855 / 909
第四十四章 海面より浮上する理想郷
血腥い邸宅
しおりを挟む
血の匂いに吐きそうになり、嗅覚を捨てる。視覚と聴覚さえ働いていればアルは見つけられる。
『待て、吾も行く、吾が行く、魔物使い待て!』
レヴィがぺたぺたぱちゃぱちゃと裸足で血溜まりをの上を歩き、僕の後を追ってくる。自分の感覚が騙された衝撃で放心している兄もゆっくりとだが着いてきている。
『アルー! アールー! 出てきて、アルー!』
声を張り上げても静寂に吸い込まれていくだけ──いや、僕の呼び掛けに応えるように換気口から黒っぽい霧が吹き出し、僕の前で人の姿を取った。
「魔物使い! 魔物使いっ……」
『ヴェーンさん? わっ、ちょ、ちょっと……』
ところどころ破れたスーツを着たヴェーンに抱き着かれ、腹が減ったのかと首をかたむけてみるも噛み付く様子はない。ずるずると足の力を抜いて座り込み、僕の胴に腕を巻き付けて腹に顔を押し付けてくる。
『ヴェーンさん、何があったの? アルは? アルとクラールは無事?』
「わ、分からないっ……怖かった、怖かったんだ……魔物使い、目を、目を見せてくれ、目をっ……!」
顔を上げたヴェーンは僕の顔を掴んで目を見つめ、荒い呼吸を落ち着かせていった。
「……俺は地下に居たからよく知らないんだ。作業中、扉叩かれて……開けたらセネカの奴がいて、なんだって聞いても答えなくて……いきなり、腹蹴られて……内臓破れたやべぇってなって、作ってたタブレット食って……なんとか逃げて、ダクトに隠れてたんだ」
『セネカさんが? どうして……』
『分かんねぇよっ! 分かんねぇ……なんも、分かんねぇ……』
彼がここまで取り乱し、涙まで零すなんて相当なことだ。まぁ、事態の深刻さはこの血溜まりを見れば──血溜まり? 血溜まりなんてどこにある。
『……血が消えた』
ヴェーンを注視していた一瞬で廊下から赤が消えた。未だに呼吸が落ち着かないヴェーンを兄に任せ、血が消えた原因を探ろうと顔を上げると、レヴィが素早く僕の前に割り込み、突進してきた化け物を防いだ。
『……良し! 実に良し! やはり地上は、こうでなければ!』
くるくると巻いた薄桃色の毛に覆われ、一対の翼と二対の翼を生やし、羊のような角と猪のような顔を持つ獣。レヴィは素足でその獣を蹴り飛ばし、ケラケラと笑った。
『あれ、まさかセネカさん……? レヴィ待って、アレはセネカさんで……』
レヴィは僕の話を聞かずに追撃に走る。セネカだと思われる獣は三メートルはあろうかという巨体を人の頭程度の大きさの蝙蝠に変え、レヴィの手刀を避けた。僕に突進してくる。
『…… 止 ま れ !』
空中でピタリと静止し、ぽとりと床に落ちる。
『セネカさん、セネカさんですよね、セネカさん、大丈夫ですか?』
すぐに抱き上げて揺らしても鳴き声すら上げない。
『……なんだ、魔物使い、殺さないのか、食わせろ、腹が減った、食わせろ、蝙蝠でもいい、食わせろ』
蛇のように静かに隣に戻ったレヴィを無視し、セネカに声をかけ続けたが意味はない。心配だが、最優先はアルとクラールだ。セネカは兄に渡し、状態を見てもらうことにした。
『…………ん! 若い女の匂いだ! 美味そうな匂い……処女だ!』
レヴィは……レヴィの中のオロチは若い女の肉体を使っていると理解しているのだろうか。太腿がほとんど見えてしまうくらいにドレスを破ってしまったのだから理解していないか。
