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わふうもよいもの、に
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魚や貝、蟹や海老の刺身──分かりやすい和風のご馳走でよかった。キノコや豆や煮物ではどうにも高級感が得られない、個人的な話だが肉か魚がなければ夕飯を食った気がしないのだ。
「んー……! おいし……」
向かいではアルビノ美少女和風メイドが蟹の刺身を食べて口に手を当て、小さな声で感激を表している。幼い頃から豪勢な飯を食べなれているだろうに、可愛らしいことだ。
「このカニいいなぁ、何ガニか知らないけど……」
さっき一口食べたが、確かに蟹は相当美味い。しかし俺は今魚の気分だ、蟹は後にしよう。
「まひろー、蟹食べたー?」
「食べたちゃ」
「美味いよなー」
「んー……ブリ最高」
「俺カンパチ派かなー今ないけど」
俺は油が乗っていて口の中でとろけるような魚が好きだが、雪風は歯ごたえがある方が好きなのだろうか。
「雪風、マグロは中? 大?」
「どっちかって言うと中かな……大トロはちょっと油っぽい。赤身のが好きだな」
油っぽいのは嫌いなのか。まぁ、一緒に食事に行った時のことを考えれば細かな好みは分かれていた方がいい。大まかな好みは一致していた方がいいけれど。
「かぼちゃの煮物とかも皮側が好きなのか?」
「かぼちゃの煮物そのものに覚えがないからなんとも」
俺もこの家に引き取られてからは食べてないな、そもそも煮物がほとんど出ない。調理時間の問題だろうか? 飯は美味いが煮物がないのは寂しい気もするな。
「そうだ真尋、サザエのあの黒っぽいとこ食えるか?」
「サザエ食った覚えないのでなんとも」
沈黙の時が過ぎていく。食の好みは今目の前に並べられているものから質問した方がいいな。雪風もその結論に至ったようで夕飯に順に目を移している。
しかし特に見つからない。探すとなると目が滑ってしまうものだ。
「……雪風って女装趣味あるのか?」
俺はいつの間にか話題を見つけられずに食事を眺める雪風を眺めていた。
「え? なんで?」
「雪兎が雪風は女装癖あるーとか言っててさ。実際メイク上手いし」
「別に女装趣味はないぞ。女装してる奴が好きって奴がいるから女装もできるってだけで」
俺のことか? いやいや俺はコスプレが好きなのであって女装が好きな訳ではない。
「そもそも俺、これっていう趣味ないし」
「ないのか?」
「プレイはその日の気分で決めるか、相手の嗜好に合わせるか……これやりたいってのはあんまり」
誰でもいい何でもいい、そんな人間になってしまった過去は船で聞いた。今の質問は失敗だったかな。メイドコスだって俺が好きだからとやっているだけで、雪風が着たかったかどうかは分からない。
「……雪風、メイド服……着てみてどうだ?」
もし嫌がっていたら残念だけれど、何とも思っていなくともそれはそれで悲しい。
「んー? 真尋が可愛い可愛い言ってくれるし、いつもよりじっと見てくるし、真尋が楽しそうにしてる感じだから着て良かったって思ってるぞ?」
やはりメイド服そのものへの感想はないのか。
「靴下の上から撫でられるのとか、ガーターベルトの横にキスされるのとか、エプロンの中に手突っ込まれるのとか……いつもと違う格好してるだけあって、着たままでも楽しめて良かったな」
言いながら思い返しているのか雪風の顔がほんのりと赤くなっていく。
「……着たまんまヤりたかったなぁ」
「ドクターストップだろ?」
じとっと俺を見つめる不機嫌な顔も可愛い。そんなことを考えながら見つめ返すと照れたように目を逸らされた。
「んー……! おいし……」
向かいではアルビノ美少女和風メイドが蟹の刺身を食べて口に手を当て、小さな声で感激を表している。幼い頃から豪勢な飯を食べなれているだろうに、可愛らしいことだ。
「このカニいいなぁ、何ガニか知らないけど……」
さっき一口食べたが、確かに蟹は相当美味い。しかし俺は今魚の気分だ、蟹は後にしよう。
「まひろー、蟹食べたー?」
「食べたちゃ」
「美味いよなー」
「んー……ブリ最高」
「俺カンパチ派かなー今ないけど」
俺は油が乗っていて口の中でとろけるような魚が好きだが、雪風は歯ごたえがある方が好きなのだろうか。
「雪風、マグロは中? 大?」
「どっちかって言うと中かな……大トロはちょっと油っぽい。赤身のが好きだな」
油っぽいのは嫌いなのか。まぁ、一緒に食事に行った時のことを考えれば細かな好みは分かれていた方がいい。大まかな好みは一致していた方がいいけれど。
「かぼちゃの煮物とかも皮側が好きなのか?」
「かぼちゃの煮物そのものに覚えがないからなんとも」
俺もこの家に引き取られてからは食べてないな、そもそも煮物がほとんど出ない。調理時間の問題だろうか? 飯は美味いが煮物がないのは寂しい気もするな。
「そうだ真尋、サザエのあの黒っぽいとこ食えるか?」
「サザエ食った覚えないのでなんとも」
沈黙の時が過ぎていく。食の好みは今目の前に並べられているものから質問した方がいいな。雪風もその結論に至ったようで夕飯に順に目を移している。
しかし特に見つからない。探すとなると目が滑ってしまうものだ。
「……雪風って女装趣味あるのか?」
俺はいつの間にか話題を見つけられずに食事を眺める雪風を眺めていた。
「え? なんで?」
「雪兎が雪風は女装癖あるーとか言っててさ。実際メイク上手いし」
「別に女装趣味はないぞ。女装してる奴が好きって奴がいるから女装もできるってだけで」
俺のことか? いやいや俺はコスプレが好きなのであって女装が好きな訳ではない。
「そもそも俺、これっていう趣味ないし」
「ないのか?」
「プレイはその日の気分で決めるか、相手の嗜好に合わせるか……これやりたいってのはあんまり」
誰でもいい何でもいい、そんな人間になってしまった過去は船で聞いた。今の質問は失敗だったかな。メイドコスだって俺が好きだからとやっているだけで、雪風が着たかったかどうかは分からない。
「……雪風、メイド服……着てみてどうだ?」
もし嫌がっていたら残念だけれど、何とも思っていなくともそれはそれで悲しい。
「んー? 真尋が可愛い可愛い言ってくれるし、いつもよりじっと見てくるし、真尋が楽しそうにしてる感じだから着て良かったって思ってるぞ?」
やはりメイド服そのものへの感想はないのか。
「靴下の上から撫でられるのとか、ガーターベルトの横にキスされるのとか、エプロンの中に手突っ込まれるのとか……いつもと違う格好してるだけあって、着たままでも楽しめて良かったな」
言いながら思い返しているのか雪風の顔がほんのりと赤くなっていく。
「……着たまんまヤりたかったなぁ」
「ドクターストップだろ?」
じとっと俺を見つめる不機嫌な顔も可愛い。そんなことを考えながら見つめ返すと照れたように目を逸らされた。
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