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どんなものでも

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限界まで上を向く、それだけで少し苦しい。唾を飲むことは出来なくなるだろう。その上で勃起した陰茎を咥えさせられたら、もう呼吸がどうとかではなく嗚咽する。

「喉って……結構、いいね。気持ちいいよ、ポチ。でも……僕、もう少し締め付け欲しいなぁ?」

喉は必死に広がろうとしていて、それは意思で操れるようなものではない。雪兎の希望は叶えられないので代わりのご機嫌取りに雪兎の太腿に手を添えた。喉を犯されながら太腿を触って、目の前に布を挟まない臀があって……最高だ。

「これじゃお返事出来ないよね。分かってるけど鳴き声もないのは少し寂しいなー。ねぇ、ポチ、締め付け欲しいんだけど無理?」

太腿を指の腹で優しく二回叩く、無理だの合図になってくれると信じて。

「無理なのかな? じゃあ自分で締めるよ」

どういう意味だろうと考える間もなく小さな手が首に添えられる。手慰みに喉仏を親指でぐりぐりと回し、その少し下の窪みを強く押す。

「あはっ、おえってなってる? 喉ぷるぷるしてるよ、新感覚だなぁ」

手のひらと四本の指で側面を軽く絞めながら、親指で喉をマッサージのように押していく。中にある自身の陰茎に刺激を与えるため、自慰の時に手の力加減を変える程度の思いで、俺の喉を押し潰す。
中から拡げられ、外から絞められ、意識が遠のく。視界がぼんやりとし始めてしばらく、吐き出すという選択肢のない奥への射精が果たされた。

「ふー……ふふ、三回もしちゃった。溜まってたとはいえ疲れたよー」

何の遠慮もなく陰茎を引き抜き、立ち上がる。喉がめくれ上がるかと錯覚した。

「ポチ? ポチ、大丈夫?」

身体を横にして丸まり咳き込む俺の前に屈み、今までの行為の記憶を全て失ったかのように心配そうな声を出す雪兎。震える手を支えに上体を起こした俺はそんな雪兎の顔を見て、愛おしさが溢れる自分自身への嘲りも込めて笑みを作る。

「どうだった? 喉、好きになりそう?」

「喉……ぇほっ、好き、ですよ……頻繁には、嫌ですけど」

「咳き込んじゃって、本当に大丈夫?」

「ええ……死ぬかと思いました、最高でした……ユキ様」

力が抜けたふうを装って雪兎の胸元に顔を寄せる。右手を床に、左手を雪兎の背に、どちらもまともに力が入っていない。

「ユキ様ぁ……ん、ユキ様……ユキ様、ご主人様ぁ……」

蕩けた思考で欲望のままに鎖骨を舐めしゃぶると、雪兎は予想外にも俺の頭を撫でてくれた。頭皮への快感に身悶えし、足がぴくぴく跳ねてしまう。

「可愛いわんちゃん、ちょっといじめちゃったから今からは甘えさせてあげるね、何したいとかある?」

「ん……このまま、撫でてぇ……」

自分の唾液の味になってしまった肌から離れ、反対の鎖骨をしゃぶる。舌を這わせて、吸って、そんな気持ち悪いだろう行為も雪兎は受け入れてくれて、両手で頭を撫でてくれる。頭皮へのぞくぞくする快感はもちろん揺れた髪や指先が耳を擦る刺激もある。

「ぁ、んっ……んんっ……ふ、ユキ様……ユキ様ぁ、イっちゃった……」

「え? わ、ほんとだ。撫でられただけで出しちゃうんだ?」

床に零れた白混じりの透明な液を指先に掬い、萎えた陰茎に絡める。

「ふふ……すぐおっきくなるね。本当、絶倫……ちゃんと僕で満足出来てる?」

「うん……ユキ様好き……好き、ぁ、そこぉ……そこっ、くりくりしてっ……」

「僕が飼い主なのに僕で満足出来てるか……はおかしいね。僕がポチで満足出来たらポチが喜ぶってのが正しいんだよ? 僕、今はとりあえず満足してるけど、どう?」

陰茎を愛撫する手が止まり、思考の時間が与えられる。先程俺を抱いていた雪兎の艶やかな笑みを、支配欲を満たされた恍惚とした笑みを思い出し、胸が暖かくなった。

「嬉しい……ユキ様、俺で悦んでくれるの、嬉しいです」

「そっかそっかー、ちゃんとわんちゃんになったね? ねぇポチ?」

「はい……」

「犬の返事は「はい」じゃないでしょ」

「…………わん」

「ふふ、相変わらず下手だなぁ。でも可愛い」

雪兎に撫でられた場所から暖かくなる。その温もりを求めて、俺は延々と甘えた鳴き声を上げ続けた。
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