『魔物使い、こいつは? こいつは喰っていいだろ? なぁ?』
階段の影に倒れていた赤髪の少女を引きずり、ボールを取ってきた犬のように上機嫌に僕を見つめる。
『……メル。メルっ! メル、どうしたの、メル! にいさま早く治して!』
赤いドレスの真ん中、胸から腹にかけて広く深く抉れている。魔法によって傷が治っていく途中で目を覚まし、赤い瞳に僕を映した。
『メル……どうしたの?』
虚ろな瞳は僕を見てはいるが、僕だと認識していなさそうな雰囲気がある。そっと髪を整えてやるとメルは僕の頬を撫で、ゆっくりと首に手を下ろし、頸動脈を爪で裂いた。
『……っ、眠 れ !』
咄嗟にそう叫ぶとメルは床に横たわり、ピクリとも動かなくなった。僕を心配する兄にメルを押し付け、アルの捜索を再開する。
『…………おとーと、解析してみたんだけどさ……暗示か何かだと思う。目に映ったもの全て殺すようにって』
『ヴェーンさんは平気だったんですよね?』
「ぁ、あぁ……別に何も殺したくなったりしてないぜ」
リビングが血の海になっていたことや、その血に浮かんでいた羽根や毛皮からアル達もその暗示にかかったのは間違いない。アルやメル達に効いてヴェーンに効かなかったのは何故だ?
『にいさま、それ以上は分からない?』
『……過去数時間の記憶が徹底的に破壊されていてね、復旧は難しいよ』
『そっか……じゃあもう解析はいいからアル探して、探知は使えるよね?』
『うん、流石にそこまでは妨害されてないし、探知魔法は使ってみたよ。けど、アルちゃんもクラールちゃんもこの家には居ないね』
兄の手のひらに浮かんだ魔法陣がバツ印に変わる。意識して呼吸を整え、目眩を堪えて一歩進むと、たった今通り過ぎた部屋の中からカシャンと小さな音が聞こえた。
『……全員保護したらアルを探そう。にいさま、探知の範囲広げてアルの居場所を特定しておいて』
ここは確か酒呑の部屋だった、しかし酒呑は会議に出席している。居るとしたら──あぁ、やはり茨木だ。
『…………おかえりなさい、頭領はん』
にぃ、と微笑む彼女の手には煙管があり、寝間着らしい白い浴衣は赤く染まり、長い黒髪を顔を隠すように垂らしたその姿はいつか妖鬼の国で見た幽霊画のようで、妖艶な美さえ感じた。
ベッドに腰掛けていた茨木は背後に転がっていた毛布の塊を僕に投げて寄越した。黒髪がはみ出ているのを見つけて慌てて毛布を剥がすとアザゼルが気絶していた。
『……息はある。にいさま、お願い』
『ん、ちょっと首絞められただけみたいだよ、大丈夫』
治癒魔法をかけて改めて眠らせると後ろ髪を伸ばした触手に抱えさせる。
『にゃんこらはここ居るよ』
茨木が指したベッドの裏を覗けば、眉間に太い針が刺さったカルコスとクリューソスが転がっていた。
『……脳機能を停止させるよう打ち込んでん、難しかってんで?』
コアである賢者の石さえ破壊されていなければ問題はない。兄は獣達の頭の針を抜き、眠らせ、触手に抱えさせた。
『茨木……君は平気なの?』
『…………平気に見えはる?』
『……弟はんは悪魔はんの世話しに行っとったから無事やよ、なんや緊急事態や察して隠れてはるわ。まずおかしなったんが獣はんらで……うちの部屋来たんよ』
暗示をかけられてはいないようだ、急変した者達に襲われて迎え撃ち、行動不能に陥らせただけだと。
