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目的は完遂
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店内で妄想を加速させたあまり倒れてしまった僕は、店のバックヤードで目を覚ました。シンヤは僕が倒れた後に店員を呼んだらしい。
「よー、起きましたかお客さん」
「……ぁ、す、すいません、なんか、ちょっと……貧血、で」
ダウナー系俳優っぽさのある店員だ、シンヤはどこへ行ったのだろう。
「貧血……んふふ、またまたぁ、童貞にゃ刺激が強すぎたんでしょ」
「んなっ……! なななっ、なんで童貞って! 彼氏がいるんですよ僕には!」
「いやぁ、お客さんほど童貞くせぇ童貞は初めて見た」
客に向かってなんて言い草だ。
「失神は救急車呼んだ方がいいってことになってるんすけど、どうします? 呼びます?」
「いえ……いいです、頭とかも打ってないですし、そんな長い間倒れてたわけでもないでしょ?」
僕は興奮し過ぎると倒れやすいタイプの人間らしい、宿泊学習の食堂でシンヤとキスをした時もそうだった。
「……あの、シンヤくんは?」
「しんやくん? あのプリンくんすか? 彼ならお客さんが起きないから先に会計と着替えを……ぉ、来た、ちょうど来ましたよ」
バックヤードにシンヤが入ってきた、その手にはこの店のロゴが入った紙袋があった。
「あ、おはようヒロくん♡ ごめんねちょっと離れてて」
「いや、いいけど……まさか下着買っちゃったの?」
「……うん、ごめん。でもヒロくんが選んでる時にえっちな妄想してまた倒れちゃったら大変だと思って……ヒロくんが選んでくれたの買ったから心配しないで♡」
僕は僕好みの下着をシンヤに買わせたかったんじゃない、僕がシンヤに下着を買い与えたかったんだ。
「…………えっちなことしてる時はこんなことないのにね」
「妄想ってのがやばいんでしょ。童貞は童貞のくせに童貞だから過激な妄想しますからね」
「なるほど……じゃあ、ヒロくん、倒れたりしないように、早く俺で童貞卒業しようね♡」
そのセリフで倒れそうだ。
「そ、その話はまたね。えっと……な、何買ったの?」
今日は両親にシンヤとの関係を認めてもらった日だ、だから少しテンションがおかしいんだ、心が落ち着くまでは刺激の少ない会話で誤魔化そう。
「ヒロくん、ドキドキ時すぎちゃわないようにボーダーとかの落ち着いたやつ選んだんだろ? だから、一番最初に選んだのが本当に着て欲しいやつだったんだろうなと思って」
じゃあ黒レースの下着を買ったのか、そう予想しながら紙袋の中を覗かせてもらうと、ピンク色のフリルが見えた。
「あれ……? シンヤくん、僕が最初に渡したのは……」
紙袋を下げたシンヤは自身の服を引っ張り、胸元を僕に覗かせた。そこにはベージュの下着の上からではなく、直接黒いレースで飾られた平たい胸があった。
「……タグ切って着ちゃった♡ 似合う?」
シンヤとシンヤの服で影が作られたことにより、薄暗いからこそ「覗いている」という背徳感が膨らむ。白い肌と黒いレースの相性はバツグン、胸が平たいから上から覗くと臍のあたりまで見ようと思えば見れるのも最高。
「…………へっ? う、嘘、ヒロくんっ!?」
新しい下着を覗かせてもらった僕を見てシンヤは大慌て、店員はゲラゲラと笑い出す。何事かと焦る僕の口元はぬるりとぬめっていた。
「ヒロくん大丈夫!? どうしたの!?」
「マジっすか! 鼻血出すリアクションとか昭和のアニメかよ、ガチでなんのかよそんなこと!」
「あ、えっと、えっと……下向いて、違う上向いてヒロくんっ、やっぱ違う下、下だったっけ、ぁやっぱ上っ?」
「どっちか知らないですけどヘドバンは絶対ダメだと思いますよ」
