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かざりつけ

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雪兎の頬を撫で、顔を上げさせる。じっと俺を見つめてくる赤紫の瞳に気後れしつつ、生クリームを頬に絞った。

「……ほっぺた好き?」

「ん……はい、好きです……柔らかくて、すべすべしてて、可愛いですよ」

赤子のそれに触れたことはないが、かなり近いのではないだろうか。
顎と後頭部に手を添え、少し傾けて頬に舌を這わせる。吸い付いてくる白い肌の舌触りはクリームよりも滑らかだ。クリームを舐め取ったらキスをするように唇だけを触れさせ、軽く口を開いて頬を吸った。

「うぅ……なんか、食べられてる感じ」

「んー……美味しい。食べられてるんですよ、ユキ様は。飼い犬に……」

首に腕を回して後頭部を支え、頭を傾けさせて髪をよけ、耳に触れる。耳の縁にクリームを垂らし、ぴくぴくと反応する手足を楽しむ。

「……ねぇ、ポチ?  耳は……やめない?」

胸を締め付けられる上目遣いを無視し、形のいい小さな耳にしゃぶりついた。

「ひぁっ……ぅぅぅ……やだ、耳だめ……」

クリームは口内ですぐになくなって、それでも甘い香りを残している。耳の形を確かめるように舌を動かし、わざとぐちゅぐちゅと音を立てた。

「……んっ、ぁ……ねぇ、もういいでしょ……やっ……ポチ、やめてってばぁ……」

服の胸元を掴む手は震えながら俺を引き寄せている。
俺は息を吹きかけながら口を離し、蕩けた赤紫の瞳を見つめながら耳たぶをクリームで飾った。

「イヤリングみたいで可愛いですよ、ユキ様」

「……ポチのばかぁ」

弱々しい手がきゅっと俺の服を掴んでいる。押し返そうとしないのは気が回らないだけではなく、本心では耳への愛撫を望んでいると思いたい。
俺の唾液で濡れた耳は吐息をかけるだけでかなり感じてしまうらしく、顔を近付けているだけで雪兎は震えている。

「ユキ様……耳だけでイってみます?」

声を低くし、ねっとりと囁く。雪兎の身体が一際大きく跳ねた。

「…………やだ」

「分かりました、じゃあ寸止めしますね」

先程と同じように耳を全て口の中に入れる。舌先で優しく縁をなぞったり、頭から剥がすように吸い上げたり、ひたすら耳の奥を目指したり、どんなやり方でも雪兎は感じていた。

「ポチっ、ポチ……だめ、もうだめ……」

「イきそうですか?  ユキ様、耳しゃぶられてイっちゃうんですか?」

「……そんな言い方しないでよ意地悪っ!」

確かに、調子に乗っていた俺も悪いだろう。だが、求めていたくせに腹を思いっきり蹴ってくるとはどういう了見だ。

「…………ご、ごめんポチ、つい……」

「……つい、で足が出るんですか?  いけないご主人様ですねぇ」

雪兎の思いっきりなんて俺の鍛えられた腹筋の前では無力、可愛らしい抵抗でしかない。
愛おしさしか感じていないが、俺は怒った振りをして雪兎が着ているシャツのボタンを引きちぎった。

「……へ?  ポチ……?」

「…………蹴る力もなくなるくらい、気持ちよくさせてあげますよ、ユキ様」

「……怒ってないよね?  ねぇ……ポチ、怖いことしないよね?」

少しやり過ぎたか?  いや、雪兎には一度お灸を据えなければ──でも泣かすのは──いや本当の忠誠とは従順なだけではない……どうしようか。

「………………怖くも痛くもありません、気持ちいいだけですよ」

そう言って笑顔を作る、上手く出来たかどうかは分からないけれど、とりあえず雪兎の瞳の震えは止まった。
上手くいったかと胸を撫で下ろし、絞り袋を持ち直した。
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