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にっくきすいま

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白く細い指がページを捲る優しい音、それは静かな部屋に響いていた。
雪兎はベッドの隣に椅子を置き、そこで本を読んでいる。名前を呼んだり刺激をねだったりしてみたが雪兎は耳栓もイヤホンもしていないのに聞こえていないように振る舞っている。

「…………ユキ様ぁ、俺が何したって言うんですか……」

罰を受けるべきことをした覚えはあるけれど、雪兎にはバレていないだろうし、今お仕置きされる理由はないはずだ。

「入れたんなら動かしてくださいよぉ……」

半泣きで求めても視線すら与えられない。自分の性器が常に見える視界が嫌で目を閉じる。縛られる以前からの取り切れなかった疲れを取るために睡魔に素直に従う。肩甲骨の辺りだけがベッドについた体勢で、手首を頭の上に縛られたまま、足を頭の上まで持ち上げて縛られたまま、前転の途中のような苦しい体勢だというのに眠りに落ちた。

「………………っ!? ぅあっ! ゃ、ひっ!?  な、何……ゃ、あっ、ぁんっ!」

眠る前に待ち望んでいたディルドを抜き挿しされる快楽に目を覚ます。それと同時にずちゅ、ずちゅ……と一定の感覚で鳴っていた俺を犯す音が止まる。

「ぁ……はぁ、ユキ様ぁ……やっとしてくれる気になったんですか?」

雪兎は何も言わず、椅子に戻り再び本を読み始めた。

「…………ユキ様? ねぇ……ユキ様、してくれるんでしょ?」

返ってくるのはページを捲る音だけ。
しばらく話しかけ続けたが返事は一度もなく、俺は再び睡魔に襲われた。

「……ぅ、あっ…………ひぅうっ、んっ、ぁあ……ぁ、あ……? ゆき、さまぁ……?」

快楽に目を覚ますと、ちょうどゆっくりと俺から抜けていくディルドが目に入った。先程起こされた時よりもゆっくりと、呼吸のタイミングを失う程に遅く犯されている。

「んぅ……もっと、はやくぅ…………ユキ様? ユキ様、俺まだイけてない……」

三度椅子に戻る雪兎を見て俺は理解する。雪兎は俺が起きたらやめてしまうのだと、寝たらまた始めるのだと。
今度はおねだりは程々に目を閉じ、睡魔に身を任せて眠った。

「…………んっ、ぁ……ぅあっ……? ぁ、ん……」

先程よりもゆっくりとした刺激に意識が覚醒する。だが、目は開けずに眠っているフリをする。寝ていても抜き挿しされれば声は出るだろう、内臓が揺さぶられるような感覚があるし、この体勢ならベッドが少し揺れるだけで肺から勝手に息が漏れて音を鳴らすだろう。むしろ声を抑える方が寝たフリだとバレやすくなる。

「ぁあ……んっ、ゃ…………ふぁっ……あぁ……ん、ぁああっ!? ゃ、ひっ……やぁあんっ!」

鈍重な動きで出ていくディルドを恋しく思って意識的に締め付けていると、突然強く押し込まれた。それに戸惑う暇もなく、またゆっくりと出ていって、強く速く根元まで貫かれる。出ていったところで数秒止まることもあって、全くタイミングが掴めない。新鮮な刺激に襲われる。

「ぁ……終わり……? ユキ様、ユキ様ぁ……酷い、です、ユキ様……後何回かやってくれたらイけたのにぃ……イきたい、イきたいですユキ様、イかせてください……お願い、もうこれ嫌ですぅ……」

泣きながらねだっても雪兎は一瞥もしない。俺は泣き疲れたように寝て、今度は激しく抜き挿しされて目覚めた。絶頂近くで止められて、また眠くなって、寝たら快楽で叩き起されて、起きたら止まって──それの繰り返し。
雪兎に屈服している俺の精神は容易く折れた。
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