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第三十一章 月の裏側で夢を見よう
濃霧の向こう
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改めてアルを観察する。外見に狼らしい部分は見られず、背に翼は生えていないし尾も無い、それなのにアルらしさを感じる。
しかし、アルが僕の腕の中に収まるなんて考えもしなかったな。
「……ふふ」
僕の視線に気が付き、ふにゃりと笑う。
アルはいつもこんなふうな笑顔を浮かべていたのか? アルの感情は読み取りやすいが、表情そのものは姿形の違いから人間の僕には分かりにくい。
「ねぇ、アル。アルは……この街のことどう思ってる? ほら、すごい霧出てるし、不便だなとか思う?」
「確かに不便だな。しかし、この街には貴方が居る」
声も違う。アルは僕を落ち着かせる低く甘い声をしているけれど、この空間でのアルは女の子らしい可愛い声をしている。やはり……狼の方がいいな、アルの声には安心感が必要だ。
「歩道と車道の切れ目も分からず、いつも行く店が蜃気楼で移動して見えて、一寸先の者にも気が付かずぶつかって…………それでも、貴方さえ居れば私は満足だ」
街そのものにはかなり不満がありそうだ。
これが誰かが作った空間なら、ここの住人の街への思いは参考になるかと思ったがそうでもない。いつも濃霧に包まれているということくらいで──いや、この濃霧こそがこの空間を「たらしめている」のか?
『ただいまー……』
ライアーが帰ってきた。彼が黒い服を着ていると頭のてっぺんから足の先まで本当に真っ黒だ、影だけが動いているようにも見える。
「邪魔しているぞ、上の兄君」
『あぁアルちゃん、鉄板出すの手伝ってくれない?』
「承知した。ヘル、降ろしてくれ」
ライアーは実体を持たない存在だ。それでもこの空間に居るということは、ここは物質ではなく精神で構築されているという証拠だ。僕達が少し幼いのも、アルが人間なのも、意識だけここに来ているのなら理解も出来る。なら、元の──仮に「現実」と言っておこう──現実の方の僕達はどうなっているのだろう。ここに居る全員が現実から離れているのか、僕だけが閉じ込められているのか、それも重要だ。前者は大袈裟だし、後者は自惚れだ。
現実では意識が無く昏倒しているのか、他の誰かが身体を操っているのか。それともこれはただの夢で、少し長いだけで、そのうち勝手に目覚めるのか。
「ヘル……? おい、離せ。私は手伝いを……」
夢だとしたら僕の知識が及ばないのはおかしい。
誰かが夢に細工をしているか、僕が誰かの夢に放り込まれているか、夢だと仮定するならそれは絶対条件だ。
『本当に仲良いよね……仕方ないか。アルちゃん、そのまま居てあげて。今日はヘルちょっと体調悪いみたいだし、不安なのかも』
「む……そうか、済まないな。ヘル、あまり我儘を言うなよ。まぁ、私を離したくないというのは……その、嬉しいが、兄君に迷惑をかけるのはだな…………おい聞いているのか」
悪意を持った行動ならこの空間は居心地が良過ぎる。もっと悪夢らしくして僕を精神的に追い詰めるべきではないか? 始めに楽しくしてそこから落とすのか? 居心地を良くして僕を現実に帰らせないつもりか?
「ヘル! 返事をしないか、聞こえないのか!」
「……ん、あぁ、アル。どうしたの」
「どうしたの、ではない! 少し前から何度も何度も……全く」
考え事をしていたからか、アルを無視していたらしい。怒っているようだが彼女がアルなら撫でれば怒りを忘れるだろう。
「……それでご機嫌取りのつもりか?」
意図が見破られた。
「………………もう少し右。そう……うむ、もう少し強く……」
見破られたが、通用した。撫でているというよりマッサージさせられている気もするが、機嫌を直せるのならどうでもいい。
『ヘルは体調悪いしアルちゃんはあくまでお客様だからいいとして、エア! 夕飯の準備をしているボクの前で堂々と本を読むのはどうかと思うよ!』
「……フェル服破いてたよ」
『えっ? どうして……って、それより今はキミの態度についてだよ! それは後でフェルに聞くから。いいかいエア、キミはもう少し思いやりとか協調性とか……そういうのを持って、少しはボクの負担を軽くしようとか、フェルの面倒も見てあげるとか、ね? あるでしょ?』
ライアーは夕飯の準備を進めながら兄を叱っている、器用な人だ。兄はといえば本から少しも目を離していない、流石と言える。
『それと、ヘルに物を買い与え過ぎない! キミ給料ほとんどヘルにつぎ込んでるよね!? 少しは家庭に回して!』
「…………ヘルは家庭だろ?」
『ヘルは家庭の構成要素! 全体に奉仕しろって言ってるの分からないかな!』
「大声出さないでよ……うるさいな」
『誰が出させてるの! キミが本から興味をボクに移すなら大声で話したりしないよ!』
僕は普段何を買い与えられているのだろう。部屋に物は多くなかったと思うけれど。
「第一、ヘルにばっかり色々やってる訳じゃない。ちゃんと自分にも使ってる」
『美容院の頻度を落としなさい、そんなに行かなくていいだろ』
「アルちゃんにも使ってるし」
『たまに食事を奢るくらいなら許容するけどね、服や日用品はちょっと意味分かんないし、旅行やエステは本当に何考えてるの? って感じ』
この家の問題児は兄だ、僕はそう確信した。
「……済まない、私が……断り切れないから」
『アルちゃんのせいじゃなくてね! そもそも家の前に買ったもの置いて行くようなの防ぎようがないから!』
アルはどこに住んでいるのだろう。両親は? あの魔獣達も居るのか?
