俺の名前は今日からポチです

ムーン

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このみのたいぷ

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前にされたお仕置きと同じ内容なら、今の俺にはご褒美になる。まぁ、立っていなければ首が締まる──なんてのは流石に嫌だけれど、死なない程度なら気持ち良いかもしれない。

「で、どうするんです?」

「……何その反応、お仕置きだよ?  分かってる?」

「いやぁ……俺にもし尻尾があったらちぎれそうなくらい振ってるでしょうね。お仕置き、楽しみです」

「なら尻尾生やしてあげようか」

それは、例のオモチャを突っ込むぞという意味と取っていいのだろうか。

「まぁ、まずは身動き取れないようにしないとね」

「まずのレベルが高ぁーい、ラスボス倒せますよ」

「うるさいよゲーム脳!  いいから手を後ろにして待ってて!」

拘束具を取りにだろう、雪兎は裸足のまま部屋を出ていった。
俺は別にゲーム脳でもないのだが……まぁ、ゲーム脳の意味すらよく分かっていない雪兎に反論しても無駄だろう。
俺は言われた通り、手を後ろで組んで雪兎が帰ってくるのを待った。

「ただいま、いい子にしてた?」

大きな鞄を持って、私服に着替えた雪兎が帰ってくる。

「……セーラー服どうしたんですか」

「もう要らないし、ちょっと汚れたから捨てさせたよ?」

「そんな……っ!  あれを着て手錠かけてくれれば、ヤンデレ美少女に監禁される的なものが味わえたのに!」

「意味分かんないこと言わないで!  監禁はされてるだろ!」

監禁しているという自覚があったのか、俺には監禁されているという自覚がなかったぞ。

「何とかデレなら俺はツンデレが好きです」

「知らないよ!」

ツンデレと一言に言ってもその種類は多様化している。
厳しい物言いで優しいことを言う天邪鬼タイプ、冷たくしたり優しくしたりな気まぐれタイプ、人前では辛く当たり二人きりになると甘えてくる裏表タイプ、まぁ有名所はこの辺りだろうか。
まぁ雪兎とは大体二人きりだし、三番目はやってもらっても意味がない。

「どっちにしよう……」

「何が?」

「ユキ様ツンデレ出来ます?」

「だから何それ」

「ツンツンしたりデレデレしたりするんですよ」

「…………やってない?」

まさか雪兎は天然もののツンデレを自称するのか?
いや、だが、確かに雪兎は変なところ子供っぽく甘えん坊で、ギャップ萌えは確かに存在する。

「え?  あー、あぁ……あー…………うーん、いやそういうんじゃなくて、プレイがしたいんですよ」

「変態……」

「ああ、そんな感じです。出来ればもうちょい声を荒らげるかもっと照れた顔してくれれば……」

気持ち悪そうな顔で見下す……のは少し違う。その趣味はまだ未開拓だ。まだ傷付く。
なので今のところは「照れて誤魔化しているんだなぁ」と思えるくらいの「変態」が理想だ。

「本気だよ今のは……まぁ、その話はまた今度ね。今はお仕置き」

「えっ……ほ、本気…………ぁ、そうですか。すいません……」

傷付いた。こっちのセリフだと言い返す気にもならないくらいに傷付いた。
人間をペットにして色々と開発している雪兎の方が変態なのに、俺に趣味が増えるのは雪兎のせいなのに。
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