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作文も書いたことだし
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書き終えた作文を各々の鞄に戻した僕達は、いつものようにシンヤの自室に入った。土日の習慣となっているこの時間が僕の何よりの癒しであり、当面の生きる目的だ。
「ヒロくん♡ ヒロくん♡」
プロポーズまがいの作文を読んでからシンヤは様子がおかしい。ベッドを背に足を伸ばして座っている僕の太腿に跨り、抱きつき、頬擦りを繰り返している。
「シンヤくん……ご機嫌だね」
「当たり前じゃん♡ 将来プロポーズされるって決まったんだもん♡」
「……割と前から考えてたよ。籍入れられる国探したり、日本でも合法になるかどうかって調べたり……」
その結果、男女の組み合わせに比べて手間や心労が多いと分かり、このところシンヤ以外の世界の様々に苛立っている。
「籍って……♡ そんな、まだ早いよ」
「……十八歳、そう遠くはないよ」
「大変そうなんだろ? じゃあ俺は入れてもらえなくても……別に」
「ダメだよ! 籍入れないと色んな制度を利用出来ないしっ、病院とか色んなとこで不都合が……ぁ、ごめん、急に大声出して」
この国も、年齢も、まだ僕達が生涯を誓うことを許してくれない。早くシンヤを法的に僕に縛り付けたいのに。
「違う話しよう、違う話……そうだよ、まだ早いよ、まだ考えなくていい……」
シンヤに好かれている自信はあるけれど、好かれ続ける自信はあまりない。彼が惚れたのは僕の勇気だ、顔でも性格でもない、咄嗟に不良から助けたあの瞬間に惚れたのだ。長続きしなさそうな気がするだろ?
「別の話……そうだ、僕……昨日帰った後ね、自分のシャツ使ってオナニーしちゃった。シンヤくんの精液でドロッドロでさ……」
まぁシンヤの思考回路は少々特殊だし、僕以外に関わりのある人間が居ないし、ずっと冷めずにいてくれる希望的観測もしているけれど。生来ネガティブな僕は不安な未来を思い描いてその対策ばかり考える。
「……しこしこする度にシンヤくんの精液絡まってくるんだよ。手動かす度にねちゃっにちゃって音してさ」
籍を入れて法的に縛れないのなら、身体を調教して快楽で縛ってやる。
「ヒロくん……♡ そんな、えっちな話……♡」
「シンヤくんのも聞かせて。昨日帰ったあと、何した? オナニーの話じゃなくてももちろんいいよ、してないかもしれないもんね。した?」
「……し、た」
「どんなふうに?」
顔を真っ赤にしているシンヤを見ていると、彼の愛情が続くかどうか疑っている自分が嫌いになる。シンヤへの好意が反比例で深まっていく。
「俺は……その、ヒロくんが精液かけたりしなかったから、いつも通り……普通、に」
「玩具は?」
「…………使わなかった。あんまり、時間なかったし」
なら陰茎を扱いただけか? それとも後孔を手でほじくったのか? 気になる。
「それじゃあ手でしたんだ。どんなふうにしたの?」
「えっと……」
「再現してくれる?」
「再現って……それ、ヒロくんの目の前でってこと? そんなぁ……♡ ヒロくんいじわる♡」
シンヤは嬉しそうな声で言いながら立ち上がり、一度部屋を出た。どうやら帰宅したところから再現してくれるようだ。
「……ふーっ」
扉を開けてすぐため息をついたのは、昨日自室に入ってすぐ深呼吸したとシンヤは記憶しているのか、演技をするから緊張しているのか。どっちでもいい。
「ただいまー……」
誰も家で待っていないのに挨拶をするなんて、根っこの善良さが透けて見えている。
「ヒロくん♡ ヒロくん♡」
プロポーズまがいの作文を読んでからシンヤは様子がおかしい。ベッドを背に足を伸ばして座っている僕の太腿に跨り、抱きつき、頬擦りを繰り返している。
「シンヤくん……ご機嫌だね」
「当たり前じゃん♡ 将来プロポーズされるって決まったんだもん♡」
「……割と前から考えてたよ。籍入れられる国探したり、日本でも合法になるかどうかって調べたり……」
その結果、男女の組み合わせに比べて手間や心労が多いと分かり、このところシンヤ以外の世界の様々に苛立っている。
「籍って……♡ そんな、まだ早いよ」
「……十八歳、そう遠くはないよ」
「大変そうなんだろ? じゃあ俺は入れてもらえなくても……別に」
「ダメだよ! 籍入れないと色んな制度を利用出来ないしっ、病院とか色んなとこで不都合が……ぁ、ごめん、急に大声出して」
この国も、年齢も、まだ僕達が生涯を誓うことを許してくれない。早くシンヤを法的に僕に縛り付けたいのに。
「違う話しよう、違う話……そうだよ、まだ早いよ、まだ考えなくていい……」
シンヤに好かれている自信はあるけれど、好かれ続ける自信はあまりない。彼が惚れたのは僕の勇気だ、顔でも性格でもない、咄嗟に不良から助けたあの瞬間に惚れたのだ。長続きしなさそうな気がするだろ?
「別の話……そうだ、僕……昨日帰った後ね、自分のシャツ使ってオナニーしちゃった。シンヤくんの精液でドロッドロでさ……」
まぁシンヤの思考回路は少々特殊だし、僕以外に関わりのある人間が居ないし、ずっと冷めずにいてくれる希望的観測もしているけれど。生来ネガティブな僕は不安な未来を思い描いてその対策ばかり考える。
「……しこしこする度にシンヤくんの精液絡まってくるんだよ。手動かす度にねちゃっにちゃって音してさ」
籍を入れて法的に縛れないのなら、身体を調教して快楽で縛ってやる。
「ヒロくん……♡ そんな、えっちな話……♡」
「シンヤくんのも聞かせて。昨日帰ったあと、何した? オナニーの話じゃなくてももちろんいいよ、してないかもしれないもんね。した?」
「……し、た」
「どんなふうに?」
顔を真っ赤にしているシンヤを見ていると、彼の愛情が続くかどうか疑っている自分が嫌いになる。シンヤへの好意が反比例で深まっていく。
「俺は……その、ヒロくんが精液かけたりしなかったから、いつも通り……普通、に」
「玩具は?」
「…………使わなかった。あんまり、時間なかったし」
なら陰茎を扱いただけか? それとも後孔を手でほじくったのか? 気になる。
「それじゃあ手でしたんだ。どんなふうにしたの?」
「えっと……」
「再現してくれる?」
「再現って……それ、ヒロくんの目の前でってこと? そんなぁ……♡ ヒロくんいじわる♡」
シンヤは嬉しそうな声で言いながら立ち上がり、一度部屋を出た。どうやら帰宅したところから再現してくれるようだ。
「……ふーっ」
扉を開けてすぐため息をついたのは、昨日自室に入ってすぐ深呼吸したとシンヤは記憶しているのか、演技をするから緊張しているのか。どっちでもいい。
「ただいまー……」
誰も家で待っていないのに挨拶をするなんて、根っこの善良さが透けて見えている。
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