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はんせい

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雪兎は無表情のまま、何も話さず、俺に首輪を取り付けた。今回は座ったままらしい。
壁に並んだリングに直接手首足首を嵌め、俺は両腕を頭の上に、膝を曲げて開脚するという何とも情けない格好で固定された。

「……あ、あの、お仕置き……ですか?」

「…………嘘吐きは嫌い。僕もよく嘘吐くけど……ポチには、嘘吐いて欲しくない」

勝手な、と叫びたいところだが、俺はペットなのだから仕方ない。主人を騙すなどあってはならない事だ。

「ごめんなさい……その、言ったら怒ると思って」

「バレないと思ったの?  そんなに痕つけてるのに」

「これは……その、わざとです。ユキ様が嫉妬してくれるかなって、雪風に頼んだんです」

「……嫉妬させたいなら、何で嘘吐いたの?  言えばよかったじゃん。雪風を抱いてきましためちゃくちゃ気持ちよかったですって、ほら、言いなよ」

帰るまでは言うつもりもあった。正直に報告するつもりだった。けれど、雪兎の顔を見てその心が萎んだ。
何も言えず黙っていると雪兎は深いため息を吐き、着替え始めた。

「学校から帰る途中で動画が送られてきてさ、部屋に帰らずに玄関で待ってたから……一回制服でしてみたいけど、制服は明日も着るから汚せないんだよね。コスプレ用の買うほどじゃないし」

見慣れた部屋着だ。だが、今はそのいつも通りの姿がたまらなく愛おしい、抱き締めたくなる。

「…………ごめん、まだ、ちょっと落ち着けなくて。お仕置きはまた今度ね」

「え……?」

お仕置きもしてくれないなんて、これは相当まずい事態なのではないか。好意や嫌悪の問題ではなく、興味の問題ではないか。

「とりあえず、これ咥えて」

口枷まで付けられ、ねだることすら許されなくなる。その上口枷の後ろはリングに固定され、首の動きまで制限された。

「明日になったらちゃんとお仕置きしてあげるから、今日はこれで……ね?」

「んっ……?  ふぅっ……んん、んーっ!」

貞操帯に仕込まれたオモチャが一斉に振動を始める。それも、おそらくは最強の設定だ。
お仕置きもしてくれないなんて──というのは杞憂に終わった、この体勢で固定され、絶頂出来ないまま強い快楽を与えられ、それが明日まで続くなんて、今までのお仕置きの中でも厳しい方だろう。

「……ごめんねポチ。僕は、君を閉じ込めたい……君の目に僕だけを映したいんだよ。でも、ポチは外に出たいって言うし、雪風も映しちゃった」

雪兎はようやく表情を変える。悲しそうな、残念そうなものだった。

「雪風のワガママは僕には止められないから、僕は君へのお仕置きを酷くするよ。そうすれば、また呼び出された時も大したことせずに帰って来るでしょ?  反応が薄かったり強過ぎる拒絶をされたら、流石に雪風も気が乗らないはずだよ。だから今度からは、ポチを気持ちよくさせて振り向かせるんじゃなく、これやったら酷いよって教育する。躾ってこういう事だよね!」

話しながら雪兎は少しずつ笑顔になり、最後には満面の笑みを見せた。
俺は雪兎の笑顔が見られたことに安堵する暇もなく、快楽の波に襲われる。 
明日までの辛抱だと自分に言い聞かせながら、足先を震わせた。
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