『…………キレーな歌声聞こえてなぁ、うち慌てて耳塞いだんよ。したら三体とも来やって……にゃんこらはなんとか止められたんやけど、頭領はんの奥さん強いわぁ……兄さんの術のせいで攻撃弾かれてまうしどうしようもあれへん。でも、爪甘いなぁ、仕留めた思てどっか行きはったわ』
そう言いながら茨木は腹に空いた穴を見せる。この傷跡には見覚えがある、アルが尾を突き刺したのだろう。
『……っ、なんで早く怪我してるって言わないんだよ! にいさま、お願い!』
『ふふ……びっくりした?』
『するよ! もぅっ…………でも、ありがとう。おかげで何があったか分かったよ』
歌声と来れば容疑者は一人しか居ない。ヴェーンに影響がなかったのは声が届かなかったからだ、彼は作業のために一室だけ異様に壁を分厚く作っていた。
『クトゥルフ……そうか、封印できたのは身体の方だけだったんだ。っていうか、星辰が戻されるのを見越して取り憑いておいたのかも』
今思えば不審点は多くあった、注意深くツヅラを観察していれば避けられたかもしれない。しかしそんな後悔は今するべきではない。
『にいさま、みんなを連れて一旦魔界に戻って。暗示なら兄さんが解けるだろうから』
保護した仲間達を連れて兄が消え、僕はレヴィと二人きりになった。
『……レヴィ、これ着てくれない?』
仕事着だろう酒呑のスーツを渡す。
『何故だ? 何も履かない方が動きやすい。拒否する。それと、吾は八岐大蛇、もしくは、伊吹大明神、そう呼べ』
『…………君の体は今レヴィだろ、女の子なんだよ、頼むから素足でウロウロしないで……』
『……分からない。若い女の生脚なら、喜ぶべきだ、男子なら』
『僕お嫁さん居るの……! 頼むから履いてよ! 履いてくれたらオロチって呼ぶから!』
レヴィは渋々スーツに着替えた。目の前で着替えられるのも困るのだが──まぁ、仕方ないか。
『着た? あぁ、ベルトはこうやって留めるんだよ…………はい、できた。ごめんねワガママ言って、ありがとうオロチ』
『構わん。案外と動きやすい、人の皮膚は弱い、布で覆った方が効率的だ』
仮想の敵に向けてか何度か蹴りを放ち、笑顔で言った。ずっと昔の前世ではレヴィは恋人で、過去を巡った時は協力関係にあった。魂が別とはいえそんな彼女の笑顔が見られるのは何だか嬉しい。
『待て、吾も行く、吾が行く、魔物使い待て!』
レヴィがぺたぺたぱちゃぱちゃと裸足で血溜まりをの上を歩き、僕の後を追ってくる。自分の感覚が騙された衝撃で放心している兄もゆっくりとだが着いてきている。
『アルー! アールー! 出てきて、アルー!』
声を張り上げても静寂に吸い込まれていくだけ──いや、僕の呼び掛けに応えるように換気口から黒っぽい霧が吹き出し、僕の前で人の姿を取った。
「魔物使い! 魔物使いっ……」
『ヴェーンさん? わっ、ちょ、ちょっと……』
ところどころ破れたスーツを着たヴェーンに抱き着かれ、腹が減ったのかと首をかたむけてみるも噛み付く様子はない。ずるずると足の力を抜いて座り込み、僕の胴に腕を巻き付けて腹に顔を押し付けてくる。
『ヴェーンさん、何があったの? アルは? アルとクラールは無事?』
「わ、分からないっ……怖かった、怖かったんだ……魔物使い、目を、目を見せてくれ、目をっ……!」
顔を上げたヴェーンは僕の顔を掴んで目を見つめ、荒い呼吸を落ち着かせていった。