疑問は尽きないけれど、これはきっと関係が無い。
僕はアルを降ろし、夕飯が出来るよとフェルを呼びに行った。
熱した鉄板の上に肉を置いて、焼く。シンプルな料理……とは呼べないか。
とても体調不良の人間に食わせるものではないと思う、本当に体調が悪い訳でもないけれど。僕は机の隅で野菜をちびちび食べていた、向かいの席でフェルも同じことをしている。
『エア! 焦げたのをボクの皿に移すのはやめ……アルちゃんそれ生! 生!』
ライアーは肉を焼く役で、兄とアルがそれを食べる。
「ヘル、食べないのか?」
「んー……あんまり肉好きじゃないし」
「少しくらい食べろ、ほら」
アルは僕の皿に生焼けの肉を盛る。
「…………気持ちだけいただくよ。食べたくなったら自分で取るから、これはアルが食べて」
置いていては冷めてしまうからと皿を押す。不服そうだったが目の前の肉を見逃す気はないようで、僕の皿に盛られた肉はすぐにアルの口に消えた。
十数分で肉は完食され、後には焼かなければ食べられないがそこまで美味しくない野菜が残った。惰性で焼いて雰囲気で食べ、押し付け合いが始まる。時には隅で炭と化す。
そんな楽しくない時間も終わり、僕はソファに移動した。隣には兄が、膝の上にはアルが居る。
『エア、片付け手伝ってくれない?』
「……今忙しい」
『その本前読み終わったって言ってなかった?』
「これ初版本、この間のは改訂版」
『内容変わらないだろ、またそうやって無駄なもの集めて……』
「兄さん、僕がやるから……ね?」
『フェル、ありがとう。本当キミだけはいい子だよね』
今さり気なく僕も巻き込まれた。今日は体調が悪いからと怠けていたが、いつも手伝っていないのか。まぁ、なんとなく予想は出来ていたけれど。
アルと戯れている間に時間は過ぎ、風呂に入れと言われる。面倒だと呟きながら脱衣所の扉を開き、目の前の鏡を見て着いてきたアルを知る。
「……本当に一緒に入るの?」
「嫌なのか?」
むしろ何故嫌がらないのか聞きたい。
返事をせずにアルを追い出し、服を脱いで風呂場に……アルも入ってきた。
「…………せめてタオル巻いて」
「いつもは……」
「今日はタオル記念日なんだよ」
「そうか、なら巻こう。ヘルは?」
「…………僕も巻くよ、タオル取って」
この空間における「いつもの僕」を殴りたい。
僕はタオルを巻いただけで異性と風呂に入れるような人間ではない、そう思っていた。
髪も身体も洗い終え、二人で湯船に浸かる。浴槽は無い国は多いけれど、この街はそれなりに水が豊かなようだ。
浴槽は足が伸ばせるくらいに広く、伸ばした足にはアルが乗っている。僕は華奢な肩に顎を置いてアルの腹に腕を巻いている。こんな体勢でも僕は驚く程に狼狽えていない。可愛らしい少女が裸体に緩くタオルを巻いただけで膝の上に乗っているのに少しも感情が昂らない、おかしい。
「……ねぇ、この怪我どうしたの?」
「これか? これは……えぇと、喧嘩だ」
「こっちは?」
「これも……喧嘩だな」
アルだからと言えば当然だけれど、こんな細い身体で喧嘩なんてしていいはずがない。
「ヘルは傷だらけの身体は嫌いか?」
「痛そうだし……見たくないよ」
「常勝無敗だぞ?」
「関係ないよ」
「分かった。これからは怪我をしないように喧嘩する」
喧嘩しないという選択肢を用意して欲しい。
「今までは肉を切らせて骨を断つという戦法だったからな、相手より傷が軽ければこちらの勝ちだ。だが貴方がそういうなら今度から避けるようにする」
アルらしいな。治るからと細かな攻撃は避けずに突っ込んで、僕を庇って……
思わずアルを抱き締めて、彼女の腹の上にあった柔らかいものを鷲掴んでしまい、戦慄した。
しかし、アルが僕の腕の中に収まるなんて考えもしなかったな。
「……ふふ」
僕の視線に気が付き、ふにゃりと笑う。
アルはいつもこんなふうな笑顔を浮かべていたのか? アルの感情は読み取りやすいが、表情そのものは姿形の違いから人間の僕には分かりにくい。
「ねぇ、アル。アルは……この街のことどう思ってる? ほら、すごい霧出てるし、不便だなとか思う?」
「確かに不便だな。しかし、この街には貴方が居る」
声も違う。アルは僕を落ち着かせる低く甘い声をしているけれど、この空間でのアルは女の子らしい可愛い声をしている。やはり……狼の方がいいな、アルの声には安心感が必要だ。
「歩道と車道の切れ目も分からず、いつも行く店が蜃気楼で移動して見えて、一寸先の者にも気が付かずぶつかって…………それでも、貴方さえ居れば私は満足だ」
街そのものにはかなり不満がありそうだ。
これが誰かが作った空間なら、ここの住人の街への思いは参考になるかと思ったがそうでもない。いつも濃霧に包まれているということくらいで──いや、この濃霧こそがこの空間を「たらしめている」のか?
