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体育はサボらせる

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シンヤの乳首弄りに夢中になって遅刻した五時間目は体育だった。体操服に着替えて運動場に向かう頃には整列が終わっていて、僕達は揃って怒鳴られてしまった。

「クソ……前時代的な、真似しやがって……」

準備運動として校庭を三周するのだが、遅刻の罰として僕達には一周追加された。

「体罰教師め……教育委員会に訴えてやるぅ……」

「体罰って感じでもなくない?」

「恨み言に、ツッコミ入れないでよ……はぁっ、はぁ……シンヤくん、平気そうだね」

「俺も体力自信ないけどさ、ヒロくんはちょっと体力なさすぎない? 俺を助けにカラオケまで来てくれた時のこと思い出して♡」

「カラ、オケ……あのクソ野郎っ、僕のシンヤ脱がしやがって……!」

「思い出すの恨みじゃないよー? でも嬉しい♡」

ペースを合わせてくれるシンヤと話しながら走っていると教師に「無駄口を叩くな」と怒鳴られた。正論だが、嫌いな教師だからイライラする。

「…………はぁっ……♡ はぁ……♡」

シンヤが無口になってきた。

「シンヤくん? 黙らなくても、いいよっ……離れてりゃ分からないだろうし、傍通る時だけ黙ってれば…………ぁ、そろそろ体力切れてきた?」

俯いて辛そうにしているシンヤの顔を覗き込む。僕が見ているのに気付いたシンヤが顔を上げる。

「はぁ……♡ はぁ……♡ ヒロくぅん……♡」

シンヤの顔は真っ赤だ、走って息が上がっているにしても様子がおかしい。いくら疲れても涙目にはならないだろう。

「シ、シンヤくん……? どうしたの?」

「んっ……♡ 乳首、服に擦れて……きもちよく、なっちゃう♡ 絆創膏、貼り直すのっ……忘れ、た」

「え……!?」

四周を終えて列に戻る。体操の陣形になってシンヤとは離れてしまったが、彼の様子が気になって仕方ない。
ペアを組んでの柔軟体操があるはずだからその時にまた具合を聞こう、そう決めた直後教師がシンヤに怒鳴った。動きがへろへろだとか……順当な理由だが、消え入りそうな声で謝って声が小さいと怒鳴られて縮こまるシンヤを見ていると教師への恨みが増えていく。

「柔軟きた……! シンヤくん、ペア組もっ」

柔軟体操が始まる。真っ赤な顔をしたシンヤの元へ走り、まず彼に足を伸ばして座ってもらい、その後ろに回る。

「シンヤくん、どう? 大丈夫?」

「大丈夫じゃない……乳首擦れるし、さっき射精しちゃったから……ゴム、たぷたぷしてるし」

「…………一旦トイレ行けば? ゴム外して、絆創膏貼り直して」

「ゴムはいいけど、絆創膏は制服のポケットに入れっぱなしで……更衣室にあるから取りに行けないよ」

体操服の下には肌着を着ない決まりだ、真面目なシンヤはそれを守っている。大きく膨らんだ乳首は体操服越しにも分かるだろう、いつクラスメイトがシンヤの乳首に気付くかわからない。

「あ、あの先生! 吉良くん具合が悪いです!」

「へ……? ヒ、ヒロくん? 何を……」

戸惑うシンヤを置いて教師にシンヤは少し前から体調が悪くなっていたと伝えた。遅刻も体操の動きが鈍かったのもそれが理由だとそれとなく伝え、保健室へ行く許可を得た。僕が保健室まで送る許可も得た。

「シンヤくん、とりあえずこの時間は保健室でサボって。顔赤いし息荒いから多分しばらく休ませてくれるよ、熱ないからって追い出されたりしないはず」

「ありがとう……でも、サボるなんて」

「その体じゃ体育できないだろ? めちゃくちゃエロい顔してるし、乳首も浮いちゃうかもしれないし、今のシンヤくん他の奴に見せたくない」

「…………ヒロくん♡♡」

シンヤは真面目だが決まりを守ろうとする心より僕への愛情の方が強い、だから少し独占欲をチラつかせるだけで言うことを聞いてくれる。あまり使いたくない手だが、今回ばかりは仕方ない。

「体育終わったら迎えに行くからね」

「うん♡ 待ってるね♡」

シンヤを保健室に送り届け、歩いて運動場に戻った僕は教師に「なぜ走らないのか」と怒鳴られた。
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