。つまり、僕はシンヤの出す問題にろくに答えられなかった。
「ヒロくん……明日から俺が勉強教えたげるな」
それは嬉しい。無言でイチャつく時間も楽しいが、その方が生産的だ。真面目な顔をしたシンヤも可愛いし、僕の成績も上がるなんていいことづくめだ。
「俺が決めた基準にヒロくんの理解度が達するまでお触り禁止♡」
「えぇっ!? そんなぁっ……!」
「前のテストだってヒロくんそれで酷い点取ってたし……それに、ヒロくんがそれで頑張ってくれたら、そんなに俺に触りたいんだって嬉しくなれそうだし……♡ ヒロくんの成績も上がるし、俺の勉強にもなるし、一挙両得♡ ううん三得♡」
「シンヤくんの近くでシンヤくんの声聞くのに触っちゃダメとか生殺しだよぉ……」
明日からそれが始まるなら、今日はたっぷりシンヤに触りたかった。それなのに僕は賢者タイムの思考で性的な接触を減らすと決めて──あぁ、やはり欲情している時と賢者タイムは大事なことを決めてはいけない。
「ヒロくん、あの問題本当に分かんなかった? 基礎だからちゃんと分かっておかないとまずいよ」
五時間目が終わって休み時間、シンヤは僕の顔を覗き込んで心配してくれた。その上、自分のノートを見せて公式の説明までしてくれる。
「公式はただ暗記するより、なんでこの公式が使われてるかちゃんと分かってた方がいいよ。そうすると忘れにくいし、応用問題も間違えなくなるよ」
照れたり感じたりの可愛い蕩け顔とは違い、真面目な顔は王道イケメンと言った感じでとてもカッコイイ。そう、シンヤはカッコイイのだ、可愛いという言葉は本来合わないはずなのだ。
「ヒロくん地頭はいいんだから、ちゃんと出来るはずだよ。興味ないことは極端に覚えないみたいだし、サボり癖あるし、先生の話も聞かないし……もったいないよ」
シンヤは字も綺麗だ。特に数学でしか使わない筆記体の英字が美しい、僕が書くと不格好になってしまうのに。数式の持つ美しさとやらは僕には分からないが、形としての美しさは分かる。彼の手から産み出される数式をプリントした手提げ鞄が欲しくなる、英文でもいい。
「これを代入する理由はね……ヒロくん? 聞いてる?」
「……ごめん、見とれて聞いてなかった」
「もぉ……ヒロくんったら♡ そんなんじゃまた酷い点とるよ?」
前回のテストでは赤点はギリギリ回避したのに酷い点とは随分なお言葉だ。満点が当然のシンヤに言い返す気は起きないけれど。
「次の授業はちゃんと聞くんだよ?」
「分かってるよ」
そして六時間目の授業が始まり──終わる。今回はそれなりに集中出来た。
「ヒーロくんっ♡ 帰ろっ♡」
「うん」
「さっきの授業ちゃんと聞いてたか問題出すからね♡」
「えっ」
聞いていたかどうかと理解出来たかどうかは別問題だ、今までまともに聞いていなかったのに今日聞いただけで理解出来る訳もない。つまり、僕はシンヤの出す問題にろくに答えられなかった。
「ヒロくん……明日から俺が勉強教えたげるな」
それは嬉しい。無言でイチャつく時間も楽しいが、その方が生産的だ。真面目な顔をしたシンヤも可愛いし、僕の成績も上がるなんていいことづくめだ。
「俺が決めた基準にヒロくんの理解度が達するまでお触り禁止♡」
「えぇっ!? そんなぁっ……!」
「前のテストだってヒロくんそれで酷い点取ってたし……それに、ヒロくんがそれで頑張ってくれたら、そんなに俺に触りたいんだって嬉しくなれそうだし……♡ ヒロくんの成績も上がるし、俺の勉強にもなるし、一挙両得♡ ううん三得♡」
「シンヤくんの近くでシンヤくんの声聞くのに触っちゃダメとか生殺しだよぉ……」
明日からそれが始まるなら、今日はたっぷりシンヤに触りたかった。それなのに僕は賢者タイムの思考で性的な接触を減らすと決めて──あぁ、やはり欲情している時と賢者タイムは大事なことを決めてはいけない。
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