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でんわばっかり

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家に到着し、車を降りる。すっかり暗くなった空を一瞬見上げ、特に何の感想も抱かずに邸内へ。マスクを捨て、サングラスを外し、携帯端末を操作する。

「……もしもし、今時間いいですか?」

『室内犬、夜帰りとはいいご身分だな』

俺の外出を知っているのか。いや、別に不自然ではないが、興味を持っているとは思わなかった。

『何の用だ、手短に話せ』

「雪凪の連絡先を知っていたら教えて欲しいんです」

祖父と話しながら廊下を歩き、部屋に向かう。雪兎はもう帰っているだろうから通話しながら入るのはやめて、部屋の扉の前で止まった。

『雪凪ぃ? あの出来損ないか。何故知りたい?』

「……ちょっと話したいことがあるんです」

『ふぅん……? 悪いがアレの連絡先なんか残してない、汚点は切り落とす主義だ』

いくらクズとはいえ実の息子に対して酷い言い様だ。祖父がこんなだから叔父もあんなになってしまったんじゃないのか? 雪風が泣いてしまう原因は祖父によるところも多いんじゃないのか? なら、コイツも……?

『アレの妻の連絡先ならあるぞ、妻は優秀だからな』

「……妻? 結婚してたんですか?」

『婚姻したかは知らん、興味がない』

「はぁ……それじゃ、とりあえずその人の連絡先お願いします」

叔父には男の恋人が居たと記憶しているが……まさか不倫? ちょっと浮気を匂わせただけでカッターを振り回す彼と? 勇気があるなぁ。

「……ポチ? おかえり。何してるの?」

祖父は「分かった」と言った直後に電話を切った。誤操作だろうか掛け直そうかと考えていたら扉が開き、雪兎が顔半分を覗かせた。

「ただいま帰りましたユキ様、ちょっと電話中でして」

「……早く入りなよ」

赤紫の瞳からは不機嫌が感じ取れた。俺は携帯端末をポケットに突っ込み、部屋に入った。

「…………寂しかった」

扉を閉めると雪兎は表情を幼く変え、両手を広げた。意識することなく条件反射で雪兎を抱き上げ、ゆっくりと回転して雪兎を楽しませる。雪兎の頬が緩んできたらベッドに優しく投げて、その先でクスクスと笑ったら成功だ。

「ふふ……ポチは力持ちだね、楽しかったよ」

抱き上げて振り回して遊ぶなんて流石に雪兎にしかできない。雪風は少し大き過ぎる、体重はともかく身長が俺より大きくてはどうしようもない。

「ポチ、今日はスーツ着てるんだね、格好良い」

「そうですか? ありがとうございます」

「……使用人さんみたい」

機嫌を治したらしい雪兎はクスクスと笑いながらベッドの横に膝立ちになった俺のネクタイを引っ張り、きゅっと首を絞めた。

「…………苦しいですよ」

「好きでしょ?」

「……はい、とても」

ネクタイは締めたままシャツのボタンを上から二つほど外され、小さな白い手にシャツの中に侵入された。

「肌着は着てないんだ?」

「……はい」

雪兎の手がシャツから抜け、シャツを下に引っ張った。白い無地のシャツに盛り上がった胸筋の形が浮かぶ。

「ダメだよポチ、ちゃんと肌着着ないと。こんなの見られたら恥ずかしいでしょ?」

二つの突起がシャツを持ち上げている。雪兎はその突起をシャツの上から指で弾いた。

「あっ……」

思わず声を漏らすと雪兎は悪戯っ子のような笑顔で俺を見つめる。

「こんなに敏感なのに、肌着も着ないで目立たせて、どういうつもり?」

「……ジャケットで隠れるし、いいかなって」

常に勃たせている訳でもないし、そう続けようとした口から喘ぎ声が漏れた。先程突起を弾いた指が今度は爪で押し潰すようにしてきたのだ。

「隠れてないけど? どうするの? 僕にこうされたら何て言うの?」

シャツ越しに乳頭に爪がくい込んでいく。痛みはあるが、それも込みで快感だ。

「……っ、直接……してください。爪、挿して……ぐりぐりって回してください」

「ふぅん、ポチは僕が格好良いなぁって思ってるスーツを簡単に脱いじゃうんだ。自分のしたいようにしちゃうんだ」

「…………ゃ、やっぱり……着たまま、このまま、ぐりぐりしてください……」

「どうして着たままがいいの? 直接の方が気持ちいいんじゃない?」

「……ユキ様がスーツを格好良いと言ってくださったので、着ていたいんです」

硬く膨らむ乳首をの中に侵入するような雪兎の小さな爪がゆっくりと回転する。

「もう一回聞くよ、ポチ。どうして肌着を着ずに目立たせてたの?」

「ユ、ユキ様に、こうしてもらいたかったからです……ぁ、あっ……! 痛っ、ぁ、ぃ、あっ……!」

押し込む力が強くなる。

「……僕を誘ってたの?」

「はっ、はいっ……!」

「そう、主人を誘うなんて生意気なペットだね」

「ごめんなさいっ…………ぁっ」

指先での愛撫をもっと受けようと胸を突き出すと雪兎は指を離してしまった。

「主人を誘うような淫乱で生意気なペットなら、主人にしてもらえなくなったら自分でやりだすんじゃないかな?」

乳首が刺激を求めて疼いているのを感じる。俺はきっと雪兎の言葉がなくとも自分で自分の乳首を摘み、体を反らしていただろう。
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