上 下
232 / 298

今は静かにしたいのに

しおりを挟む
どれだけ気持ち悪い欲の形を見せてもシンヤは僕を受け入れてくれる。女性物の下着を着せても、腋コキをさせても、喜んでくれて嬉しいと微笑んで──!

「そっかぁ……ヒロくん、俺にえっちな格好して欲しくないんだ♡」

「う、うん……」

「タンクトップ着ただけでえっちなんだ?」

「……うん」

久しぶりにシンヤの挑発的な笑顔が見れた。体調が悪かった近頃はこの顔をしてくれてもどこか力なく、痛々しかった。だが、今日は完璧だ。

「普通の服なのにさぁ……そんなこと思っちゃうヒロくんの頭がえっちなんだよ♡ きっと」

「ちっ、違うよ! シンヤくんが全身エロいんだよ!」

「そんなことヒロくん以外言わないよ♡ 俺に興奮すんのヒロくんだけだって♡」

「……っ、痴漢されたり、レイプ相手募集にいっぱい応募来たりしてたじゃないか!」

余裕ぶったシンヤの表情が崩れる。

「それは……」

「少数派なのは認めるよ。でも僕と同じ趣味の人間はいっぱい居る!」

「……でも俺もう金髪じゃないし」

「金髪なんて関係ないよ、痴漢がわざわざ髪色確認するわけないだろ!」

「ヒロくんが言ったんじゃん! 金髪で不良っぽいから、痴漢されたって騒いでも信用されないから、狙われやすいんだって!」

「あっ、ゃ、それは」

今度は僕がたじろいでしまった。

「だから髪黒くしちゃった今は大丈夫なんだよ」

「……黒髪で大人しそうで騒いだりしなさそうだから狙われるよ!」

「そっ、そんな……じゃあ俺何しても狙われるんじゃん!」

「そうだよだからエロい格好するなって言ってるんだよ!」

一瞬言いくるめられてしまいそうになったが、勢いでどうにか誤魔化せた。これでシンヤは露出度の高い服を着ようとは思わないだろう。

「シンヤくんは顔がいいし、お尻がめちゃくちゃエロいから髪とか関係ないんだよ」

「えぇ……? うん……まぁ、ヒロくんが言うなら仕方ないよ……気を付ける」

「よかった……タンクトップとか着ないでね」

「タンクトップは買うよ? 着るし」

話が違う。何のために僕は汗をかいてまで大声を出したんだ、また説得を一からやり直さなければならないのか?

「き、着ないでよ……! 僕の話聞いてた?」

「やだ♡ 着る♡ 家の中でだけ♡」

「え……」

「ヒロくん喜んでくれるだろ?」

「それは……そりゃ、見たいけど」

シンヤのタンクトップ姿はきっとセクシーだ、色白な肌とのギャップを狙う黒色がいいか、透けを狙った白色がいいか、悩む。

「だよなっ♡ 探しとく♡」

ぴっちりしたもので単純なエロを求めるか、ぶかぶかなもので脇や首の穴から覗く乳首を狙うかも、悩みどころだ。

「……うん、お願い」

「ヒロくん好みの服っていうか、勝負下着だよな♡」

「そうだね……楽しみに待ってるよ。風邪治ってからだからね? もっと暑く、夏本番になってからだよ?」

「分かってるってー♡」

下着の時のように一緒に選びに行かず、今回はシンヤのセンスに任せよう。

「……俺はもう治ってると思うんだけど、ヒロくんはいつ治ったって認めてくれんの?」

「いつも通りに過ごせるようになったらだよ、月曜日になってみないとね。体育もあるからさ」

「……うん♡♡」

明日も一応シンヤの家には来るつもりだが、明日こそ性的なことはしない、月曜日まで我慢だ……僕は心の中でそう誓った。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

目が覚めたら、カノジョの兄に迫られていた件

水野七緒
BL
ワケあってクラスメイトの女子と交際中の青野 行春(あおの ゆきはる)。そんな彼が、ある日あわや貞操の危機に。彼を襲ったのは星井夏樹(ほしい なつき)──まさかの、交際中のカノジョの「お兄さん」。だが、どうも様子がおかしくて── ※「目が覚めたら、妹の彼氏とつきあうことになっていた件」の続編(サイドストーリー)です。 ※前作を読まなくてもわかるように執筆するつもりですが、前作も読んでいただけると有り難いです。 ※エンドは1種類の予定ですが、2種類になるかもしれません。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

処理中です...