俺の名前は今日からポチです

ムーン

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めいどこす、ろく

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さて、どうするべきだろう。
雪風は抱いて欲しいと本気で言っている。俺も抱きたい。昔からの夢のアルビノ美少女メイドが「なか掻き回して」なんて言ってくるんだぞ? コックリングに締められた陰茎が痛い。鬱血しないのかなコレ。

「まだぁ……? 早くぅ……」

「んっ、ぅ、ちょっと待てっ……動くな」

雪風は腰をくねらせて欲しがっている。しかし、船内で彼は「家庭教師に色々されたから今は出来ない」と言っていた。まぁ、爪を立てて穴の中を掻き回されたか、いつかのように歪な玩具を突っ込まれたか、潤滑油無しで長時間犯されていたか──これが殺意か。

「…………真尋? 抱いてくれないのか?」

出血したら、痛いと泣いたら、それらを我慢して俺に抱き着いて微笑まれたりしたら、俺は罪悪感で壊れてしまう。胸への愛撫もこれ以上出来ない、唇や舌を触れさせれば自然と唾液を塗りつけることになってしまい、傷に沁みてしまう。
何も言えないでいると雪風は俺の手を引っ張ってエプロンから抜き、俺の足の上から降りて立ち上がった。恥をかかせたか? 幻滅させたか? 理由を話しておかなければ──そう考えていると雪風は俺に背を向けたまま膝を着いた。

「……ゆ、雪風? どうした、大丈夫か?」

そんなふうに急に膝立ちになったら膝を擦りむいてしまう。下は畳だ、火傷もありえる。
立ちくらみでもしたのかと声をかけると、雪風は黙ったまま両手を床に着き、四つん這いになった。

「…………ご主人様、抱いてください」

「雪風……ち、違うんだよ、ほら、船で言ってたろ? 後ろ無理だって……怪我してるんだよな?」

「……ご主人様、このはしたないメイドに、お慈悲を」

短いスカートは四つん這いになると意味を失う。股間を隠すという大役を捨てて腹巻き未満に成り下がる。まぁ、欲情を煽るという大役は引き継いでいるけれど……

「…………大丈夫なのか?」

丸見えになってしまった尻にも傷は見える。軽く開いた足の間には黒いレースに包まれた陰嚢だけが見える。
そっとスカートを捲り、黒いレースの下着に手をかける。割れ目に挟まる紐部分を指に引っ掛け、ズラして、尻の肉を手で押しのけて穴を拡げる。

「ぁ……ま、まひろ? それは、流石に恥ずかしい……」

ひくひくと収縮する穴の口からは透明の蜜が垂れている。流石に中に傷があるかどうかは見ても分からない、懐中電灯でもあれば分かるかもしれないが、それには流石に雪風も抵抗するだろう。

「…………ご主人様?」

雪風は俺が返事をしないとメイドを演じ始めるな……何だ、俺がわざと無視していると思っているのか?

「恥ずかしいですよぉ、ご主人様ぁ……でも、変態のご主人様がどうしてもと仰るなら、全部、見せても……構いませんよ?」

「……雪風。中、怪我してないか?」

「……………してる」

雪風は深いため息の後、気のせいかと流してしまいそうな程に小さな声で返事をした。

「……しちゃダメだよな?」

「…………したい」

「しちゃ、ダメだよな?」

「まぁ、そう言う奴も居たな」

「誰だ?」

「……医者」

医者にかかるような傷だったのか……その医者は雪風に手を出していないだろうな? 医者なら性器周りも見慣れているとは思うけれど、こんな美人が来たら俺なら速攻手を出す。喉風邪だろうと診察の名の元に全部脱がす。今度お医者さんごっこ提案しようかな……っと思考が脱線した、大事故だ。

「じゃ、しません」

「えー」

「えー、じゃない」

雪風は俺の前に胡座をかいて座る。ミニスカートを履いているということを自覚して欲しい。

「……俺、魅力ない?」

「魅力の権化が何言ってんだよ」

「…………魅力あるなら、あんなポーズ取ったら抱くだろ」

「怪我してるんだろ?」

雪風は雪兎と同じように頬を膨らませて不機嫌を表す。
このアラサーがっ……! 似合うんだよ童顔め! 可愛い!

「怪我、見えてる訳じゃないんだから……お前がグイグイ来いよ。俺が多少痛がっても「ごめん、止まんない」とか……「お前が可愛過ぎるのが悪いんだよ」とか……」

「……いいか、雪風。前ならそれやってたと思う。最初の頃お前にめっちゃムカついてたし。でもな……過去知って、そんな可愛いカッコされて、何か子供っぽい仕草とか見てたら…………無理。無理無理無理……お前に痛がらせるくらいなら股間破裂した方がマシ」

ちなみに「可愛いカッコ」という言葉には見た目だけではなく俺の好みだから服を用意したという行動の愛らしさも含む。

「何なのお前……俺好きなの……?」

「好きだけど」

「…………何だよぉ、もぉ……普通さぁ、好きならさぁ、ちょっと暴走しちゃって傷付けちゃうーみたいなのあるだろー?」

「それが嫌だから気ぃ使ってんだよ」

これ以上この美しい生き物に傷を付けたくない。人生何回分かも考えたくない程の傷を心身共に幼少期に負った彼にこれ以上痛みを覚えさせたくない。

「何ぃ、もぉ、すっごい好きぃ……」

泣いている姿も見たくない──いや、可愛いな……いやいや、早く泣き止ませよう。笑っている顔が一番なのだから。
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