俺の名前は今日からポチです

おしろ、ご

自分の精液の温度や感触は不快だ。
俺は上体を起こし、下着とズボンを整えた。雪兎に押し付けて出したとはいえぐちょっとした感触は下着の中にある。

「……ユキ様、パンツ脱ぎます？  そんなべっちゃべちゃの履いてらんないでしょ」

「…………誰のせいだと思ってんのさポチのバカぁっ！」

「俺です。だ、か、ら、脱がせてあげますよ。ほら腰上げて」

「脱ぐだけで終わる？」

「……しゃぶりますけど？」

「…………好きにしなよ」

許可を頂いた。ズボンを完全に脱がせて下に敷き、下着を脱がせて暗闇に放る。手探りで太腿を愛撫すると足がぴくぴくと跳ねた。

「……俺ので汚れてますね。こんな暗くなかったらイイもの見れたのになぁ」

白い肌に白濁液、それが内腿にあれば妄想が捗り過ぎて眠れなくなる。いつもなら太腿も舐めていたが、今回は自分の精液の臭いを嫌って口は直接雪兎の性器に運んだ。

「んっ……」

「…………ユキ様、勃ってます？」

唇を沿わせながら問う。

「あんなにぎゅってされて、腰振られたら……仕方ないじゃん」

「仕方なくフェラさせてやるみたいなこと言ってましたけど、実はされたかったんですね？」

「……だったら何？」

僅かに低くなった声に顔を上げれば赤い光が二つあった。

「…………紫消えてますよ？」

「ご奉仕したいなら早くしなよ、わんちゃん？」

「……分かりましたよ」

軽く咥え、はむはむと唇だけで挟みながら先端を舐める。
 根元まで咥え、強く吸いながら舐め回す。

「はぁっ……ぁ…………ポチ、上手ぅ……」

足が肩に置かれ、手が頭を押さえる。喉に亀頭が擦れて嘔吐く。

「ぁっ……これ、好き……」

細い腰を掴み、弱々しく乗せられるだけの手を顧みることなく頭を動かして口全体で扱く。もちろん吸いながら。

「ポチっ、ポチ、そろそろぉ……出ちゃう、かも」

根元まで咥え込んで激しく吸い上げると粘っこい液体が喉の奥に放出される。精液を零さないようゆっくりと吸いながら口を離し、上体を起こす。

「はぁ…………ポチ？  喉結構こんこんしちゃってたけど、大丈夫？」

「……喉の奥突かれるのハマっちゃいまして……今度乱暴に腰振ってくれません？」

「…………いつもいつと期待以上過ぎてドン引きだよポチ」

期待以上なのにどこに引く要素があるのか甚だ疑問だ。喜ぶべきだろう。
周囲を警戒しつつ雪兎にズボンを履かせていると、雪兎の携帯の着信音が鳴る。

「もしもし？  雪風？  うん……分かった」

数秒の通話を切ると雪兎は俺に向き直り、睨んだ。

「……僕のパンツどこやったのさ！  それと、ズボンも結構べたべたしてるんだけど！」

「なんかそのへん投げました」

「もぅ……本当にノーパンじゃん……」

「俺の履きます？」

「サイズが違う！」

声量が上がってきた雪兎の口に人差し指を立てて触れさせると雪兎は不満そうに黙った。

「……さっきの電話なんだったんですか？」

「五分後から二分以内にに古城の門に来いって」

「五分後……すぐ行かなきゃやばいじゃないですか！」

ここに来るまでどれくらいかかったかは覚えていないが、急いだ方がいいのは確かだ。俺は来た時と同じように雪兎を横抱きにして庭園を走り抜けた。