『ただいまー……』
ライアーが帰ってきた。彼が黒い服を着ていると頭のてっぺんから足の先まで本当に真っ黒だ、影だけが動いているようにも見える。
「邪魔しているぞ、上の兄君」
『あぁアルちゃん、鉄板出すの手伝ってくれない?』
「承知した。ヘル、降ろしてくれ」
ライアーは実体を持たない存在だ。それでもこの空間に居るということは、ここは物質ではなく精神で構築されているという証拠だ。僕達が少し幼いのも、アルが人間なのも、意識だけここに来ているのなら理解も出来る。なら、元の──仮に「現実」と言っておこう──現実の方の僕達はどうなっているのだろう。ここに居る全員が現実から離れているのか、僕だけが閉じ込められているのか、それも重要だ。前者は大袈裟だし、後者は自惚れだ。
現実では意識が無く昏倒しているのか、他の誰かが身体を操っているのか。それともこれはただの夢で、少し長いだけで、そのうち勝手に目覚めるのか。
「ヘル……? おい、離せ。私は手伝いを……」
夢だとしたら僕の知識が及ばないのはおかしい。
誰かが夢に細工をしているか、僕が誰かの夢に放り込まれているか、夢だと仮定するならそれは絶対条件だ。
『本当に仲良いよね……仕方ないか。アルちゃん、そのまま居てあげて。今日はヘルちょっと体調悪いみたいだし、不安なのかも』
「む……そうか、済まないな。ヘル、あまり我儘を言うなよ。まぁ、私を離したくないというのは……その、嬉しいが、兄君に迷惑をかけるのはだな…………おい聞いているのか」
悪意を持った行動ならこの空間は居心地が良過ぎる。もっと悪夢らしくして僕を精神的に追い詰めるべきではないか? 始めに楽しくしてそこから落とすのか? 居心地を良くして僕を現実に帰らせないつもりか?
「ヘル! 返事をしないか、聞こえないのか!」
「……ん、あぁ、アル。どうしたの」
「どうしたの、ではない! 少し前から何度も何度も……全く」
考え事をしていたからか、アルを無視していたらしい。怒っているようだが彼女がアルなら撫でれば怒りを忘れるだろう。
「……それでご機嫌取りのつもりか?」
意図が見破られた。
「………………もう少し右。そう……うむ、もう少し強く……」
見破られたが、通用した。撫でているというよりマッサージさせられている気もするが、機嫌を直せるのならどうでもいい。
『ヘルは体調悪いしアルちゃんはあくまでお客様だからいいとして、エア! 夕飯の準備をしているボクの前で堂々と本を読むのはどうかと思うよ!』
「……フェル服破いてたよ」
『えっ? どうして……って、それより今はキミの態度についてだよ! それは後でフェルに聞くから。いいかいエア、キミはもう少し思いやりとか協調性とか……そういうのを持って、少しはボクの負担を軽くしようとか、フェルの面倒も見てあげるとか、ね? あるでしょ?』
ライアーは夕飯の準備を進めながら兄を叱っている、器用な人だ。兄はといえば本から少しも目を離していない、流石と言える。
『それと、ヘルに物を買い与え過ぎない! キミ給料ほとんどヘルにつぎ込んでるよね!? 少しは家庭に回して!』
「…………ヘルは家庭だろ?」
『ヘルは家庭の構成要素! 全体に奉仕しろって言ってるの分からないかな!』
「大声出さないでよ……うるさいな」
『誰が出させてるの! キミが本から興味をボクに移すなら大声で話したりしないよ!』
僕は普段何を買い与えられているのだろう。部屋に物は多くなかったと思うけれど。
「第一、ヘルにばっかり色々やってる訳じゃない。ちゃんと自分にも使ってる」
『美容院の頻度を落としなさい、そんなに行かなくていいだろ』
「アルちゃんにも使ってるし」
『たまに食事を奢るくらいなら許容するけどね、服や日用品はちょっと意味分かんないし、旅行やエステは本当に何考えてるの? って感じ』
この家の問題児は兄だ、僕はそう確信した。
「……済まない、私が……断り切れないから」
『アルちゃんのせいじゃなくてね! そもそも家の前に買ったもの置いて行くようなの防ぎようがないから!』
アルはどこに住んでいるのだろう。両親は? あの魔獣達も居るのか?
