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痴漢に遭った同級生に興奮するなんて最低

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朝の通学路はいつも心が跳ねている。シンヤが駅で待ってくれているからだ、早く行かなければと自然と足の動きも変わる。

「あ……! シンヤくーん!」

シンヤは待っていたとは言わない。偶然会っただけというスタンスを崩したがらない。

「ヒロくーん♡ おはよ♡」

何故か色っぽさも感じる可愛い笑顔。自分より背が高く、体格もいい金髪の不良に可愛さを感じるなんて──二次元ではどんな大男も可愛いの対象だけれど、三次元で男を可愛いと思えたのはシンヤが初めてだ。

「おはよう、シンヤくん」

「うん、行こっか♡ ん……? 何ヒロくん、じっと見て」

昨日の晩も結局シンヤの妄想で抜いてしまった。決めていた通り、ベビードールを着たシンヤをバックで犯した。

「ねぇ、シンヤくんってさ、その……」

好きな人いる? 男イケる? 僕とかどう? そんなふうに言えたなら、僕は陰キャなんてやっていない。

「…………なんでもない」

フラれるに決まっているのに告白まがいの質問なんてできるものか、僕は友達のままがいい。

「なんでも聞いてくれていいのにー」

可愛いシンヤの無防備な姿を隣で見る、これが一番だ。

「……じゃあさ、どうして髪染めてるの?」

「これが好きだから♡♡」

「…………だよね、ごめんねくだらない質問して」

今行っている高校は頭髪についての校則がない。中学では染髪禁止だったから染髪している者なんてわざわざ教師に逆らっている不良だけだった。僕の中ではまだそのイメージが強いけれど、シンヤには反骨精神なんてない。彼の髪色はただのファッションなのだ。

「……僕、シンヤくんの金髪好きだよ。あっ、変な意味じゃないからね!? ただ、綺麗だなって思う」

「…………ありがと♡♡」

「ほ、本当に……深い意味はないから」

微笑み合っていると乗る予定の電車がきた、いつも通り僕はドア横の壁に背をつき、壁ドンの姿勢のシンヤに守られる。

「……っ、ぁ、ごめん」

「ううん、大丈夫だよ」

シンヤの腕の力が尽きて快適なスペースが保てなくなっても、密着するのが他人ではなくシンヤだから不快ではない。もし勃起してバレたら大変だから腰の前に鞄を挟みはするけれど。

「…………んっ」

シンヤは僕の顔の横に右肘をつき、左手で手すりに掴まっている。僕は両手で鞄を持っている。僕の額にシンヤの口元が来る、もちろん触れてはいないけれど彼の口は僕の耳に近い。だからシンヤの呼吸が荒くなっているのがよく分かる。

「……シンヤくん? どうしたの」

「な、なんでもない……んっ、ぅ……」

ビクンと足を跳ねさせておいて「なんでもない」は通用しない。気分が悪いのだろうか。

「……っ、ゃ、やめ、て…………んっ、ゃ、ぁ……!」

シンヤは顔を後ろに傾けて誰かに何かを懇願している。シンヤの真後ろは真面目そうな顔をしたサラリーマンだ。

「ひぅっ……!? んっ、ゃあっ……お、ねがいっ……やめてっ……」

サラリーマンの腕が動いている気がしてよく見てみれば、彼の手はシンヤのスラックスの中へ入っていた。僕の気付かない間にシンヤのベルトを弛めて手を差し込むなんて、きっとかなり手馴れた痴漢だ。

「いやっ、いや……ゃ、そこだけ、はっ……だめっ……!」

シンヤの声はとても小さく、か細い。集中しなければ傍に居る僕にも聞き取れないほどだ。虫の羽音よりも小さな声を出し、真っ赤な顔をして痴漢に懇願する──可愛い。泣いて欲しい。

「何が嫌なの? こんなに大きくしてるのに」

とうとうサラリーマンがシンヤの耳元で囁き始めた。シンヤはスラックスの下で陰茎を大きくしているようで、鞄を持つ俺の手に少しだけ触れている。

「こんなゆるい穴して、ちょっと弄っただけで勃たせちゃうなんてさ……とんだ変態さんじゃないか。そんな変態さんの言葉なんて信用できないよ、本当はやって欲しいくせに」

ゆるい穴? まさか後孔のことか? シンヤの後孔がゆるいなんてそんな馬鹿な、シンヤは処女だろう?

「あっ……!? ひっ、ぁ、ぁ……!」

「ほぅら、前立腺こりっこり……遊んでるんだね」

「……っ!? ち、が……ぁ、あぁっ……」

遊んでる……? 見た目だけなら確かに遊び人に見える、援交していると言っても納得するだろう。けれど僕はシンヤが普通の、いや、普通以上に善良な高校生だと知っている。
シンヤが非処女なんてありえない、シンヤは後孔に物が入ること自体知らないはずだ。

「ん……? ほら、お友達が見てるよ」

ぎゅっと目を閉じていたシンヤと目が合う。シンヤは黒目がちな可愛らしい瞳を見開き、ふるふると首を横に振り、ポロポロと涙を溢れさせた。

「シ、シンヤくん……」

泣き顔が見たかった。シンヤが陵辱されるのを妄想していつも抜いていた。

「…………見な、いで……」

思っていたのと違う。僕が求めていたのは可哀想で抜ける泣き顔、今のシンヤの涙は静かな絶望によるもので、表情筋自体はほとんど動いていない。
見たかった泣き顔すらも作れない最低な痴漢からシンヤを守るため、僕は彼の腰に手を回した。
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