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かいぬしがいなくても、に
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機械は座れる程度の大きさの直方体だ。上面の真ん中の穴から男性器が飛び出していること以外に特筆すべきことはない。側面にボタンやツマミがついている程度かな。
「うわっ美人! ぁ、内カメラかこれ……びっくりした」
背後で雪風が自己愛に満ちた大ボケをかましているが、構う暇はない。
「いやぁ下から見ても美人とかすごいな俺、自分の美貌が怖い……」
『雪風うるさい。ポチ、ほら早くして』
調子が狂うな。録画が始まった合図の電子音が雪風の方から届き、俺はため息をついて準備を始めた。
左手で割れ目を開いて、ローションを垂らした右手の中指をゆっくりと中に入れる。冷たさに声が漏れて身体がピクリと動く、静かな部屋に響く淫猥な水音が羞恥と興奮を煽る。
「……っ、ふっ、ぅ……んっ……」
ぬちゃ、くちゅ、ぐちゅっ……そんな音と俺の口から漏れる音混じりの甘い吐息だけが聞こえる。
「ん、んっ……ぁんっ……!」
『ポチ? 目的は気持ちいいことじゃなくて、準備だよ?』
ほぐすのをそっちのけで前立腺を弄ろうとしていたことがバレて、俺は仕方なく中に入れる指を増やす。自分の指なのに被征服欲が増していく。
「……ふっ、ぁ……ユキ様っ、多分、そろそろいける……」
少し腰を下ろして玩具の先端を穴の口に押し付けてみると、飲み込もうとぱくぱくと動きだしたのが分かった。
『じゃあ、入れていいよ』
「は、いっ……ぁ、あっ……ん、くぅっ……ふ、ふぁ……は、入りました、ユキ様……」
尻が箱の上面に触れ、足の負担を減らそうと箱に座るように体重を移すと、当然ながらより深く玩具が中に入ってきた。
「……っ!? ん……ぁっ……はぁっ……」
箱を足で挟んで、その箱に腰を下ろしているようにしか見えないだろう。録画が終わった合図の電子音が鳴り、雪風が隣に来る。
「思い出した。これ俺十二の時に使われた。となると俺のは無印ってやつかな……? で、これがスリー……ちょっと箱のデザイン違うな。これ明日までとか…………うわぁ、どんまい……」
不安と期待、そして雪風に使っただろう叔父か家庭教師への殺意が煽られる発言だ。
『ねぇ、ポチ縛って欲しいんだけど』
「申し訳ありません、できません」
人工知能みたいな断り方だな。
「あ、俺一通りできるぞ。自縛も」
『……じゃあ、お願い』
「お願い、パパ。って可愛く言ったらな」
『…………おねがいぱぱー』
調教前の音声合成ソフトみたいな棒読みだ。
「世界一。で、どう縛るんだ?」
『まず、足を伸ばせないようにして、開けないようにして、箱を固定するように』
「はいはい……こうしてこうだな」
足首同士が縛られ、脛と太腿を一纏めに一周二周……そして隙間を潰していって……見事な縄さばきだ。縛り方を覚える隙もなく終わり、腰の後ろに縄の余りがくる頃には下半身は正座に似た体勢のまま動かなくなっていた。
『後、手だね。手で肘掴んで動かなくして。脇締めて二の腕を胸に固定して』
「胸強調されてエロいやつだな。やっぱこれは女の方がエロい気もするけど、こんだけ鍛えてる奴が縛られてるともう縛られてるってその事実だけで抜ける」
事実で抜くな。せめて見て抜け。
「……っ、ぁ……もっと、キツく……」
「これ以上やったら鬱血する。それでなくても長い間縛るんだから、動けない程度でいいんだよ」
『勉強になる……雪風、そっち着いたら教えて』
親子の時間ができそうなのは良いことだが、緊縛術が架け橋になるのは何か嫌だ。