焦っているシンヤの処置に従っていたら悪化してしまう。僕は自分の判断で鼻を押さえて下を向き、ポケットの中に入れてあるはずのティッシュを探った。
「よー、起きましたかお客さん」
「……ぁ、す、すいません、なんか、ちょっと……貧血、で」
ダウナー系俳優っぽさのある店員だ、シンヤはどこへ行ったのだろう。
「貧血……んふふ、またまたぁ、童貞にゃ刺激が強すぎたんでしょ」
「んなっ……! なななっ、なんで童貞って! 彼氏がいるんですよ僕には!」
「いやぁ、お客さんほど童貞くせぇ童貞は初めて見た」
客に向かってなんて言い草だ。
「失神は救急車呼んだ方がいいってことになってるんすけど、どうします? 呼びます?」
「いえ……いいです、頭とかも打ってないですし、そんな長い間倒れてたわけでもないでしょ?」
僕は興奮し過ぎると倒れやすいタイプの人間らしい、宿泊学習の食堂でシンヤとキスをした時もそうだった。
「……あの、シンヤくんは?」
「しんやくん? あのプリンくんすか? 彼ならお客さんが起きないから先に会計と着替えを……ぉ、来た、ちょうど来ましたよ」
バックヤードにシンヤが入ってきた、その手にはこの店のロゴが入った紙袋があった。
「あ、おはようヒロくん♡ ごめんねちょっと離れてて」
「いや、いいけど……まさか下着買っちゃったの?」
「……うん、ごめん。でもヒロくんが選んでる時にえっちな妄想してまた倒れちゃったら大変だと思って……ヒロくんが選んでくれたの買ったから心配しないで♡」
僕は僕好みの下着をシンヤに買わせたかったんじゃない、僕がシンヤに下着を買い与えたかったんだ。
「…………えっちなことしてる時はこんなことないのにね」
「妄想ってのがやばいんでしょ。童貞は童貞のくせに童貞だから過激な妄想しますからね」
「なるほど……じゃあ、ヒロくん、倒れたりしないように、早く俺で童貞卒業しようね♡」
そのセリフで倒れそうだ。
「そ、その話はまたね。えっと……な、何買ったの?」
今日は両親にシンヤとの関係を認めてもらった日だ、だから少しテンションがおかしいんだ、心が落ち着くまでは刺激の少ない会話で誤魔化そう。
「ヒロくん、ドキドキ時すぎちゃわないようにボーダーとかの落ち着いたやつ選んだんだろ? だから、一番最初に選んだのが本当に着て欲しいやつだったんだろうなと思って」
じゃあ黒レースの下着を買ったのか、そう予想しながら紙袋の中を覗かせてもらうと、ピンク色のフリルが見えた。
「あれ……? シンヤくん、僕が最初に渡したのは……」
紙袋を下げたシンヤは自身の服を引っ張り、胸元を僕に覗かせた。そこにはベージュの下着の上からではなく、直接黒いレースで飾られた平たい胸があった。
「……タグ切って着ちゃった♡ 似合う?」
シンヤとシンヤの服で影が作られたことにより、薄暗いからこそ「覗いている」という背徳感が膨らむ。白い肌と黒いレースの相性はバツグン、胸が平たいから上から覗くと臍のあたりまで見ようと思えば見れるのも最高。
「…………へっ? う、嘘、ヒロくんっ!?」
新しい下着を覗かせてもらった僕を見てシンヤは大慌て、店員はゲラゲラと笑い出す。何事かと焦る僕の口元はぬるりとぬめっていた。
「ヒロくん大丈夫!? どうしたの!?」
「マジっすか! 鼻血出すリアクションとか昭和のアニメかよ、ガチでなんのかよそんなこと!」
「あ、えっと、えっと……下向いて、違う上向いてヒロくんっ、やっぱ違う下、下だったっけ、ぁやっぱ上っ?」
「どっちか知らないですけどヘドバンは絶対ダメだと思いますよ」
焦っているシンヤの処置に従っていたら悪化してしまう。僕は自分の判断で鼻を押さえて下を向き、ポケットの中に入れてあるはずのティッシュを探った。
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