疑問は尽きないけれど、これはきっと関係が無い。
僕はアルを降ろし、夕飯が出来るよとフェルを呼びに行った。
熱した鉄板の上に肉を置いて、焼く。シンプルな料理……とは呼べないか。
とても体調不良の人間に食わせるものではないと思う、本当に体調が悪い訳でもないけれど。僕は机の隅で野菜をちびちび食べていた、向かいの席でフェルも同じことをしている。
『エア! 焦げたのをボクの皿に移すのはやめ……アルちゃんそれ生! 生!』
ライアーは肉を焼く役で、兄とアルがそれを食べる。
「ヘル、食べないのか?」
「んー……あんまり肉好きじゃないし」
「少しくらい食べろ、ほら」
アルは僕の皿に生焼けの肉を盛る。
「…………気持ちだけいただくよ。食べたくなったら自分で取るから、これはアルが食べて」
置いていては冷めてしまうからと皿を押す。不服そうだったが目の前の肉を見逃す気はないようで、僕の皿に盛られた肉はすぐにアルの口に消えた。
十数分で肉は完食され、後には焼かなければ食べられないがそこまで美味しくない野菜が残った。惰性で焼いて雰囲気で食べ、押し付け合いが始まる。時には隅で炭と化す。
そんな楽しくない時間も終わり、僕はソファに移動した。隣には兄が、膝の上にはアルが居る。
『エア、片付け手伝ってくれない?』
「……今忙しい」
『その本前読み終わったって言ってなかった?』
「これ初版本、この間のは改訂版」
『内容変わらないだろ、またそうやって無駄なもの集めて……』
「兄さん、僕がやるから……ね?」
『フェル、ありがとう。本当キミだけはいい子だよね』
今さり気なく僕も巻き込まれた。今日は体調が悪いからと怠けていたが、いつも手伝っていないのか。まぁ、なんとなく予想は出来ていたけれど。
アルと戯れている間に時間は過ぎ、風呂に入れと言われる。面倒だと呟きながら脱衣所の扉を開き、目の前の鏡を見て着いてきたアルを知る。
「……本当に一緒に入るの?」
「嫌なのか?」
むしろ何故嫌がらないのか聞きたい。
返事をせずにアルを追い出し、服を脱いで風呂場に……アルも入ってきた。
「…………せめてタオル巻いて」
「いつもは……」
「今日はタオル記念日なんだよ」
「そうか、なら巻こう。ヘルは?」
「…………僕も巻くよ、タオル取って」
この空間における「いつもの僕」を殴りたい。
僕はタオルを巻いただけで異性と風呂に入れるような人間ではない、そう思っていた。
髪も身体も洗い終え、二人で湯船に浸かる。浴槽は無い国は多いけれど、この街はそれなりに水が豊かなようだ。
浴槽は足が伸ばせるくらいに広く、伸ばした足にはアルが乗っている。僕は華奢な肩に顎を置いてアルの腹に腕を巻いている。こんな体勢でも僕は驚く程に狼狽えていない。可愛らしい少女が裸体に緩くタオルを巻いただけで膝の上に乗っているのに少しも感情が昂らない、おかしい。
「……ねぇ、この怪我どうしたの?」
「これか? これは……えぇと、喧嘩だ」
「こっちは?」
「これも……喧嘩だな」
アルだからと言えば当然だけれど、こんな細い身体で喧嘩なんてしていいはずがない。
「ヘルは傷だらけの身体は嫌いか?」
「痛そうだし……見たくないよ」
「常勝無敗だぞ?」
「関係ないよ」
「分かった。これからは怪我をしないように喧嘩する」
喧嘩しないという選択肢を用意して欲しい。
「今までは肉を切らせて骨を断つという戦法だったからな、相手より傷が軽ければこちらの勝ちだ。だが貴方がそういうなら今度から避けるようにする」
アルらしいな。治るからと細かな攻撃は避けずに突っ込んで、僕を庇って……
思わずアルを抱き締めて、彼女の腹の上にあった柔らかいものを鷲掴んでしまい、戦慄した。
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