そうこうしている間に腕が固定された。二の腕は胸にぴったりと、手は肘に当てたまま、一切伸ばせない。
「まだあるか?」
『んー……もうないかな、倒れないようにして欲しいけど。柱に縛ればよかったね』
「ああ、それなら……梁に引っ掛ければ上に引っ張られる感覚もあっていいぞ。何回か吊られたことあるけど、アレは良かった……」
『あ、なら首輪巻いて、首輪に繋いで、軽く首絞まる感じにして?』
使用人が部屋の外に出て、素早く首輪を持って帰ってくる。いつもより一つ緩く巻かれ、首の後ろに縄が通される。
「これバランス崩したら首吊るぞ、危ないって」
『うん、だから見ててあげて。その間手は出さないでね? 信じてるよ、ぱーぱ?』
縄の端が天井に向かって投げられ、梁を越えて落ちてくる。雪風がその端を掴んで引っ張ると首輪が上に向かって首が絞まり、腕と足にも少し浮く感覚があった。
「ぁ……はっ……」
縄と梁と俺の身体が軋む。意識が保たれる程度に首が絞まり、腸壁が玩具を締め上げる。
「……と、当主様? 少し、引き過ぎでは……ポチさん、死んでしまわれるのでは……」
「これだから素人、いや、トーシロは……」
何で言い直した。そう呟く余裕はなく、酸素を求めて開いた唇に雪風の指が触れる。
「このくらいの絞まりなら気持ちいいだけだよな? 失神直前のが気持ちいいんだけど、縄じゃ流石に危ない。だから俺は縄より手が好きだな、お兄ちゃん加減上手くて…………とにかく、これくらいなら平気なんだ。だろ?」
途中に挟まれた過去の情報に殺意を高めつつ頷く。
「ほらな? 分かったら端っこ固定するの手伝え。えっと……縁側の柱だな、襖開けろ」
背後の襖が開き、見えないが縁側の柱に縄が固定されたらしい。雪風と使用人が戻ってきて襖が閉じられる。
「そこ通る奴に縄解くなって言っとけ。ピンピンして遊んでもいいけどって付けてな」
そう言いながら雪風が縄を弾くと、まず首輪に振動が伝わり、首を絞められる快感が強調された。
「うわっ美人! ぁ、内カメラかこれ……びっくりした」
背後で雪風が自己愛に満ちた大ボケをかましているが、構う暇はない。
「いやぁ下から見ても美人とかすごいな俺、自分の美貌が怖い……」
『雪風うるさい。ポチ、ほら早くして』
調子が狂うな。録画が始まった合図の電子音が雪風の方から届き、俺はため息をついて準備を始めた。
左手で割れ目を開いて、ローションを垂らした右手の中指をゆっくりと中に入れる。冷たさに声が漏れて身体がピクリと動く、静かな部屋に響く淫猥な水音が羞恥と興奮を煽る。
「……っ、ふっ、ぅ……んっ……」
ぬちゃ、くちゅ、ぐちゅっ……そんな音と俺の口から漏れる音混じりの甘い吐息だけが聞こえる。
「ん、んっ……ぁんっ……!」
『ポチ? 目的は気持ちいいことじゃなくて、準備だよ?』
ほぐすのをそっちのけで前立腺を弄ろうとしていたことがバレて、俺は仕方なく中に入れる指を増やす。自分の指なのに被征服欲が増していく。
「……ふっ、ぁ……ユキ様っ、多分、そろそろいける……」
少し腰を下ろして玩具の先端を穴の口に押し付けてみると、飲み込もうとぱくぱくと動きだしたのが分かった。
『じゃあ、入れていいよ』
「は、いっ……ぁ、あっ……ん、くぅっ……ふ、ふぁ……は、入りました、ユキ様……」
尻が箱の上面に触れ、足の負担を減らそうと箱に座るように体重を移すと、当然ながらより深く玩具が中に入ってきた。
「……っ!? ん……ぁっ……はぁっ……」
箱を足で挟んで、その箱に腰を下ろしているようにしか見えないだろう。録画が終わった合図の電子音が鳴り、雪風が隣に来る。
