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あいがんけん、に

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制服の上着を脱いだ雪兎はベッドの下から麻縄を取り出し、俺の足首に巻き付けた。縄の端はベッドの足に繋がれ、肩幅程度に開かせてピンと伸ばさせられた状態で固定された。

「ユキ様……どんなふうにするんですか?」

「ちょっと調べようかなーって」

「調べる?」

白く細い指先がシャツのボタンを外していく。肌を隠す最後の砦が、肌着が晒されていく。

「ポチ、この前僕の声聞くだけでイけるって言ってたでしょ? 旅行の時だっけ……? その時もイけって言ったらイったよね。事前準備とか、他の攻めとかもいるみたいだけど、トリガーは僕の声だよね?」

「まぁ……はい」

「じゃあ、その事前準備はどの程度ならいいの? トリガーはどれくらい刺激を下げても大丈夫なの? を調べたいなって」

シャツのボタンを全て外すと予想とは違ってシャツは脱がず、そのまま俺の傍にやって来た。ベッドの上には乗らず、真横で俺を見下げている。

「……要するに、ポチがイける最低の刺激を調べる。つまり、すっごい焦れったいので攻められて、何回もイかされる」

「そ、れは…………イイ、ですね」

「…………こうやって何するか聞かせてるだけでも準備になるかな? 一回イったら敏感になるだろうし、実験としては破綻してるよね。でも、プレイ的実験には十分じゃない? ねぇ? 実験体さん?」

視界が白い物で覆い隠される……一瞬の出来事で目は働かなかったが、匂いからして俺の顔にかけられた布は雪兎のシャツだ。もう一枚上から何かをかけられて、更に光が遮られる。布の擦れる音だけが聞こえて、雪兎の裸体を布の向こうに想像して、腰が揺れる。

「……よし、完璧。じゃあ、実験を始めます……なんてね」

シャツが捲られ、頭の横に丸めて置かれる。雪兎の匂いは感じられなくなってしまったが、雪兎の姿を捉えられるようになった。
雪兎は理科教師が着ているような白衣を着ていた。白いマスクをつけて、ビニールの手袋まではめていた。

「実験体はポチという名前の愛玩犬、主人が留守の間に発情して自慰で失神するような淫乱。実験内容は絶頂条件の下限調査、並び絶頂回数の限界調査…………それっぽい? 大丈夫? 変じゃない?」

「……最後ので台無しですよ」

「あっ……えっと、では、実験を始める!」

「開始宣言二回目ですよ」

どうしてこういう時に限ってポンコツっぷりを見せてくるのだろう。しかし、サラリと述べられた実験内容とやらは魅力的な内容だ。絶頂回数の限界調査……一体何回イかされるのだろう、何をどうやって、何時間……考えるだけで絶頂を迎えてしまいそうだ。まぁ流石にそこまでにはなっていないけれど。

「反応を分かりやすくするため、貞操帯は外す。下限調査は射精を絶頂基準とする……」

貞操帯が外されたことの振動や開放感に身体が震える。雪兎の指先が足の付け根に対して触れるか触れないかも曖昧な愛撫を始めて、伸ばして固定された足の指が開いていく。

「ユキ様っ、そこ……じゃ、なくてぇ、もっと……」

もっと敏感なところを、もっと強く、そんな願いが却下されることは分かりきっている。それでもやらずにはいられず、言葉を紡いだ。おねだりを聞いた雪兎は手を離し、俺の頭の横に丸めていた物を持ち上げた。

「……これが何か分かる?」

「肌着……ですか?」

それは雪兎がシャツの下に着ていた肌着だった。

「正解。僕が今日一日中着てた肌着。体育で汗かいたけど、換えを忘れて六時間目だしまぁいいやってそのまま着てきた肌着……」

「変なとこおっちょこちょいですよねユキ様って」

マスクに半分隠された顔でもムッとしたのは分かった。
雪兎はマスクの位置を戻すと表情も整え、雪兎の博士像らしい冷たい瞳を再度作った。
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