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宿泊学習の下準備
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丸々一時間使って宿泊学習の諸々を決めることになった。バスの座席に部屋割りなどに始まり、しおりなども今日配られた。
「ヒロくん♡ バス……」
「うん、隣にしようね」
「うん♡ ヒロくん窓側と通路側どっちがいい? 俺はどっちでもいいよ♡」
通路を挟むとはいえシンヤの隣に他人が居るのは嫌だ、僕が通路側に座ろう。どっちでもいいとシンヤは言うが、外を眺められる窓側を好む者は多い、きっと喜んでくれる。
「何列目にする?」
「余ったところでいいよ、出来れば前側かな」
バス酔いの経験はない、そういった意味で位置を気にする必要はないが、僕の嫌いなタイプの人間は後ろの座席を取りがちだ。なので前の方が好ましい。
「部屋割りは六人ずつだってさ、どうする?」
「余りの奴ら待とう」
僕達は互い以外に仲のいい者が居ない。余った奴らでもない限り組んではくれないだろう。大人しい奴らと組めればいいが、彼らは案外したたかで同じタイプの者をきっちり集める。
「あ、吉良小宅~、お前らまだ?」
なので、僕達が組むのは陽キャの大グループの下位連中。シンヤは見た目でどうにか馴染めるとしても、僕は見た目も中身もダメだ。
「うん、入れてくれる? ありがと。ヒロくん、入れてくれたよ♡」
「あ、うん、ありがとう……」
「……ヒロくん? 喉痛い?」
情けないが緊張して声が小さくなってしまっただけだ。
「山登りとアスレチックもこのグループだってよ」
「へー、ま、俺らのことはほっといてよ、二人で仲良くするから♡」
シンヤはやっぱり僕と居るよりも彼らと話している方が似合うな。プリン頭で高身長でイケメンで……クラスのリーダー格でもおかしくない、なのに僕と一緒に浮いている。
「……シンヤくん、友達作ってみたら?」
「なんで? 俺ヒロくん以外いらない」
シンヤは前髪が触れ合う近さに顔を寄せる。視界を覆う前髪の隙間からシンヤと目が合う。黒々とした瞳孔からは彼の本気が伝わってくる。
「…………そっか。よかった……」
「よかったって……友達作って欲しくないならなんでそんなこと言ったの?」
「……さぁ、なんでだろ」
「何それ。ヒロくん可愛い♡」
シンヤの愛情を受け取れるだけの器は僕にはないかもしれない。でも、今更捨てるなんて出来やしない。どうにか踏ん張るか、二人で潰れるか、それしか道はない。
「ねぇシンヤくん、今日買い物行かない? ほら、宿泊学習の動きやすい私服……僕の私服ダサいんでしょ? オシャレなシンヤくんのオススメ着たいな」
「俺マネキン買いしかしてないよ……でも、うん♡ ヒロくんを俺のセンスで染めてやる♡」
約束のハグをしてその場は終わり。放課後、僕達は制服のまま服を買いに行った。
「あ、これとかどうかな」
僕はショッキングピンクに緑のドットがプリントされたシャツを取って体に当てた。シンヤは無言でシャツを戻した。
「……ダメだった?」
「ヒロくん目立つの嫌いとか言ってるくせに、なんで服は目が痛くなるようなの選んじゃうの?」
「暗い服着るとオタクっぽいかなって……ダサい?」
「うん、ダサい……ううん、前衛的って言った方が合ってる気がしてきた」
理解不能をオブラートに包んだ言い方だ。僕のセンスはそんなに酷いのか……もうシンヤに丸投げしよう、元からそのつもりだったし別にショックなんか受けていない。
「ヒロくん♡ バス……」
「うん、隣にしようね」
「うん♡ ヒロくん窓側と通路側どっちがいい? 俺はどっちでもいいよ♡」
通路を挟むとはいえシンヤの隣に他人が居るのは嫌だ、僕が通路側に座ろう。どっちでもいいとシンヤは言うが、外を眺められる窓側を好む者は多い、きっと喜んでくれる。
「何列目にする?」
「余ったところでいいよ、出来れば前側かな」
バス酔いの経験はない、そういった意味で位置を気にする必要はないが、僕の嫌いなタイプの人間は後ろの座席を取りがちだ。なので前の方が好ましい。
「部屋割りは六人ずつだってさ、どうする?」
「余りの奴ら待とう」
僕達は互い以外に仲のいい者が居ない。余った奴らでもない限り組んではくれないだろう。大人しい奴らと組めればいいが、彼らは案外したたかで同じタイプの者をきっちり集める。
「あ、吉良小宅~、お前らまだ?」
なので、僕達が組むのは陽キャの大グループの下位連中。シンヤは見た目でどうにか馴染めるとしても、僕は見た目も中身もダメだ。
「うん、入れてくれる? ありがと。ヒロくん、入れてくれたよ♡」
「あ、うん、ありがとう……」
「……ヒロくん? 喉痛い?」
情けないが緊張して声が小さくなってしまっただけだ。
「山登りとアスレチックもこのグループだってよ」
「へー、ま、俺らのことはほっといてよ、二人で仲良くするから♡」
シンヤはやっぱり僕と居るよりも彼らと話している方が似合うな。プリン頭で高身長でイケメンで……クラスのリーダー格でもおかしくない、なのに僕と一緒に浮いている。
「……シンヤくん、友達作ってみたら?」
「なんで? 俺ヒロくん以外いらない」
シンヤは前髪が触れ合う近さに顔を寄せる。視界を覆う前髪の隙間からシンヤと目が合う。黒々とした瞳孔からは彼の本気が伝わってくる。
「…………そっか。よかった……」
「よかったって……友達作って欲しくないならなんでそんなこと言ったの?」
「……さぁ、なんでだろ」
「何それ。ヒロくん可愛い♡」
シンヤの愛情を受け取れるだけの器は僕にはないかもしれない。でも、今更捨てるなんて出来やしない。どうにか踏ん張るか、二人で潰れるか、それしか道はない。
「ねぇシンヤくん、今日買い物行かない? ほら、宿泊学習の動きやすい私服……僕の私服ダサいんでしょ? オシャレなシンヤくんのオススメ着たいな」
「俺マネキン買いしかしてないよ……でも、うん♡ ヒロくんを俺のセンスで染めてやる♡」
約束のハグをしてその場は終わり。放課後、僕達は制服のまま服を買いに行った。
「あ、これとかどうかな」
僕はショッキングピンクに緑のドットがプリントされたシャツを取って体に当てた。シンヤは無言でシャツを戻した。
「……ダメだった?」
「ヒロくん目立つの嫌いとか言ってるくせに、なんで服は目が痛くなるようなの選んじゃうの?」
「暗い服着るとオタクっぽいかなって……ダサい?」
「うん、ダサい……ううん、前衛的って言った方が合ってる気がしてきた」
理解不能をオブラートに包んだ言い方だ。僕のセンスはそんなに酷いのか……もうシンヤに丸投げしよう、元からそのつもりだったし別にショックなんか受けていない。
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