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ゆめうらない
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昼食の匂いに目を覚まし、うつ伏せになるとベッドから上半身を出して床に腕をつき、食事を持ってきた雪兎を出迎えた。
「びっ……くりしたぁ…………何、その変なカッコ」
「今日のご飯何ですか?」
「……いや、そのポーズ何? 腕クロスしないでなんかうっとうしいから」
俺は上半身をベッドから垂らしたままゴロゴロと転がり、毛布で両足を包んだ。
「マーメイドプリンスポチです」
「器用だね……そんなに人魚になりたいなら後で足縛ってあげるよ」
「ぁ、いいですいいです、俺は無償で足をもらいましたほらほら」
「わぁごつい足」
裸だったので毛布を腰に巻いたまま昼食を食べ、相変わらずの美味に頬を緩ませながら雪兎を視姦する。オーバーサイズの白シャツにタイトな黒の短パン、外に出ていない俺にはそれが流行なのかどうかは分からないが、今の雪兎が街角で取材でも受ければ流行になるのは間違いない。さて、服はここまでにして太腿でも堪能しよう……
「……ユキ様、どうしたんですかこれ」
白い柔肌に蚯蚓脹れができていた。
「えっと……ちょっと痒くてさ」
自分で引っ掻いたのか。
「大丈夫ですか? 舐めますか?」
「大丈夫だよ、舐めなくていいし」
「そうですか……じゃあ内腿舐めていいですか?」
「ダメだよ」
食事に視線を落としたまま断られると自信が萎む。痛そうな太腿は見つめ続けるのも辛いし、かと言って話すことはない。
「……ねぇポチ、昨日何か夢見た?」
他人の夢の話ほどつまらないものはないと思うけれど、魘されでもしていたかな。
「見ましたよ」
「どんなのどんなの?」
魘されていた、寝言を言っていた、だとかではなさそうだ。雪兎は幼子のようにキラキラとした瞳を向けてくる。
「んー……なんかこう、高いところから落ちてて」
「えっ? ぁ、うん、続けて」
「ユキ様も落ちてて……俺が先に落ちてたので着地して」
「着地したんだ……」
「はい、わんぱらり、と」
スープを飲んで一息ついたら話を再開する。雪兎が続きを楽しみそうに俺を見ているのだ、だが、これから先は大した話が待っている訳でもない。夢なんてそんなものだ。
「ユキ様受け止めようとしたんですけど、何を間違ったかユキ様を顔で受け止めてしまって、その、ユキ様の足の間に顔面がハマるという何とも僥倖……っとと、ユキ様にとっては地獄の苦しみじゃね的なことになりまして」
「……そっか」
「ユキ様はしばらくどいてくれなかったので本当最高でしたね、いい匂いしましたぁ……また見たいですね」
「ほ、他は?」
「他? あぁ……ユキ様に乗られてて、んでなんか……蛇かな? に噛まれましたね」
「……どこ?」
「………………胸。何か本当にちょっと痛いんですよね……ユキ様なんか抓ったりしませんでした?」
胸──正確には右の乳首。夢は噛まれただけだったが、現実での微妙な痛みは吸われたに近い。
「何もしてないよ」
「あら残念、ユキ様が寝てる間に吸ってたとかならお可愛らしかったのに」
そうだったとしたら蛇に変換した夢を見せた自分を恨んでいたところだ。
「……で、今日はどのようなプレイを?」
「あぁ……それがね、頼んでた物が昨日届く予定だったんだけど、今日に変更になっちゃって。夜までお預けね」
「…………俺としましては夢の再現して欲しいんですけど」
「え? パラシュート無しでスカイダイビングがしたい?」
「ポチは大人しくお預けされます」
ただの手の込んだ殺人じゃないか、出来そうだから怖い……なんてこの家への恐怖は隠して、勉強する雪兎を眺めるだけというつまらない日曜日を過ごした。
「びっ……くりしたぁ…………何、その変なカッコ」
「今日のご飯何ですか?」
「……いや、そのポーズ何? 腕クロスしないでなんかうっとうしいから」
俺は上半身をベッドから垂らしたままゴロゴロと転がり、毛布で両足を包んだ。
「マーメイドプリンスポチです」
「器用だね……そんなに人魚になりたいなら後で足縛ってあげるよ」
「ぁ、いいですいいです、俺は無償で足をもらいましたほらほら」
「わぁごつい足」
裸だったので毛布を腰に巻いたまま昼食を食べ、相変わらずの美味に頬を緩ませながら雪兎を視姦する。オーバーサイズの白シャツにタイトな黒の短パン、外に出ていない俺にはそれが流行なのかどうかは分からないが、今の雪兎が街角で取材でも受ければ流行になるのは間違いない。さて、服はここまでにして太腿でも堪能しよう……
「……ユキ様、どうしたんですかこれ」
白い柔肌に蚯蚓脹れができていた。
「えっと……ちょっと痒くてさ」
自分で引っ掻いたのか。
「大丈夫ですか? 舐めますか?」
「大丈夫だよ、舐めなくていいし」
「そうですか……じゃあ内腿舐めていいですか?」
「ダメだよ」
食事に視線を落としたまま断られると自信が萎む。痛そうな太腿は見つめ続けるのも辛いし、かと言って話すことはない。
「……ねぇポチ、昨日何か夢見た?」
他人の夢の話ほどつまらないものはないと思うけれど、魘されでもしていたかな。
「見ましたよ」
「どんなのどんなの?」
魘されていた、寝言を言っていた、だとかではなさそうだ。雪兎は幼子のようにキラキラとした瞳を向けてくる。
「んー……なんかこう、高いところから落ちてて」
「えっ? ぁ、うん、続けて」
「ユキ様も落ちてて……俺が先に落ちてたので着地して」
「着地したんだ……」
「はい、わんぱらり、と」
スープを飲んで一息ついたら話を再開する。雪兎が続きを楽しみそうに俺を見ているのだ、だが、これから先は大した話が待っている訳でもない。夢なんてそんなものだ。
「ユキ様受け止めようとしたんですけど、何を間違ったかユキ様を顔で受け止めてしまって、その、ユキ様の足の間に顔面がハマるという何とも僥倖……っとと、ユキ様にとっては地獄の苦しみじゃね的なことになりまして」
「……そっか」
「ユキ様はしばらくどいてくれなかったので本当最高でしたね、いい匂いしましたぁ……また見たいですね」
「ほ、他は?」
「他? あぁ……ユキ様に乗られてて、んでなんか……蛇かな? に噛まれましたね」
「……どこ?」
「………………胸。何か本当にちょっと痛いんですよね……ユキ様なんか抓ったりしませんでした?」
胸──正確には右の乳首。夢は噛まれただけだったが、現実での微妙な痛みは吸われたに近い。
「何もしてないよ」
「あら残念、ユキ様が寝てる間に吸ってたとかならお可愛らしかったのに」
そうだったとしたら蛇に変換した夢を見せた自分を恨んでいたところだ。
「……で、今日はどのようなプレイを?」
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「え? パラシュート無しでスカイダイビングがしたい?」
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