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ぷれぜんと、いち

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クリスマス当日、俺は見事なまでに浮かれていた。犬耳も尻尾も首輪も外され、広間に飾られたツリーを見ながらターキーを貪る。こんな豪華なクリスマスは生まれて初めてだった。

「おかわりー!  おかわりください!  とりー!」

「……ポチの知能が下がってる。ねぇ、この鳥ちょっとダメなやつじゃない?」

雪兎は給仕に俺への嫌味を込めて尋ねる。

「七面鳥にそんな効果はありませんよ」

「だろうね。そういえば父さんは?」

「お仕事ですね」

「ふーん……まぁ、知ってたけどさ」

夕食を終え、一階の大浴場で汚れを落とす。泳ぎたくなる衝動を抑えつつ、雪兎に擦り寄る。

「なに仏頂面してんですかユキ様ぁー。クリスマスですよクリスマス!」

「もう何時間かで終わるけどね……」

「子供にとっちゃクリスマス後の朝が本番ですよ。不法侵入白髭赤服親父からのプレゼントがありますから」

「その呼び方初めて聞いたよ……」

雪兎の表情の理由は分かっていた。父親だ。けれど俺は何も分からないフリをして、精一杯話しかけて笑わせようとした。
部屋に帰っても雪兎の仏頂面と俺の努力は続く。

「ねぇ……ポチなんでパジャマ着ないの?  なんでバスローブ着てるの?」

「夜中に目が覚めるじゃないですか、ユキ様見るじゃないですか、勃ってるじゃないですか、処理するじゃないですか、バスローブの方が良いと思いません?」

「だからたまに「しっかり洗ってもらって」って言ってくるの!?  もう……やめてよ!  ちゃんとティッシュとか使って!」

「使ってますし気をつけてもいます。でもたまに汚しちゃうんですよね、すいません」

程よく機嫌も戻ってきた。笑顔はまだ無いが、声はしっかり出すようになった。

「あぁそうそう、プレゼントってなんなんです?  もうクリスマス終わりますよ」

「……明日の朝が本番なんでしょ?」

「俺そこまで子供じゃないし、ユキ様はユキ様で例のあの人じゃありませんから」

雪兎はしばらく考えた後、少し顔を赤くした。肌が白いから微かな変化もよく分かる。

「…………灯り消していい?」

「豆電お願いします」

「いいよ、そっちの方がムードも出るし……」

いつもと同じく、オレンジ色の灯りに変わる。薄暗い中でも白い雪兎の姿はよく見える。ベッドに戻ってきた雪兎は俺を真ん中に仰向けにして、腹の上に乗った。

「……ユキ様?  何かするんですか?」

雪兎の顔は逆光でよく見えない。
ぼうっと見つめていると、手が顔の横で押さえられる。微かな不安が宿り、小さく名前を呼ぶが雪兎は応えない。黙ったまま顔を近づけ、貪るようなキスをした。

「ゆき……さま?」

いつもより数段激しくて、息が出来なくて、ようやく口が離れた後も涙で視界が歪んでいた。
雪兎の唇が耳に移動する。耳たぶが噛まれて、耳の奥に熱い息が吹き込まれる。

「……足広げて」

言われた通りに股を開いて、膝を曲げる。
雪兎は俺の腹の上からどいて、片膝を俺の太腿に乗せる。もう片方の足は俺の足の間に。

「ねぇポチ、僕……結構溜まってるんだ。全部出すまで、しっかり起きて付き合ってね?」

俺に許された返事は肯定だけだった。
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