「思い出した。これ俺十二の時に使われた。となると俺のは無印ってやつかな……? で、これがスリー……ちょっと箱のデザイン違うな。これ明日までとか…………うわぁ、どんまい……」
不安と期待、そして雪風に使っただろう叔父か家庭教師への殺意が煽られる発言だ。
『ねぇ、ポチ縛って欲しいんだけど』
「申し訳ありません、できません」
人工知能みたいな断り方だな。
「あ、俺一通りできるぞ。自縛も」
『……じゃあ、お願い』
「お願い、パパ。って可愛く言ったらな」
『…………おねがいぱぱー』
調教前の音声合成ソフトみたいな棒読みだ。
「世界一。で、どう縛るんだ?」
『まず、足を伸ばせないようにして、開けないようにして、箱を固定するように』
「はいはい……こうしてこうだな」
足首同士が縛られ、脛と太腿を一纏めに一周二周……そして隙間を潰していって……見事な縄さばきだ。縛り方を覚える隙もなく終わり、腰の後ろに縄の余りがくる頃には下半身は正座に似た体勢のまま動かなくなっていた。
『後、手だね。手で肘掴んで動かなくして。脇締めて二の腕を胸に固定して』
「胸強調されてエロいやつだな。やっぱこれは女の方がエロい気もするけど、こんだけ鍛えてる奴が縛られてるともう縛られてるってその事実だけで抜ける」
事実で抜くな。せめて見て抜け。
「……っ、ぁ……もっと、キツく……」
「これ以上やったら鬱血する。それでなくても長い間縛るんだから、動けない程度でいいんだよ」
『勉強になる……雪風、そっち着いたら教えて』
親子の時間ができそうなのは良いことだが、緊縛術が架け橋になるのは何か嫌だ。
そうこうしている間に腕が固定された。二の腕は胸にぴったりと、手は肘に当てたまま、一切伸ばせない。
「まだあるか?」
『んー……もうないかな、倒れないようにして欲しいけど。柱に縛ればよかったね』
「ああ、それなら……梁に引っ掛ければ上に引っ張られる感覚もあっていいぞ。何回か吊られたことあるけど、アレは良かった……」
『あ、なら首輪巻いて、首輪に繋いで、軽く首絞まる感じにして?』
使用人が部屋の外に出て、素早く首輪を持って帰ってくる。いつもより一つ緩く巻かれ、首の後ろに縄が通される。
「これバランス崩したら首吊るぞ、危ないって」
『うん、だから見ててあげて。その間手は出さないでね? 信じてるよ、ぱーぱ?』
縄の端が天井に向かって投げられ、梁を越えて落ちてくる。雪風がその端を掴んで引っ張ると首輪が上に向かって首が絞まり、腕と足にも少し浮く感覚があった。
「ぁ……はっ……」
縄と梁と俺の身体が軋む。意識が保たれる程度に首が絞まり、腸壁が玩具を締め上げる。
「……と、当主様? 少し、引き過ぎでは……ポチさん、死んでしまわれるのでは……」
「これだから素人、いや、トーシロは……」
何で言い直した。そう呟く余裕はなく、酸素を求めて開いた唇に雪風の指が触れる。
「このくらいの絞まりなら気持ちいいだけだよな? 失神直前のが気持ちいいんだけど、縄じゃ流石に危ない。だから俺は縄より手が好きだな、お兄ちゃん加減上手くて…………とにかく、これくらいなら平気なんだ。だろ?」
途中に挟まれた過去の情報に殺意を高めつつ頷く。
「ほらな? 分かったら端っこ固定するの手伝え。えっと……縁側の柱だな、襖開けろ」
背後の襖が開き、見えないが縁側の柱に縄が固定されたらしい。雪風と使用人が戻ってきて襖が閉じられる。
「そこ通る奴に縄解くなって言っとけ。ピンピンして遊んでもいいけどって付けてな」
そう言いながら雪風が縄を弾くと、まず首輪に振動が伝わり、首を絞められる快感が強調された。
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