俺の名前は今日からポチです

ムーン

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ゆうはん、きゅう

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広間に入ると雪風は先程までの言動が嘘のようにシャンと背筋を伸ばし、俺の前を歩いて席に戻った。

「あ、雪風おかえり……兄さんも」

俺は雪兎を久しぶりに見た気がして、懐かしくて泣きそうになって雪兎に抱き着いた。雪兎も俺の背に手を回して、俺だけに聞こえるように囁いた。

「……雪風と何かあったの?」

「あー……はい、その、立場上どうしようもなくて」

「…………あ、そう。じゃあ後で忘れさせてあげる」

「そ、それは……その、そういう意味ですよね!  やば……勃ってきたかも」

「耳元で大声出さないで」

ぐい、と胸を押されて席に座らされる。俺は英気を養う為、具を見ずに鍋をかっこんだ。
色々と吹っ切れて、後の楽しみも出来て、俺は食欲が増していた。
喉に詰まりかけた謎の具を流す為に水を飲んでいると、雪風が首に腕を回してくる。

「ユキー、見ろ、新しいお母さん」

「…………ポチ、その鍋雪風の顔めがけてひっくり返していいよ」

出来ることなら俺もそうしたい。出来ないので、腕を払って彼を優しく席に戻した。

「俺の求婚を突っ撥ねるとか。お前、さては人間じゃないな……?」

「酔っ払ってますねー。あ、俺人間じゃないですよ、犬です犬。雪兎様専用の」

「俺も使いたーい……」

「これ以上飲んだら死ぬレベルで飲みましたね?  もう寝た方がいいですよ。ほら、おやすみなさい」

適当に寝かしつけると、雪風は机に突っ伏して寝息を立て始めた。俺は実の父に軽蔑の目を向ける雪兎を抱き締める。

「邪魔者は消えましたよ!  さ……忘れさせてください」

「後でね」

「…………分かってますよ」

こんな大勢の人が居る中で始めるような特殊性癖は持っていない。先程のローターだって俺は嫌だった。


宴は夜通し続くらしいが、俺と雪兎は未成年で日が変わる前には寝なければいけない。
そんな良識ある軽度の酔っ払いによって俺達は部屋に返された。

「……じゃ、ポチ。お布団行こっか」

「喜んで!」

「…………ムードってものが無いなぁ」

そんな雪兎の不満なんて聞きもせず、俺は襖を開け放って布団に飛び込んだ。後から入ってきた雪兎が襖を閉めて、灯りを弱める。

「ふふ、座って?」

上体を起こし、立ったままの雪兎を見上げる。その表情は逆光のせいで良く見えないが、俺を弄ぶ時の悪戯っ子のような微笑みだろうと声色で予想出来た。

「帯解いて、でも脱がないでね」

言われるがままに帯を解くと、雪兎の爪先が伸ばした足の上に乗った。ゆっくりと撫で上げて、太腿で離される。

「……踏んで欲しいところ、教えて?」

膝を立てて足を開き、腕を膝の裏に回す。
開脚による羞恥より快楽への好奇心の方が勝ってしまった。
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