「……俺は地下に居たからよく知らないんだ。作業中、扉叩かれて……開けたらセネカの奴がいて、なんだって聞いても答えなくて……いきなり、腹蹴られて……内臓破れたやべぇってなって、作ってたタブレット食って……なんとか逃げて、ダクトに隠れてたんだ」
『セネカさんが? どうして……』
『分かんねぇよっ! 分かんねぇ……なんも、分かんねぇ……』
彼がここまで取り乱し、涙まで零すなんて相当なことだ。まぁ、事態の深刻さはこの血溜まりを見れば──血溜まり? 血溜まりなんてどこにある。
『……血が消えた』
ヴェーンを注視していた一瞬で廊下から赤が消えた。未だに呼吸が落ち着かないヴェーンを兄に任せ、血が消えた原因を探ろうと顔を上げると、レヴィが素早く僕の前に割り込み、突進してきた化け物を防いだ。
『……良し! 実に良し! やはり地上は、こうでなければ!』
くるくると巻いた薄桃色の毛に覆われ、一対の翼と二対の翼を生やし、羊のような角と猪のような顔を持つ獣。レヴィは素足でその獣を蹴り飛ばし、ケラケラと笑った。
『あれ、まさかセネカさん……? レヴィ待って、アレはセネカさんで……』
レヴィは僕の話を聞かずに追撃に走る。セネカだと思われる獣は三メートルはあろうかという巨体を人の頭程度の大きさの蝙蝠に変え、レヴィの手刀を避けた。僕に突進してくる。
『…… 止 ま れ !』
空中でピタリと静止し、ぽとりと床に落ちる。
『セネカさん、セネカさんですよね、セネカさん、大丈夫ですか?』
すぐに抱き上げて揺らしても鳴き声すら上げない。
『……なんだ、魔物使い、殺さないのか、食わせろ、腹が減った、食わせろ、蝙蝠でもいい、食わせろ』
蛇のように静かに隣に戻ったレヴィを無視し、セネカに声をかけ続けたが意味はない。心配だが、最優先はアルとクラールだ。セネカは兄に渡し、状態を見てもらうことにした。
『…………ん! 若い女の匂いだ! 美味そうな匂い……処女だ!』
レヴィは……レヴィの中のオロチは若い女の肉体を使っていると理解しているのだろうか。太腿がほとんど見えてしまうくらいにドレスを破ってしまったのだから理解していないか。
『魔物使い、こいつは? こいつは喰っていいだろ? なぁ?』
階段の影に倒れていた赤髪の少女を引きずり、ボールを取ってきた犬のように上機嫌に僕を見つめる。
『……メル。メルっ! メル、どうしたの、メル! にいさま早く治して!』
赤いドレスの真ん中、胸から腹にかけて広く深く抉れている。魔法によって傷が治っていく途中で目を覚まし、赤い瞳に僕を映した。
『メル……どうしたの?』
虚ろな瞳は僕を見てはいるが、僕だと認識していなさそうな雰囲気がある。そっと髪を整えてやるとメルは僕の頬を撫で、ゆっくりと首に手を下ろし、頸動脈を爪で裂いた。
『……っ、眠 れ !』
咄嗟にそう叫ぶとメルは床に横たわり、ピクリとも動かなくなった。僕を心配する兄にメルを押し付け、アルの捜索を再開する。
『…………おとーと、解析してみたんだけどさ……暗示か何かだと思う。目に映ったもの全て殺すようにって』
『ヴェーンさんは平気だったんですよね?』
「ぁ、あぁ……別に何も殺したくなったりしてないぜ」
リビングが血の海になっていたことや、その血に浮かんでいた羽根や毛皮からアル達もその暗示にかかったのは間違いない。アルやメル達に効いてヴェーンに効かなかったのは何故だ?
