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でじゃゔゅ

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叔父に絡まれたり雪風を抱いたり雪兎に全く構われなかった日は終わり、雪兎が登校し二度寝を楽しんでいると、腹の上に何かが乗った。雪兎よりも重いが成人男性としては軽すぎる、この体重には覚えがあった。

「……おはよう、犬なんとかさん」

眼前で微笑む眼帯をした色素の薄い男。

「…………叔父さん、何か用ですか? 降りてください」

「うん、ちょっと見て欲しいものがあってね。来てくれる?」

首の後ろに手を回され、カチャカチャと軽い金属音が響く。面倒臭さと眠たさでぼうっとしていた俺は目の前に掲げられた紐が首輪に繋がっていた物だとすぐには気付かなかった。

「……ちょっ、首輪……」

「来てくれる?」

「降りろ」

この男の言うことには従いたくない。たとえどんなにくだらないことだろうと。雪風に向ける嫌悪とは毛色が違う、本当に人として許せない部類の人間だと思っている、問題にならないのなら殴りたい。

「……来てくれる? って聞いてるんだけどな」

「…………降りろちゃ言いよんやろがドクズ」

「ふふ、怖い怖い……相変わらずだね、君。ちっとも丸くなってない」

「……あぁ? きさんなんて知らんわダボが。ど、け、クズ」

「…………これ見て」

叔父は携帯端末を俺の目の前に持ってきた。

「分かる? 昨日俺が帰った後、君と風がよろしくヤってるところ。カメラ仕掛けてたんだよね、気が付かなかった?」

雪兎に見せるぞとでも脅すつもりか? 確かに、かなり仲良くしているように映っている、見ようによっては恋人だ、これを見られるのは些かまずい。

「名前付きでネットとマスコミに流そうと思ってるんだけど」

叔父の考えは俺の想像を容易く超えた。

「……来てくれるよね?」

「…………どこ行きゃいいんでしょうか、叔父様?」

雪風の社会的地位と俺の状態から考えて、とんでもないスキャンダルになるのは目に見えている。
携帯を奪うという手もあるが、この男なら別の端末にもあるなんてことになりかねない。
叔父は俺の心底嫌そうな顔を青い右眼に映し、満足そうに笑うと俺の上から降りて部屋の扉を開け、その向こうから手招きした。

家の中を歩き回った経験は無い。常に雪兎か使用人が一緒で、行く場所も俺は選べなかった。今も選べてはいないけれど、首輪が無いことで自由だと思える。

「誰も居ないね、失礼しちゃうよ」

扉の向こうや柱の影に人の気配はするものの姿は見えない。叔父を避けているのだろう、それを叔父も分かっているのだろう。
しばらく歩いて豪奢な扉の前で止まる。雪風の部屋らしいが、家具などに特に不審な点はない。

「これこれ」

叔父は机の上に置かれていたノートパソコンを立ち上げ、俺にヘッドフォンを渡し、雪風に呼び出されて行った仕事場でも見た椅子に座らされる。予想以上の座り心地だ。

「……なんですか? 動画?」

「うん、能力の高いクズな家庭教師が気の弱い可愛い男の子を調教する動画」

「…………それ、まさか……雪風の」

「ネタばらしは後で。全部言ったらつまんないだろ?」

再生が始まった動画は手持ちのカメラで撮っているものらしく、揺れがある。
しばらくカメラをぐるぐると回す映像が続き、止まったかと思うと机に向かう白い髪の子供の後ろ姿が目を引いた。
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