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あわせわざ、じゅう

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不意に俺から離れた使用人は檻の隅からダンボール箱を持ってくる。中身はきっと先程言っていた玩具だろう。その予想は当たって、乳首を吸い上げる透明のカップを取り付けられた。

「まだ動かしてませんけど、これでも結構キツいですよね」

今取り付けられたのは左で、右の分だろうカップは俺の目の前で揺らされている。どうして吸われるのかだとかブラシの所在だとか分かりきったことを説明され、睨む目に力が入る。

「……まだそんな目するんですか?」

カップを持っている方とは別の手が乳首を抓る。何の加減も気遣いもなく、ただ痛みだけを与えるようなやり方だ。

「こんなに乳首伸ばして膨らましておいて、こんなに硬くしておいて、どうして人を睨めるのか理解出来ません」

「ぅ、うぅっ! ふ……ぅ……!」

「……犬なら人間様に媚びるべきですよ」

数秒の苦痛が終わるとカップを取り付けられ、ジンジンと痛む乳首が吸い上げられる。
使用人は何故か戸惑ったような顔をして視線を外した後、再び俺の顔に顔を近付けた。

「本当に……やめてくださいよ。俺、普通なんです。男になんか興味無いんですよ。今だって嫌なんですよ、雪兎様に言いつけられた後だって先輩達に代わってくれって頭下げて回ったりしたんですよ。眉間のシワが伸ばせなくなるくらい嫌な仕事のはずなんですよ……!」

使用人は自分の頬に手を添える、ここに来た時から上がりっぱなしの口角を抑えるように。

「…………昔、付き合った女の子とヤった後、虐めるの嫌だって振られたことあるんですよ。Sっ気あるんでしょうね、下のくせに生意気な奴見ると屈服させたくなるんです。それでも欲情出来るのは可愛い女の子だけだったはずなんですけどね」

ひとしきり話して落ち着いたのか使用人は箱から細長い棒を取り出す。

「いや……これ、キツいですね。同じモノ持ってる男としては、これ挿すのって……うわぁ……」

凹凸の激しいそれを眺めて、俺にも眺めさせて、ローションで濡らすと鈴口にあてがう。

「…………んっ、ぅ、ふぅぅっ……!」

入ってくる異物への不快感なんて分からないくらい微かなもので、雪兎ではない者にされている嫌悪感も小さくて、媚薬によって引き上げられた性感がただただ尿道への刺激を悦ぶ。

「痛いんですか? 気持ちいいんですか? 痛そうですけど……」

全て入り、コックリングに締められた直前に先端が触れていると何となく分かる。

「…………玩具、電源入れたら俺は部屋出ますから。変なこと言ったって雪兎様には言わないでくださいね、ペット様も見覚えのある顔がワニの餌なんて嫌ですよね? 休暇取れたら可愛い女の子ナンパして性癖戻しますから、ペット様の世話は絶対先輩に代わってもらいますから、絶っっ対……俺が無駄に会話したとか触ったとか言わないでくださいね」

カチ、カチ、と玩具のスイッチが入れられていく。動かない物だと思い込んでいた尻尾飾りが震えて、吸われるだけでも耐え難いのにその上ブラシで擦られて、尿道プラグまで微かに震え出して、全身と言って差し支えない快感に張形を咥えたままの口で絶叫した。

「………………そ、それじゃ、俺はこれで。振動はランダムで、雪兎様が帰ってくるまでこの部屋には誰も来ません。それじゃ、暗い中一人で頑張ってください」

俺をじっと見つめていた使用人はハッとした顔をして我に返り、電気を消して慌てて部屋を出て行った。
暗闇の中自分を攻める玩具の駆動音と自身のくぐもった声だけが耳に届く。視覚に与えられる情報はなく、その分が全て性感に回され、快楽の深さが数段増した。
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