『にいさま、それ以上は分からない?』
『……過去数時間の記憶が徹底的に破壊されていてね、復旧は難しいよ』
『そっか……じゃあもう解析はいいからアル探して、探知は使えるよね?』
『うん、流石にそこまでは妨害されてないし、探知魔法は使ってみたよ。けど、アルちゃんもクラールちゃんもこの家には居ないね』
兄の手のひらに浮かんだ魔法陣がバツ印に変わる。意識して呼吸を整え、目眩を堪えて一歩進むと、たった今通り過ぎた部屋の中からカシャンと小さな音が聞こえた。
『……全員保護したらアルを探そう。にいさま、探知の範囲広げてアルの居場所を特定しておいて』
ここは確か酒呑の部屋だった、しかし酒呑は会議に出席している。居るとしたら──あぁ、やはり茨木だ。
『…………おかえりなさい、頭領はん』
にぃ、と微笑む彼女の手には煙管があり、寝間着らしい白い浴衣は赤く染まり、長い黒髪を顔を隠すように垂らしたその姿はいつか妖鬼の国で見た幽霊画のようで、妖艶な美さえ感じた。
ベッドに腰掛けていた茨木は背後に転がっていた毛布の塊を僕に投げて寄越した。黒髪がはみ出ているのを見つけて慌てて毛布を剥がすとアザゼルが気絶していた。
『……息はある。にいさま、お願い』
『ん、ちょっと首絞められただけみたいだよ、大丈夫』
治癒魔法をかけて改めて眠らせると後ろ髪を伸ばした触手に抱えさせる。
『にゃんこらはここ居るよ』
茨木が指したベッドの裏を覗けば、眉間に太い針が刺さったカルコスとクリューソスが転がっていた。
『……脳機能を停止させるよう打ち込んでん、難しかってんで?』
コアである賢者の石さえ破壊されていなければ問題はない。兄は獣達の頭の針を抜き、眠らせ、触手に抱えさせた。
『茨木……君は平気なの?』
『…………平気に見えはる?』
『……弟はんは悪魔はんの世話しに行っとったから無事やよ、なんや緊急事態や察して隠れてはるわ。まずおかしなったんが獣はんらで……うちの部屋来たんよ』
暗示をかけられてはいないようだ、急変した者達に襲われて迎え撃ち、行動不能に陥らせただけだと。
『…………キレーな歌声聞こえてなぁ、うち慌てて耳塞いだんよ。したら三体とも来やって……にゃんこらはなんとか止められたんやけど、頭領はんの奥さん強いわぁ……兄さんの術のせいで攻撃弾かれてまうしどうしようもあれへん。でも、爪甘いなぁ、仕留めた思てどっか行きはったわ』
そう言いながら茨木は腹に空いた穴を見せる。この傷跡には見覚えがある、アルが尾を突き刺したのだろう。
『……っ、なんで早く怪我してるって言わないんだよ! にいさま、お願い!』
『ふふ……びっくりした?』
『するよ! もぅっ…………でも、ありがとう。おかげで何があったか分かったよ』
歌声と来れば容疑者は一人しか居ない。ヴェーンに影響がなかったのは声が届かなかったからだ、彼は作業のために一室だけ異様に壁を分厚く作っていた。
『クトゥルフ……そうか、封印できたのは身体の方だけだったんだ。っていうか、星辰が戻されるのを見越して取り憑いておいたのかも』
今思えば不審点は多くあった、注意深くツヅラを観察していれば避けられたかもしれない。しかしそんな後悔は今するべきではない。
『にいさま、みんなを連れて一旦魔界に戻って。暗示なら兄さんが解けるだろうから』
保護した仲間達を連れて兄が消え、僕はレヴィと二人きりになった。
『……レヴィ、これ着てくれない?』
仕事着だろう酒呑のスーツを渡す。
『何故だ? 何も履かない方が動きやすい。拒否する。それと、吾は八岐大蛇、もしくは、伊吹大明神、そう呼べ』
『…………君の体は今レヴィだろ、女の子なんだよ、頼むから素足でウロウロしないで……』
『……分からない。若い女の生脚なら、喜ぶべきだ、男子なら』
『僕お嫁さん居るの……! 頼むから履いてよ! 履いてくれたらオロチって呼ぶから!』
レヴィは渋々スーツに着替えた。目の前で着替えられるのも困るのだが──まぁ、仕方ないか。
『着た? あぁ、ベルトはこうやって留めるんだよ…………はい、できた。ごめんねワガママ言って、ありがとうオロチ』
『構わん。案外と動きやすい、人の皮膚は弱い、布で覆った方が効率的だ』
仮想の敵に向けてか何度か蹴りを放ち、笑顔で言った。ずっと昔の前世ではレヴィは恋人で、過去を巡った時は協力関係にあった。魂が別とはいえそんな彼女の笑顔が見られるのは何だか嬉しい。
0
お気に入りに追加
436
あなたにおすすめの小説
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる