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おじかんです

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戸を叩く音は雪風よりも大人しく、上品なものだ。雪兎はタイミングの悪い来客に苛立ちながらも可愛らしい返事をして、浴衣を整えて寝室を出て行った。

「うっそだろ……ここで中断とか。どんだけ焦らせば気が済むんだよ……っ!」

襖はぴったりと閉じられて、雪兎の声は聞こえない。様子を伺いに行って「手を離した」と言われてはたまったものじゃない。
俺は大人しく待つことにした。

「ただいま、ポチ」

寝室の灯りが最大にまで引き上げられ、俺の目を眩ませる。

「手離していいよ。一旦起きて、服整えて」

「……何かあったんです?」

「…………今何時だと思う?」

布団の上で足を伸ばして座り、時計を睨み上げる。

「夕飯の時間。広間でね。蟹づくしだってさ、わぁ豪華」

雪兎の声はいつもより低く、いつもより早口で、明らかな苛立ちが窺える。雪兎にとっても誤算だったのだろう。夕飯の時間くらい調べておけと言いたいけれど、やめておいた。

「この状態で広間行くんですか?」

「椅子に座るから。膝掛けとか持ってって誤魔化して。あ……良いこと思いついた!」

雪兎は部屋の隅に置いていた鞄を引き摺り、布団の横に移動させ、中身を漁る。
小さな皮のベルトを取り出し、得意げな笑みを浮かべる。

「……あの、ユキ様?  それはちょっと、どうかと思います」

「いいからいいから。足開いて、裾上げて」

俺は深くため息を吐き、雪兎の言う通りに足を開いた。とろとろと先走りを零した俺の陰茎の根元にベルトが巻かれる。

「ねぇー……ほんと、ダメでしょそれは」

「これだけじゃないよ!」

「……何です?」

雪兎はもう一本のベルトを取り出し、亀頭のすぐ下に巻き付ける。ローターを挟んで。

「いやいやいやいや、ダメでしょこれ。親戚集まってるんですよね?」

「ポチは名前も知らない人達でしょ?  ハロウィンパーティの時も似たようなことやったじゃん」

「あの時俺は柱の影に隠れてましたし、黒服さん達とだべってただけでしたし、着ぐるみみたいなの着てたからまだいいんですよ。今浴衣で……ちょっ、やめ……んっ……ぁ、だめ、ですってこれ……」

雪兎は懐からリモコンを取り出し、スイッチを入れる。弱い振動にも俺は敏感に反応し、甘い吐息を漏らした。

「ポチのダメはもっとやって、ちゃんと覚えたよ僕は」

「これ、はっ……ぁ、ちがう…………ゃ、ぁあっ、だめ、だめ、つよくしないで……」

「……なんかしおらしい?  でも、新鮮でいいよ」

振動はどんどんと強くなる。俺は雪兎にしがみついて懇願した。

「ひっ……うぅぅ…………ねぇ、だめ、とめてっ……ゃ、ああぁああっ!」

「はい、さいだーい」

「ぅああっ!  やだっ、むりだって!  あし、ちからはいんなっ、ぁんっ!」

「気持ちいい?  大丈夫だよ、流石に向こうで最大にまではしないから」

振動が止まる。雪兎は俺の手を払って、上着を取りに部屋を出て行った。
俺は一人今にも破裂しそうになった性器に手を添え、肩で息をしていた。
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