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〇学生のすること
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今日は少し早めにシンヤの家を出た。明日彼に渡すプレゼントを買うためだ。コンビニで預金を下ろし、スマホ片手に店を探し、いくつか回って物を揃えた。
「……喜ぶかな」
誕生日でも何でもない日にプレゼントを渡すなんて緊張する。健気な彼のことだから買ったと言えば気に病むだろうか? でも贈り物には確実に喜ぶ、どんな顔を見せてくれるだろう。
「はぁーっ……はやくシンヤくんの家行きてぇ」
衝動を抑え、夕暮れの街を歩き、帰宅。自室にプレゼントを置いて手洗いなどを済ませ、ダイニングへ。
「ただいまー」
「おかえり、ヒロ……あら! どうしたのその服、カッコい~い」
夕飯の支度中の母がスリッパをぱたぱたと鳴らして寄ってくる。
「えっ? ぁ……あぁ、その、服汚しちゃったから、借りたんだ。あの……外で遊んでて、転んじゃってさ……お風呂も借りて……」
「それじゃあこれはシンヤくんの服? あら~彼シャツ~? ふふふ」
母に「えっちなことをして汚しました」と正直には言えないからって小三男子みたいになることはなかったな。
「シンヤくんオシャレさんなのねぇ」
「マネキン買いとか言ってたから……」
「ヒロにはちょっと丈が足りないみたいね」
「チビで悪かったな! あのさ、明日返そうと思ってたんだけど……洗濯間に合わないかな」
夜の間に乾くとは思えない。うちには乾燥機だとかはないのだ。
「夜、雨かもって予報出てるしねぇ……シンヤくんにメール送っておきなさい」
「うん、電話するよ」
メッセージのやり取りもいいけれど、電話越しでもいいから声が聞きたい。僕は母に盗み聞きされないよう自室に戻ってシンヤに電話をかけた。
「も、もしもし……?」
『もしもし、ヒロくん? ヒロくん♡ おうち帰った? どうしたの?』
「うん……あのさ、服借りたじゃん。今すぐ洗濯しても明日には間に合わないかもしれなくて」
『服? 洗濯しなくていいよ♡ 今日ずっと着てて♡ 明日も着てきて♡ ヒロくんの匂いついた俺の服とか最高♡♡』
俺が今着ている服を洗わずに明日渡して、シンヤがこの服の匂いを嗅いで顔を赤くしたり、はぁはぁと呼吸を荒くしたりして、高まりすぎて僕の名前を呼びながら自慰を始めたり──素晴らしい。
「分かった、着ておくよ」
『運動とかしてくれてもいいよ♡』
「あはは……暇があればね」
寝ている間も着ておこうかな。いや、シワシワの服を返すのは洗わずに返すより恥ずかしいな。でもシンヤはその方が喜びそうだしな。どうしよう。
「ぁ、ごめん、僕そろそろ晩ご飯だ」
『俺もー♡ ばいばい♡ またねー♡』
「うん、ばいばい」
電話を切ってダイニングに戻り、シンヤとの相談の結果洗わずに返すことになったと説明した。母は渋っていたが、納得はしてくれた。
「明日もシンヤくんのところへ行くのね」
「ダメ?」
「まさか。仲良くするのよ、本みたいなことしちゃダメだからね」
無理矢理系のシチュが多めの僕の本棚を見ている母は僕の趣味をよく知っている。もう言わないでくれと半泣きで叫んだ。
「……喜ぶかな」
誕生日でも何でもない日にプレゼントを渡すなんて緊張する。健気な彼のことだから買ったと言えば気に病むだろうか? でも贈り物には確実に喜ぶ、どんな顔を見せてくれるだろう。
「はぁーっ……はやくシンヤくんの家行きてぇ」
衝動を抑え、夕暮れの街を歩き、帰宅。自室にプレゼントを置いて手洗いなどを済ませ、ダイニングへ。
「ただいまー」
「おかえり、ヒロ……あら! どうしたのその服、カッコい~い」
夕飯の支度中の母がスリッパをぱたぱたと鳴らして寄ってくる。
「えっ? ぁ……あぁ、その、服汚しちゃったから、借りたんだ。あの……外で遊んでて、転んじゃってさ……お風呂も借りて……」
「それじゃあこれはシンヤくんの服? あら~彼シャツ~? ふふふ」
母に「えっちなことをして汚しました」と正直には言えないからって小三男子みたいになることはなかったな。
「シンヤくんオシャレさんなのねぇ」
「マネキン買いとか言ってたから……」
「ヒロにはちょっと丈が足りないみたいね」
「チビで悪かったな! あのさ、明日返そうと思ってたんだけど……洗濯間に合わないかな」
夜の間に乾くとは思えない。うちには乾燥機だとかはないのだ。
「夜、雨かもって予報出てるしねぇ……シンヤくんにメール送っておきなさい」
「うん、電話するよ」
メッセージのやり取りもいいけれど、電話越しでもいいから声が聞きたい。僕は母に盗み聞きされないよう自室に戻ってシンヤに電話をかけた。
「も、もしもし……?」
『もしもし、ヒロくん? ヒロくん♡ おうち帰った? どうしたの?』
「うん……あのさ、服借りたじゃん。今すぐ洗濯しても明日には間に合わないかもしれなくて」
『服? 洗濯しなくていいよ♡ 今日ずっと着てて♡ 明日も着てきて♡ ヒロくんの匂いついた俺の服とか最高♡♡』
俺が今着ている服を洗わずに明日渡して、シンヤがこの服の匂いを嗅いで顔を赤くしたり、はぁはぁと呼吸を荒くしたりして、高まりすぎて僕の名前を呼びながら自慰を始めたり──素晴らしい。
「分かった、着ておくよ」
『運動とかしてくれてもいいよ♡』
「あはは……暇があればね」
寝ている間も着ておこうかな。いや、シワシワの服を返すのは洗わずに返すより恥ずかしいな。でもシンヤはその方が喜びそうだしな。どうしよう。
「ぁ、ごめん、僕そろそろ晩ご飯だ」
『俺もー♡ ばいばい♡ またねー♡』
「うん、ばいばい」
電話を切ってダイニングに戻り、シンヤとの相談の結果洗わずに返すことになったと説明した。母は渋っていたが、納得はしてくれた。
「明日もシンヤくんのところへ行くのね」
「ダメ?」
「まさか。仲良くするのよ、本みたいなことしちゃダメだからね」
無理矢理系のシチュが多めの僕の本棚を見ている母は僕の趣味をよく知っている。もう言わないでくれと半泣きで叫んだ。
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