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うぇっとすーつ、ご

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日陰を与える二階のベランダを眺めるのにも飽きて視線を落とすと白い頭頂部が目に入る。根元から毛先まで真っ白な髪はどこを切り取っても美しい。
少し呼吸が落ち着いてきた様子の背を撫でると、頭が動いて赤紫の目と目が合った。

「……ポチ」

俺の頭の後ろに無理矢理腕を通すと、俺の身体の上を少し滑って顔を近付けた。背と頭を支えるように腕を回すと唇が重なった。

「ん……はぁっ、ユキ様、もうちょっと大人しく……んぅっ!  んんっ……ん……」

重力のせいもあって流し込まれる唾液を必死に飲んで、舌を絡め合う。そのうちに俺の愚息は元気を取り戻し、そのことに気が付いた雪兎は口を離して不敵な笑みを浮かべた。

「ポチは本っ当に絶倫だなぁ……飼い主は楽じゃないよ」

「………………イかせてください、ご主人様」

「賢いいい子で嬉しいよ。何して欲しいの?」

昨晩鞭を打たれたばかりだし、今のキスのように甘ったるいくらいのプレイがいい。
恋人同士のように、新婚旅行のように、胸焼けするくらいの甘さが欲しい。

「優しいのがいいです。恋人同士みたいに……」

「ふぅん?  難しいなぁ」

とりあえず足を広げるように言われ、広げた足の中に膝立ちになった雪兎が入る。雪兎の膝が股間に沈み、耳の後ろ辺りを押さえられ頭を持ち上げられるようなキスを交わす。

「……こういうの?」

唾液を繋げたまま、膝はぐりぐりと動かしたまま、首を傾げる。

「ぁ、あっ、ユキ様っ……ゃあっ……」

「違う?」

「ぁんっ!  ちが……ぅ、ぐりぐり、しないで……」

「えー?  じゃあどうして欲しいの?」

ウェットスーツを着ている今では手で扱いてだとか挿入してだとかの選択肢は自動的に潰える。踏むか擦り付けるかしか思い付かない、しかし、どちらも恋人らしくはない。

「ん……?  ぁ、電話だ。ちょっと待ってて」

俺には聞こえなかったが、どうやらリビングの机に置きっぱなしにしていた携帯に連絡があったらしい。雪兎が居なくなり刺激が減ると皮膚の痛みを思い出し、寝転がっているのが辛くなる。背中も尻も太腿も触れないようにするには立ち上がるしかない。

「よっ……と。痛ぇ……ユキ様ー?」

中途半端に開いた窓、そこから吹き込む風によって膨らんだ半透明の白いカーテン。その向こうの雪兎。
その光景は寒気がするほどに美しく、儚い。

「ユキ様っ!」

窓とカーテンを乱暴に全開にして、電話中の雪兎を抱き締める。確かな温かさは俺に安心感を与えた。

「もぅ……何?  ポチ、今僕電話中……あぁごめんごめん、ポチがさ、堪え性なくって」

雪兎を抱き締めながら、その身の細さを改めて実感しながら、恐怖をゆっくりと消化する。
大丈夫、雪兎は急に消えたりしない。目が覚めたら全て失っていたなんて、もう二度と起こらない。そう自分自身に言い聞かせる。

「それで、えっと……何だっけ?  うん、お城の観光は明日に予約したよ。別にいいって、心配性だなぁ」

旅行……そう、両親は旅行好きだった。出不精だったら事故には合わなかったかもしれない。

「……ねぇ、ポチ、ちょっと苦しい」

呼吸を整えられないまま、俺に唯一安心を与えてくれる雪兎から手を離す。雪兎は俺から少し離れ、俺に背を向けて電話相手に集中した。
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