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くるーざーふたたび、に

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何とかして眠ろうと意識しながら一晩を越した。眠ったのか眠らなかったのか自分ではよく分からないが、二人は俺が眠っていると思っているらしく、静かに荷造りを進めた。とはいえ当主と次期当主が行う荷造りなんてのはほんの僅かな身の回りのものだけで、ゴソゴソという物音は数分で収まった。

「ポチ、起きてー……る?」

布団を捲られて反射的に身体を縮め、ゆっくりと目を開けば赤紫の瞳と目が合った。荷造りをサボるために寝たふりをしていたのではなく快感で責め立てられた身体がだるくて動きたくなかったのだと理解してくれるだろうか。

「うるさかった? でもポチが寝坊してるのが悪いんだからね? ふふ……涎すごいね、枕べたべただよ」

上体を起こして枕を見下げ、唾液のシミに羞恥心を膨らませる。
玩具の振動が止められ、口枷を外され、浴衣と黒革の服も脱がされた。半開きのままにしていた口に親指が突っ込まれたのでしゃぶり、寝ぼけ眼を雪兎に向ける。

「……歯磨きしたら朝ご飯食べにおいで。僕、先行ってるからね。一人でしちゃダメだよ?」

朝勃ちではなく勃っている性器を指差し、唾液にまみれた親指を頬に擦り付け、雪兎は扉の前で待っていた雪風と共に部屋を出ていった。
脱がされた浴衣を羽織り、黒革の服も布団も片付けず、洗面所に寄ってからいつも食事を食べていた部屋に向かった。

「真尋、気持ち早めに食えよ、俺今日から仕事なんだからな」

「なら昨日帰ればよかったのに」

「せっかく息子達と戯れられる機会なのに仕事なんかやってられっか」

もうほとんど食事を終えている二人を横目にお茶漬けをかき込む。

「それよりユキ、お前は休みもう少しあるだろ? 気を付けろよ、親父、何言ってくるか分かんねぇぞ」

「おじいちゃん僕には優しいもん」

「最後に会ったの何年前だ? 今でもそうだとは思えねぇな。足轢かれないよう気を付けてろ」

二人の会話に聞き耳を立てつつ食事を終え、荷物を抱えてクルーザーに。明るいところで見る別荘と島は本当に素晴らしいもので、やはり海で遊べなかったことを悔いてしまう。

「ポーチー! まだー?」
「真尋ー、早く来い!」

けれど、タラップの上で俺を呼ぶ俺に大荷物を押し付けた愛しい二人を見れば、今回の旅行の素晴らしさと「お前も持てよ」という気持ちが湧き出て、普通の遊びへの後悔が薄まっていった。

「ヘリも楽しかったけどクルーザーもいいね」

「あんまり甲板出てると日焼けするぞ」

「……!? やだ!」

青い空と青い海を健康的に楽しんでいた雪兎は慌てて日陰に走ってきた。水兵服だとかを着て欲しかったななんて思いつつ雪兎を見つめていると、不意に腕を掴まれて室内に引き込まれた。

「どうしたんですユキ様、海見ないんですか?」

「船首の方に居ると風とかが気持ちいいけどさ、青ばっかりの景色だけ見ててもつまんないよ。日焼けするみたいだし、もう飽きたし」

少しくらい日に焼けた方がいい肌をしているが、きっと何時間太陽の元に居ようと黒くは焼けずに赤く痛むのだろう。

「昨日一晩焦らしてあげたから、もうしたくてしたくて仕方ないでしょ? ほら、早く人のいない部屋に行こうよ」

「……是非!」

高揚を表して雪兎をお姫様抱っこで運ぶと演技がかった嬉しい悲鳴を上げ、船の狭い廊下を進むために体を丸めた。
行きに雪風を脱がした部屋にたどり着き、あの一人がけのソファに雪兎に座らせる。

「…………なぁに、こんなところに座らせて。踏んで欲しいの?」

「それでもいいですけど……できるだけ早く入れて欲しいので、それはまたの機会に」

「そうだね、僕も早くしたいし。じゃあ、勃たせてくれる?」

ベルトを外し、下着をズラし、僅かな隙間から歳にも見た目にも似合わない凶悪な男根を引っ張り出す。

「……やだなぁ、目の色変えちゃって」

「ユキ様っ……! ご奉仕させていただきます……ね?」

「うん、好きなようにしゃぶって。でも本気でしちゃダメだよ、ある程度勃ったら口離して、そこに伏せしていい子で待ってね」

見て、嗅いで、すっかり発情しきった俺は荒い呼吸を一瞬止めて雪兎の陰茎を口内に収めた。
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